市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

投票終了のとたんに当選確実が報じられた前橋市長選・・・出口調査の威力まざまざ

2024-02-12 08:25:30 | 前橋市の行政問題

当選確実の報を受け、バンザイをして喜ぶ小川晶氏(中央)=前橋市で2024年2月4日午後7時34分、西本龍太朗撮影。出典:毎日新聞社


集まった支持者に敗戦の弁を述べる山本龍氏=前橋市で2024年2月4日午後7時33分、庄司哲也撮影。出典:毎日新聞社

■2月4日投開票の前橋市長選では、いつもは午後9時から始まる群馬テレビの開票速報番組で、だらだらと開票状況が進む中、解説者が時間稼ぎのコメントをしつつ、選管が中間的に出す超概算数字を画面になんども示しつつ、最後に選管の確定数値が出た段階で、当選陣営の「万歳!」のシーンと、落選候補の「不徳と致すところです」のコメントが報じられるのが常でした。

 ところが、今回の前橋市長選では、国政選挙での群馬県の自民党候補のように、投票締め切りと同時に「当確」が報じられました。出口調査で顕著な差がついたため、とは想像できますが、それでもなぜこんなに早く、という有権者がほとんどだったのではないでしょうか。

 マスコミ関係者によると、前橋市内の投票所の出口調査では、全部の地域で、新人の小川候補が優勢だったため、記者クラブで各社が情報を持ち寄って協議し、こうした異例の早期発表となったようです。

 しかも、非自民系の新人の女性候補が、自公推薦で3期目の現職候補を破ったということで、全国的にも注目されました。

■山本龍候補については、2023年9月12日に市長選への出馬を正式に表明し、10月12日に早くも公明党群馬県本部からの推薦がきまり、同月31日に自民党群馬県連からの推薦が決定し、11月14日の会見で知事の山本一太からも支援の意向が表明され、選対には自民・公明両党の県議や市議に加え、日本維新の会所属の宮崎岳志・県議も加わり、盤石との下馬評もあっただけに、真逆の結果となった原因について、政治資金パーティー券収入による裏金問題が影響したと報じられました。

 一方、当選した小川晶候補は、2023年11月26日に前橋市長選への無所属での出馬を表明し、県議選で推薦を受けた立憲民主党や国民民主党、社民党からの推薦は受けず、連合群馬や共産党系の市民団体からの支援を受けました。当初は劣勢が伝えられていたものの、立憲民主党や共産党などの支持層を固め、無党派層や自民の支持層からも支持を得て、自公が推薦する現職の山本龍を破って女性として初めて前橋市長に当選しました。

■保守王国の群馬県では、よほどのことがない限り自・公の推薦がないと当選はおぼつきません。それにもかかわらず、なぜ大方の予想を覆して、しかも相当な差で山本龍候補は敗れたのでしょうか。

 投開票から4日後に報じたNHKのリポートが参考になるかもしれません。早速見てみましょう。

**********NHK 前橋 ぐんまWEBリポート2024年02月08日
前橋市長選 保守王国・群馬に衝撃 自公推薦の現職敗戦で影響は?
 2月4日午後7時、前橋市長選挙の投票が終わったその時刻。
 「新人の小川晶氏が当選確実 自民・公明推薦の現職を破る」
 NHKはそう報じた。
 しかし、結果を待つ2人の候補の事務所ではいずれも、それに気づく人はおらず。口にするのは「うそだろ」、「本当?」、「信じられない」ということばだった。
 SNS上でも驚きの声が相次いだ。「これはすごいことだ」、「保守岩盤も揺らぎ始めたか」、「群馬での結果というところが動きを感じる」。
 自民・公明両党の推薦を受けて4期目を目指した現職が、立憲民主党など野党の議員の支援を受けた新人に敗れた今回の選挙戦。「保守王国・群馬」で起きた「前橋ショック」の背景や今後を探った。
(前橋放送局 記者 丹羽由香・田村華子/2024年1月・2月取材)
★誰にも気づかれなかった“当確”★
 当選した小川氏の事務所。NHKが「当選確実」のニュース速報を出しても気づかない。

