市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

中央道産廃流出事件で「生活環境に支障生ずるおそれ」で全量撤去の措置命令を出した岐阜県と群馬県の雲泥

2017-09-16 08:43:00 | スラグ不法投棄問題
■岐阜県瑞浪(みずなみ)市釜戸町の中央道で2017年8月18日午後9時半ごろ、道路脇の斜面の土砂が崩れ、高さ約1.5メートル、幅約60メートルにわたって道路内に流れ込んだため、上り線を走っていた乗用車など4台が土砂に巻き込まれ、うち2台の7~45歳の男女計6人が重軽傷を負うという事故が起きました。土砂の一部は下り線にも流れ込みました。その後、崩れた土砂に産業廃棄物が大量に混じっていたことがわかり、現場近くの陶磁器原料メーカー「丸釜釜戸陶料」の水野辰英会長は県警に対し「産廃の上に土をかぶせ、木を植えていた」と説明しました。
 県警は、現地が仮置き場ではなく投棄場所だったとして、8月24日に廃棄物処理法違反の疑いで、同社本社や工場、関係者の自宅などに家宅捜索を行いました。県警はさらに、業務上過失傷害容疑も視野に捜査しています。一方、立入検査をした岐阜県は同社が無許可で置いていた砕石などの産業廃棄物が大雨で流出したと断定し、今後の流出防止を求める措置命令を出しました。泥には長期間吸い込むと発がんリスクが高まる有害物質が含まれているため、県などは住民に防塵マスクを配布しました。そして、今回、産廃の全量撤去の措置命令に至ったものです。
**********東海テレビ2017年9月15日(金) 18:56配信

中央道産廃流出事故 岐阜県「全ての廃棄物撤去を」メーカーに措置命令 瑞浪市
 先月、岐阜県瑞浪市の中央自動車道で産業廃棄物などが流出した事故で、岐阜県は原因となったメーカーに対し、全ての廃棄物を撤去するよう措置命令を出しました。
 先月18日、瑞浪市釜戸町の中央道で起きた事故では、現場近くの「丸釜釜戸陶料」が不法投棄していた産業廃棄物などが流出しました。
 この会社の敷地内には産業廃棄物や、それを含む土砂が約4200立方メートル残っていて、岐阜県は15日、全て撤去するよう措置命令を出しました。
 措置命令では、今年12月23日までに撤去するよう求めていて、丸釜釜戸陶料の水野会長は、「迅速に撤去します」と話しているということです。
 また今回の事故を受け、県は同様の原料を扱っている県内のメーカーや廃棄物処理業者42社に立ち入り検査を行いましたが、問題のある業者はなかったということです。
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■東海テレビによると、中央自動車道に土砂を含む産業廃棄物が流れ込み、高速道路を寸断した事件で、岐阜県がメーカーに対し、廃棄物を撤去するよう措置命令を出しました。その措置命令の内容を見ていきましょう。

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平成29年9月15日(金)
岐阜県発表資料 担当課 担当者 電話番号
廃棄物対策課 大坪 敬明
内線 2710 直通 058-272-8223 FAX 058-278-2607
www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c.../kouhyousiryou.pdf

丸釜釜戸陶料株式会社に対する措置命令について
 平成29年8月18日に瑞浪市釜戸町地内で発生した産業廃棄物を含む土砂等の流出事案について、平成29年8月21日付けで丸釜釜戸陶料株式会社に対して、応急措置に係る措置命令を発令し、平成29年8月29日に応急措置の完了を確認したところです。しかし、依然として産業廃棄物を含む土砂等が流出した土地及びその隣接地(以下「本 件土地」という。)には産業廃棄物並びに産業廃棄物が混合した土砂等(以下「本件産業 廃棄物」という。)が残存しています。このことから、本日付けで廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第19条の5第1項の規定に基づき、下記のとおり措置命令を発令しましたのでお知らせします。
               記
1 被命令者
(1)住 所 岐阜県瑞浪市釜戸町3115番地の2
(2)氏 名 丸釜釜戸陶料株式会社 代表取締役 水野 辰英
2 講ずべき措置の内容  本件土地に残存している本件産業廃棄物を全量撤去すること。
3 措置を命じた理由  本件産業廃棄物が本件土地から飛散及び流出等して生活環境保全上の支障が生じるおそれがあるため。
4 講ずべき措置の期限  平成29年12月23日までに上記2の措置を完了すること。
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■岐阜県は「産業廃棄物が飛散及び流出等して生活環境保全上の支障が生じるおそれがある」ことを理由に全量の撤去を命じています。廃棄物は廃棄物処理法に基づき適正に処分しなければなりません。具体的には廃棄物処理法施行令第7条法定の廃棄物処理施設に処分しなければなりません。岐阜県の事件では、土砂を含む産業廃棄物であるので、汚泥の水分を除去の上、破砕施設か管理型最終処分場・遮断型最終処分場に処分されることになるでしょう。

 このような処理施設に適正に処理していなければ、この事件のように飛散及び流出して生活環境保全上の支障が生ずるおそれが生じてくるのです。

 他方、群馬県にも(株)佐藤建設工業が群馬県中にばら撒いた、大同特殊鋼由来の有害スラグ不法投棄問題があります。大同有害スラグにはフッ素が含まれており、「土壌を汚染するおそれがある」と群馬県により不法投棄された廃棄物に認定されています。土壌汚染は必然的に水質汚染へと発展するおそれがあります。

 また大同スラグには、膨張する性質があり、コンクリートを持ち上げて破壊したり、アスファルトをひび割れさせたりしています。


大同有害スラグが膨張し、持ち上げられて破壊されてしまったコンクリート。生活環境が破壊されている。


大同有害スラグが原因と思われるアスファルト舗装の亀裂。ひび割れというよりは、隆起してズレ上がることによりバックリ亀裂が入っている。

■本来であれば、大同有害スラグは、有毒であることに加えて、隆起して構造物を壊すという性質から、生活環境保全上の支障が生じるおそれがあるため、群馬県内の廃棄物の監督官庁である群馬県廃棄物リサイクル課は、廃棄物処理法第19条の5の規定により全量の撤去を原因者の(株)佐藤建設工業に命じなくてはなりません。

 しかし大同特殊鋼(株)や(株)佐藤建設工業に「忖度」する群馬県環境部局は、不法投棄された大同スラグに対し「土壌汚染対策法」により対処するという歪んだ対策を打ち出しています。

 岐阜県の事件のように不法投棄された廃棄物は、廃棄部処理法の措置命令により対処しなりません。廃棄物処理法を勉強不足な群馬県廃棄物リサイクル課の幹部の皆様、今すぐ岐阜県に赴き、頭をさげて教えを請い、廃棄物処理法を勉強し直すか、または職を辞していただくよう心よりお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (4)
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