取材スタッフから一報を聞く小川陣営の人
 現場の取材スタッフが、そのことを知らせると、驚きの表情を見せ、どよめいた。

ほどなく、沸き立つ陣営の人たち。

小川氏の当選確実を伝えるテレビ画面(山本氏の事務所)
 同時刻、山本氏の事務所。

こちらでも、自民党の国会議員や陣営幹部がテレビに駆け寄る。

「戸惑い」

心中は、その一言に尽きるのだろう。

 想定よりも早かった当確報道。小川氏は、事務所の近くで食事を取ろうとしていたということだが、連絡を受けて、慌てて箸を置き、急遽、事務所に駆けつけてきた。

当選した小川 晶 氏
「この勝利は、市民の勝利だと思う。なんとか前橋を変えたい、政治を変えたいというみなさんの思いがたくさん集まって、新しい政治の一歩を踏み出すことができた。これからみなさんと一緒に市民の力で前橋をよくしていきたい、新しいまちにしていきたい、新しい政治をつくっていきたい」
 一方、敗れた山本氏は、どこかすっきりした優しい表情で壇上に上がった。

敗れた山本 龍 氏
「私自身の力不足が一番の原因です。そしてもう1つはやはり私たちの訴えをもっともっと広く伝えられなかったこと、それも含めて私自身の不明をおわびしたい」
 組織面では“圧勝”のはずだった

 群馬の政界は“保守王国”と呼ばれるほど自民党の勢力が強く、福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、福田康夫氏の4人の総理大臣を輩出してきた。

 現在、県内選出の自民党の国会議員は、衆議院の1区から5区の5議席。参議院の2議席も自民党が独占し、山本一太知事も、かつては自民党の国会議員だった。

 地方議会を見ても、県議会では、49人のうちおよそ7割の33人が自民党の会派に所属し、前橋市議会では、36人のうち、保守系の会派の議員を含む7割あまりの26人が、今回の前橋市長選挙で山本龍氏を支援していた。「組織」でみれば、山本氏の「圧勝」となる戦いのはずだった。実際、陣営内からは「勝てるはずの選挙だ」という声が聞かれた。それでも、小川氏に1万4000票あまりの差を付けられて敗れた。一体、何が起きたのか。両陣営への情勢取材やNHKの出口調査から探ってみたい。
★組織を固めきれず 政治資金問題も影響か★
 山本氏の大きな敗因の1つは「自民党の支持層を固めきれなかったこと」。

 投票先を支持政党別に見ると、自民党支持層で山本氏に投票したと回答した人は60%台半ばにとどまり、30%以上が小川氏に流れていた。市議会議員の7割あまりが山本氏を支援したものの、前回・4年前は保守分裂となったこともあり、陣営内には「一枚岩になれなかった」と分析する人もいた。

 私(丹羽)は山本陣営を取材していて、陣営内の「緩み」や、議員によっての支援の「温度差」、そして、街頭や遊説の時などの有権者の「反応の薄さ」を感じる場面もあった。

 3期12年の山本市政について尋ねたこちらの結果。「評価する」が64%、「評価しない」が36%。6割を超える人が評価しているにもかかわらず、「評価する」と答えた人のうちの40%あまりが小川氏に投票していた。こうした結果も、山本氏への「逆風」を裏付けるものだと思う。

 裏返して小川氏とすれば、自民党の支持層の切り崩しに成功したということになる。選挙戦で、小川氏は「保守から革新まで幅広く声を拾う」と繰り返し訴えた。また、「クリーンな政治の実現」も訴え続けた。今回の事件や、前橋市で相次いだ談合事件を踏まえたものだが、多くの有権者の共感を得たと思う。
★“前橋ショック” 今後への影響は?★
 話を山本陣営に戻そう。保守王国の県庁所在地での選挙における大敗。衆議院選挙など今後への影響は少なくないだろう。選挙戦略や政策の浸透など見直しを図るとみられる。自民党県連の幹部は、危機感を隠さない。

自民党県連 井下泰伸 幹事長
「国政の影響を受けなかったと言えばうそになると思う。市民、県民が何を求めているのか、どうしてわれわれは選ばれなかったのか、その部分をしっかり反省し、対策を講じないと、次も同じことが起こるだろう」
★小川氏 議会との向き合い方に課題★

 小川氏は、初当選から一夜明けて、前橋市役所で当選証書を受け取った。前橋市が始まった132年前の1892年以来、市長には18人が就任しているが、女性は初めてだ。
○小川 晶 氏
「多くの方からの投票だけでなく、たくさんのお祝いや期待のことばをいただき、改めて責任の重さを感じている。皆さんと一緒にしっかりスタートを切りたいと思っている」
ただ、その船出は順風満帆と言い切れない現状がある。市議会との向き合い方だ。既述のように、市議会議員の7割あまりが山本氏を支援した中で、どう独自の政策を打ち出し実現していくのかが問われる。小川氏は就任後の市議会との向き合い方について、次のように述べた。

小川 晶 氏
「政策面では、相手候補が掲げた政策と『似ている点が多い』とも言われていたので、議会ともめることはないと思っている。その中でも、進め方や議論の過程を賛成でも反対でも、皆さんに見ていただいて進めていくことが大切だと思う」
 選挙戦の取材で私(田村)が印象に残った小川氏の訴えがある。それは「選挙はあくまでも手段」ということばだ。当選することが「目的」ではなく、新しい前橋を実現するための「手段」ということだ。小川氏には、就任後も難しい市政運営が予想されるが、市政の刷新を求めた市民の声に応え、前橋、ひいては群馬に、新しい風を吹かせてほしいと思う。

**********

■群馬県の政界では、「反自民」といっても、あまりピンときません。「反自民」というと自民党以外の政党を支援するという意味になりますが、あまりにも自民党になびく県民が多いため、「反自民」という定義が明確にイメージできなくなっているからではないか、と筆者は思っています。

 一方、「非自民」という表現もあります。「非自民」というと、我が国の政治において自由民主党およびそのガス抜き役の日本共産党と共闘・連立しない立場を表します。より積極的に自民党に対抗する「反自民」とは異なり、個々の政策では是々非々の立場を取ることが多く、中道右派ないし保守ではあるものの、自民党とは同調しない立場をとろうとする場合に、「非自民」と自称するようです。

 この観点で群馬県議会の党会派別の勢力状況を見れば、一目瞭然です。
◆自由民主党(33名)
幹事長:井下泰伸
久保田順一郎 星野寛 狩野浩志 橋爪洋介 星名建市 井田泉 金井康夫 安孫子哲 須藤和臣 伊藤清 大和勲 川野辺達也 穂積昌信 松本基志 斉藤優 大林裕子 森昌彦 入内島道隆 矢野英司 高井俊一郎 相沢崇文 神田和生 亀山貴史 秋山健太郎 牛木義 追川徳信 須永聡 鈴木数成 松本隆志 今井俊哉 水野喜徳 中島豪
◆リベラル群馬(4名)
代表:後藤克己
本郷高明 加賀谷富士子 鈴木敦子
◆令明(4名)
代表:金子渡
あべともよ 井田泰彦 金沢充隆
◆公明党(3名)
代表:水野俊雄
藥丸潔 清水大樹
◆日本共産党(2名)
代表:酒井宏明
大沢綾子
◆安新会(1名)
代表:粟野好映
◆創生会(1名)
代表:丹羽あゆみ
◆群馬維新の会(1名)
代表:宮崎岳志

■本来であれば、反自民でリベラル群馬を主体に結束すべきですが、象徴的だったのは、2018年6月に国民民主党県連が正式に発足した際、県議会でリベラル群馬に所属していた当時の旧民進系県議6人の所属先は、国民、立民、無所属の3つに分裂したことでした。

 なぜなら、国民県連の結党大会に参加したのは黒沢孝行、後藤克己の両県議だけで、同年2月に立民に移った角倉邦良県議と、無所属での活動を選択した小川晶、本郷高明、加賀谷富士子の3県議は、無所属での活動を選択したからでした。

 もともと知事選では、自民党もリベラル群馬も相乗りしており、勝ち馬に乗ろうという機運が優先します。とりわけ上記の黒沢孝行などは、長年群馬県の八ッ場ダム建設計画では自民党と歩調を合わせており、本音と建て前の食い違いが目立っていました。実際、国政の動向をにらんだり、自民党の公認を得られなかったりすると、あっさりとリベラル群馬を標榜する県議も珍しくありません。

 そうした流れを組むリベラル群馬出身の小川晶候補ですから、今回の前橋市長選では、自民vs非自民という構図ではなく、山本龍vsアンチ山本龍(=小川晶)という構図となったわけです。その背景には、山本龍市長を支える「前橋地建」を談合金の元締めとする勢力と、前回立候補したものの山本龍に敗れた岩上憲司の後ろ盾の「岩上建設」を談合金の元締めにしようとする勢力とのせめぎ合いが、厳然と存在しており、前回敗れた岩上陣営が小川晶候補の支持に回ったことがうかがえます。

■実は、今回の誹謗中傷合戦と言われた市長選を象徴するかのように、選挙に絡んで、両候補の陣営に関する公選法違反行為に関するいくつかの情報が当会に提供されていました。

 山本龍候補については、買収ともとられかねない金品の配布が行われているとか、選挙事務所に看板が8枚※も掲示されているなどの情報が寄せられました。(※ちなみに選挙事務所の看板類は最大で縦横どちらでも3,500mm × 1,000mmのサイズまでの看板を3枚まで設置できます)

 一方、小川晶候補については、公示前に不特定多数の有権者に支援を依頼する郵便物に氏名の記載を依頼するチラシが相当数ばらまかれたとの情報がありました。

 いずれも、事実の確認に至らず、また、ケンカ両成敗というわけではありませんが、警察に通報しても、捜査の有無や過程、結果について教えてもらえないため、選挙戦を見守るだけとしました。これまでも、県警捜査2課からは、「なんでもいいから情報を寄せてほしい。とりわけ金品の授受に関する情報は大歓迎だ」と常日頃から言われており、当会として、本来は警察に都度通報すべきであるのは承知しています。

■こうして、保守王国の群馬県の県庁所在市の首長選において、談合体質にまみれた前橋市のかじ取りをしてきた山本龍候補でしたが、リベラルも自民もほぼ同義語と化している群馬県では、敵の敵は味方という論理で、小川晶候補に今度は自民のアンチ山本龍勢力と国民、立民、連合、共産その他が相乗りというかたちで、そしてその裏では公共事業の利権を巡るもう一つの戦いが繰り広げられた結果、開票スタート即「当確」のニュースが報じられたのでした。

 今後、談合を仕切る勢力との距離感をどのようにとっていくのか否か、「市民の勝利」を宣言した小川晶候補が、2月28日就任後の前橋市の談合体質とどのように向き合うのか、注目して参りたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連報道「前橋市長選2024」
**********時事通信2024年02月04日21:53
小川氏「市民の勝利」 現職、裏金問題の影響否定―前橋市長選

前橋市長選で初当選した小川晶氏=4日午後、前橋市

前橋市長選での敗北を受け、支持者にあいさつする山本龍氏=4日午後、前橋市
 前橋市長選で新人小川晶氏(41)の勝利がテレビで報じられると事務所に歓声が上がった。政党の推薦を受けなかった小川氏は「市民の勝利だ。前橋を変えたいとの思いが集まって新しい政治の一歩を踏み出すことができた」と強調。「子育て支援や少子化対策はしっかりと大胆な政策をとっていきたい」と力を込めた。
 敗北した現職の山本龍氏(64)は支持者に「これからは前橋を愛する一市民として活動していく」と淡々と敗戦の弁。自民党派閥の裏金問題が影響した可能性を記者団に問われると、「特に関係ない。私の力不足」と繰り返した。

**********NHK News Web 2024年2月4日21:57
前橋市長選挙 野党側新人の小川晶氏が初当選 与党推す現職破る
 事実上の与野党対決の構図となった前橋市長選挙は、無所属の新人で立憲民主党など野党側の議員が支援した小川晶氏(41)が、自民党と公明党が推薦した現職を破り、初めての当選を果たしました。
 前橋市長選挙の開票結果です。
▽小川晶、無所属・新。当選。6万486票
▽山本龍、無所属・現。4万6387票
 立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の議員から支援を受けた元群馬県議会議員の小川氏が、自民党と公明党が推薦し、4期目を目指した山本氏を破り、初めての当選を果たしました。
 小川氏は、千葉県出身の41歳。
 弁護士で、平成23年の県議会議員選挙から、4回連続で当選し、今回、前橋市長選挙に初めて立候補しました。選挙戦で小川氏は、子育て支援策の強化やクリーンな市政の実現などを訴えました。
 その結果、立憲民主党や共産党などの支持層を固めたほか、いわゆる無党派層の支持を集めました。また、自民党の支持層からも一定の支持を集めました。
★132年前から女性市長は初★
 前橋市によりますと、市が始まった132年前の1892年以来、市長には18人が就任していますが、女性は初めてだということです。
小川氏「市民の力で 前橋をよくしていきたい」

 小川氏は、「この勝利は、市民の勝利だと思う。なんとか前橋を変えたい、政治を変えたいというみなさんの思いがたくさん集まって、新しい政治の一歩を踏み出すことができた。これからみなさんと一緒に市民の力で、前橋をよくしていきたい、新しいまちにしていきたい、新しい政治をつくっていきたい」と述べました。
★現職の山本氏「私自身の力不足が一番の原因」★

 山本氏は、「私自身の力不足が一番の原因です。もうひとつは、私たちの訴えをもっと広く伝えられなかったこと、それを含めて私自身の不明をおわびしたい」と述べました。
★投票率は前回の選挙を下回る★
 前橋市選挙管理委員会によりますと、前橋市長選挙の投票率は39.39%で、前回・4年前の43.16%を3.77ポイント下回りました。
★“保守王国” 群馬の政界で…★
 群馬の政界は“保守王国”と呼ばれるほど自民党の勢力が強く、福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、福田康夫氏の4人の総理大臣を輩出しました。

 現在の県内選出の国会議員は、衆議院の1区から5区の5議席、参議院の2議席を自民党が独占していて、山本一太知事も、かつては自民党の国会議員でした。
 地方議会を見ても、県議会では、49人のうちおよそ7割の33人が自民党の会派に所属し、前橋市議会では、36人のうち、保守系の会派の議員を含む7割余りの26人が、今回の前橋市長選挙で山本龍氏を支援していました。

**********時事通信2024年02月04日22:09
前橋市長に小川氏初当選 自公推薦の現職4選阻む

前橋市長選で初当選した小川晶氏(中央)=4日午後、前橋市
 任期満了に伴う前橋市長選は4日投開票され、無所属新人で元県議の小川晶氏(41)が、無所属現職の山本龍氏(64)=自民、公明推薦=を破り、初当選した。同市初の女性市長となる。投票率は39.39%で、前回(43.16%)を下回った。
 小川氏は県議会で野党系会派に所属していたが、市長選では連合群馬の推薦を受けるにとどめ、無党派を強調。政党の推薦は受けずに市政の刷新や子育て支援の充実などを訴え、現職に反発する保守層にも支持を広げた。
 山本氏は、多数の業界団体からも支援を受けて組織選挙を展開。デジタル化の推進など市政の継続を訴えたが、保守分裂となった前回市長選の影響で割れた保守票をまとめきれなかった。

**********読売新聞2024年02月05日00:08
前橋市長に小川氏 初の女性、現職4選阻む…投票率39・39%で前回下回る
当選確実の知らせを受け、万歳する小川氏(中央)(4日午後7時34分、前橋市野中町で)=日野響子撮影
 前橋市長選は4日投開票され、前県議で新人の小川晶氏(41)が、4選を目指した現職の山本龍氏(64)(いずれも無所属)を破り、初当選を果たした。前橋市初の女性市長で、県内の現職首長では最年少となる。選挙戦は実質的な与野党対決となったが、3期12年に及ぶ山本市政の刷新を訴えた小川氏が競り勝った。投票率は39・39%で、2020年の前回選(43・16%)を下回った。当日有権者数は27万3592人。
 小川氏は、県議4期目の任期途中だった昨年11月に出馬を表明。推薦は連合群馬のみで、政党からの推薦は受けなかった。子育てや教育の支援を公約の柱に据え、「チェンジ前橋」を合言葉に多選を批判。「利権やしがらみのない、クリーンな政治を実現する」と主張した。
 選挙戦では、選挙カーでの遊説を中心に知名度や政策の浸透を図り、無党派層や野党支持層の支持を集めたほか、現市政に批判的な保守層の受け皿にもなった。独自候補の擁立を見送った共産党系の市民団体も、自主的に支援した。
 一方、山本氏は自民、公明両党の推薦を受け、100を超える業界団体などの支援を得て組織力を生かした選挙戦を展開。国や県、近隣市町村とのパイプや実績をアピールしたが、告示日に急きょ表明した、高齢者世帯などに3万円を支給するインフレ対策給付金などへの支持が広がらず、及ばなかった。
当 60,486 小川 晶 無新
  46,387 山本 龍 無現
(選管確定)

**********毎日新聞2024年2月5日
前橋市長選で見た相手候補への“中傷合戦” 政策本位の論戦を

当選確実の報を受け、花束を受け取る小川晶氏=前橋市で2024年2月4日午後7時35分、西本龍太朗撮影© 毎日新聞 提供
 任期満了に伴う前橋市長選は4日、投開票され、「市政刷新」を掲げた無所属新人の元県議、小川晶氏(41)が、無所属現職で3期目の山本龍氏(64)=自民、公明推薦=を破り、初当選を果たした。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で岸田政権への批判も影響した。北関東の県庁所在地では初の女性市長。群馬県内の女性首長は1986年の旧水上町(現みなかみ町)、2014年の安中市、23年の榛東村に続き4人目で、同村の南千晴村長が当選した当時の42歳を更新し、歴代最年少。
   ◇
 県都の人口減少は深刻だが、少子化、経済対策などで双方の公約は似通い、正面から論戦が展開されることはなかった。それなのに、激しい選挙戦を反映し、取材中に相手候補への中傷に近い批判合戦に遭遇する場面があり、その度に内心、「現代日本の県庁所在地の選挙としては昭和すぎないか」とため息をついた。「新しい政治」を掲げて初当選した小川氏にはこの際、政治のあり方を本気で変えてほしい。
 山本陣営幹部は集会で小川氏の子育て支援策に対し、「子どもを産んだことがない人が子育て、子育てと言うが、本当に分かっているのか」と批判した。当然ながら、重要なのは市長自身の経験でなく、政策の中身だ。
 共産党が候補者擁立を断念し、小川氏を支援したことにも山本陣営の批判が集中した。「共産に借りができる」「前橋に共産系市長が誕生してしまう」。小川氏を支援する保守層へのけん制とみられるが、小川氏は過去の県議選で立憲民主、国民民主両党から支援を受けた中道路線で、「共産系」は不正確だ。
 一方の小川氏の陣営でも、確認しようのないうわさ話で山本氏を批判したことがあった。中傷合戦の効果は限定的で、むしろ政治に嫌気がさす有権者の方が少なくないだろう。中傷からは脱却し、政策本位の選挙戦を根付かせるのが急務だ。【田所柳子】

**********NHK News Web 2024年2月5日17:28
前橋市長選で初当選 小川晶氏に当選証書 “責任の重さ感じる”
 前橋市長選挙で初めての当選を果たした小川晶氏に、当選証書が手渡され「改めて責任の重さを感じている。皆さんと一緒にしっかりスタートを切りたい」と抱負を述べました。
 4日の前橋市長選挙では、無所属の新人で立憲民主党など野党側の議員が支援した小川氏が自民党と公明党が推薦した現職の山本龍氏を破り、初めての当選を果たしました。
 一夜が明けた5日、小川氏は前橋市役所を訪れ、市選挙管理委員会の栗木信昌委員長から当選証書を受け取りました。

 小川氏は、報道各社の取材に対し「多くの人が投票してくれて、改めて責任の重さを感じている。皆さんと一緒にしっかりスタートを切りたいと思っている」と述べました。
 また、今回の選挙では、市議会議員の7割余りが山本氏を支援したことをめぐり、市議会との向き合い方について「政策面では、似ている点が多いとも言われていたので、議会ともめることはないと思っている。議論の過程を賛成でも反対でも、皆さんに見ていただいて進めていくことが大切だと思う」と述べました。
★立民 岡田幹事長”自民党政治への強烈な不満が招いた結果”★
 立憲民主党の岡田幹事長は、5日、記者団に対し「党本部として選挙に関与はしていないが、今の自民党政治への強烈な不満が、こういう結果を招いたと思う」と指摘しました。

**********東京新聞2024年2月6日
前橋市長に初の女性 小川さん 保守王国「裏金」で逆風

市長選当選から一夜明け、当選証書の受け取りに臨む小川晶さん(左)=前橋市役所で© 東京新聞 提供
 4日投開票された前橋市長選は、無所属新人で元県議の小川晶さん(41)が、4選を目指した無所属現職の山本龍さん(64)=自民、公明推薦=を破って初当選を決め、県都初の女性市長に駆け上がる。告示前には接戦が予想されていたが、終わってみれば約1万4千票の大差がついた。当事者らの話を総合すると、過去の選挙で生じたしこりの影響や、強者であったはずの山本陣営の誤算や油断が見え隠れする。(鈴木学、羽物一隆、小松田健一)
◆離反
 今市長選のポイントの一つは、前回選で山本さんの対立候補が立ったことで分裂した保守層の動向だった。「決して選挙に強くない」(地元県議)という山本さんにとり、保守層が一枚岩になれるかどうかは4選には不可欠の要件だった。
 しかし、山本陣営の選対幹部は「市長選で二分した戦いをしてきたので、保守の中で負けた人はこちら側に来ない。宿命的なもの」と、今も残る4年前のしこりを敗因の一つに挙げた。
 山本さんの岩盤支持層である経済界の一部にも、山本さんがデジタル政策に熱心な一方、中心市街地の空洞化や産業振興、インフラ整備で十分な成果を出していないとの不満があった。ある経営者は「立場上、小川さんをおおっぴらに応援できないが、山本さんのために動かないことが彼女のアシストになった」と指摘する。
 山本陣営からは「投票率を見ると、自民支持者で投票に行かなかった人が多いのでは。裏金問題で今回は応援したくないと思ったのではないか」との分析も出た。
 中曽根康隆衆院議員は「現体制への信頼が失われていることの一つの表れが今回の結果。保守が一つにならないと、相手がつけ込んでくれば敗れるという証しになった」と、自戒を込めて語った。
◆誤算
 自民派閥の政治資金パーティーをめぐる「政治とカネ」の問題で逮捕者も出て自民に逆風が吹いても、衆院小選挙区と参院県選挙区を自民が独占する保守王国・群馬県で影響は限定的なはずだった。山本さんは地元地方議員の大半と多数の業界団体を押さえ、圧倒的な組織力も誇った。
 基本的な政策にも決定的な差異はない。唯一警戒しなければならなかったのは、多選批判の文脈から小川陣営が掲げた「市政刷新」のスローガンだったが、「小川さんへの風は感じなかった」と山本陣営幹部は振り返る。
 しかし、地殻変動は少しずつ進んでいた。
 昨年末、共産系市民団体が独自候補擁立を見送り、小川さんの応援を打ち出した。年が明けて1月13日、共産党の演説会に小川さんがメッセージを寄せたことに、山本さんは自身のX(旧ツイッター)に「共産党と連携する政治に前橋を任せられない」と投稿。
 小川さんは約1時間後に「他の団体や地域の行事にも同じ内容でお送りしています」と反論する書き込みを投稿した。
 告示半月前になり、現職が仕掛けたネガティブキャンペーン。小川陣営幹部の一人は「有権者は不快に思い、逆効果だったのでは」とみる。
 小川さんも4日夜、勝利への分岐点の一つにこれを挙げた。「市民党」を掲げ、特定政党からの推薦、支援を受けなかった一方、批判も抑制した小川さんとの対比が鮮明になった。
 また、小川陣営の選対幹部は、選挙戦序盤に山本さんが「やや優勢」とされた世論調査の結果が報じられ、危機バネが働いたと振り返る。「陣営が引き締まり、もう一押しとなった」
  ◇ 
 市長選と同じ日程で行われた市議補選(被選挙数2)は、無所属の元職と維新の新人が当選した。
◇前橋市長選 確定得票
当 60,486 小川晶 無新<1>
  46,387 山本龍 無現 
◇前橋市議補選確定得票(被選挙数2-候補3)
当 43,363 林倫史 無元
当 31,558 小川栄治 維新
  21,792 吉原大輔 共新

**********日経2024年2月8日19:42
群馬・山本知事「事業の継続を」 前橋市長選で新人当選

定例記者会見をする群馬県の山本一太知事(8日、前橋市)
 群馬県の山本一太知事は8日の定例記者会見で、4日投開票の前橋市長選挙で新人の小川晶氏が当選したことについて「頑張っていただきたい。(現職の)山本龍市長時代に生まれた事業は、ぜひ継続していただきたい」と述べた。
 県と前橋市は市街地整備やデジタル事業など多くの分野で連携している。「前橋との関係はこれからも重視していきたい。連携してきたことはそのまま進められたらいい」と話した。
 山本知事は4選を目指した現職の山本龍氏を応援していたが、「(小川氏に対して)抵抗感はない。新しい市長との関係を大事にしていきたい」と語った。

**********産経新聞2024年2月9日
与野党対決初の敗北に「衝撃」 前橋市長選で現職応援の知事「自民党本部、重く受け止めて」

前橋市長選を振り返る山本一太知事=8日、群馬県庁(県提供)© 産経新聞
 無所属新人候補が自民、公明の推薦する現職候補を破った前橋市長選(4日投開票)について、現職の応援に入った群馬県の山本一太知事は8日の定例会見で、有権者の厳しい判断について「群馬において『与党対野党』の戦いで与党が敗れるということは一度もなかった」と、衝撃を受けたことを吐露した。そのうえで、「県連も自民党本部も重く受け止めていただきたい」と語った。
 当選した元県議の小川晶氏(41)については、「政策面では現職とあまり差はなく、県議としても優秀な方だったので今後は協力してやっていきたい」とする一方、「街づくりやデジタル化など全国からフロントランナーとみられていた前橋の施策は、維持してもらいたい」と語った。
 市長選の構図として、自民党支持層の4割近くが小川氏に流れたとの報道機関の分析結果も示しつつ、保革対決といった形ではなく「やはり小川さんの好感度や人気の高さが大きかった」と分析した。一方で、「それでも与党候補が野党系候補に敗れるというのは、私の知る限り群馬において一度もない」とし、自民党本部が同日投開票された「京都市長選へのコメントだけで、前橋市長選に言及がないのは危機感が足りない」と指摘した。
 京都市は自民、立民、公明、国民が推薦する元内閣官房副長官の松井孝治氏が制したが、共産党の支援を受けた新人候補と大接戦を演じたことを挙げ、「松井さんは候補として最高なのに、あの結末は尋常じゃない」。同様に激戦だった八王子市長選も挙げ、有権者の厳しい視線について「自民党に長年在籍した者として、もっと危機感をもって取り組んでいただきたい」と語った。
 前橋市長選で敗れた山本龍氏(64)に対しては「この4年、コロナや豚熱対応など大変なことを一緒にこなしてきたし、先進的政策も残してこられたが、有権者にはよく伝わっていなかった。伝わらなければ意味がないということを今回、身に突きつけられた」と振り返った。
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