■2017年8月24日の朝日新聞は「処分場地下水に六価クロム 渋川、環境基準の8倍超」という驚愕のタイトル記事で地下水汚染について報じました。一日遅れて上毛新聞、そしてこの度二週間遅れで毎日新聞でも記事が掲載されましたので、見ていきましょう。まずは2週間前の上毛新聞記事からです。
**********2017年8月25日上毛新聞 PDF ⇒ 2017n0825n.pdf
基準値の8倍超の六価クロム検出
渋川の処分場 県が改善指導
鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」渋川工場(渋川市)から出た汚泥などを埋め立ててきた産業廃棄物最終処分場(同市金井)下の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質の六価クロムが検出されていたことが24日までに、県の調査で分かった。周辺環境への影響は確認されていない。
小林製工運送(同市)が管理する処分場で、4月に場内の井戸でくみ上げた地下水から1リットルあたり0.42ミリグラムの六価クロムが検出された。県の指導に従い、井戸からくみ上げた水を処理する対策が講じられている。
県廃棄物・リサイクル課は「調査を継続するとともに、対策工事が万全に終わるよう指導したい」としている。
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■続いて、2017年9月9日付の毎日新聞記事です。
**********2017年9月9日毎日新聞群馬版 PDF ⇒ 2017n0909vn.pdf
敷地地下水から基準超有害物質 渋川の産廃処分場 /群馬
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場から出た鉄鋼スラグなどの産業廃棄物を処理する最終処分場(渋川市金井)の敷地内の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質・六価クロムが検出されていたことが、県の調査で分かった。県は処分場の管理会社「小林製工運送」(渋川市)に対して対策工事を指示し、原因を調べている。県によると、現時点で周辺環境への影響や住民の健康被害は確認されていない。
処分場は1981年ごろから鉄鋼スラグや汚泥などが埋められた。2005年に、県が許可した方法と異なる方法で処理しているとして、県が改善命令を出した。
今年4月の水質調査の結果、地下水から環境基準の8倍超にあたる1リットルあたり0・42ミリグラムの六価クロムが検出されたため、県は対策工事の見直しを指示した。
この問題を巡り、共産党県議団などは付近の水質を独自調査し、先月23日、「地下水全体が汚染されたのではないか」として知事宛に文書を提出した。【鈴木敦子】
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■さらに比較するため、朝日新聞の記事をもう一度見ていきましょう
**********2017年8月24日朝日新聞デジタル群馬版
処分場地下水に六価クロム 渋川、環境基準の8倍超 /群馬県
渋川市金井にある民間の最終処分場下の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質六価クロムが検出されたことが、県の調査で23日までに分かった。業者が計画を逸脱して埋め立てたことも地下水汚染につながった一因とみて、県は原因を調査している。
この処分場は、県の許可を得て1981年ごろから大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグや汚泥などを埋め立てている。汚染を防ぐため、水を通さない「不透水層」より上に廃棄物を埋め立てる計画だったのに層より下に埋められていることが分かり、県は2005年、産廃処理会社「小林製工運送」(渋川市)に改善命令を出した。不透水層の一部も失われていた。命令に基づく工事後、県が調べたところ今年4月、地下水から環境基準の8倍超にあたる1リットル当たり0・42ミリグラムの六価クロムが検出された。
同処分場の問題にからみ、共産党県議団などは23日、大沢正明知事に対し、詳細な調査実施などを求める文書を提出した。
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■今回は、上記3社の報道を組み合わせて、あらためてポイントを整理してみましょう。
ポイント①地下水汚染事件を引き起こした処分場には、大同有害スラグや有害汚泥が捨てられていたこと
ポイント②なぜか県の調査で地下水汚染が分かったと報道されていること
ポイント③県の改善命令と対策工事見直しの指示が謎めいていること
ポイント④共産党県議団が独自の調査で地下水汚染を確認していること
JPEG ⇒ 2017n08.jpg
↑当会に情報提供のあった、渋川市金井の最終処分場の様子。黒い土を掘削している様子が写っているので、未だ遮水シートなどの廃棄物から染み出た汚染水を遮断する設備が無い処分場であることがわかる、この処分場では、地下水と廃棄物染み出し液との区別は不可能である。↑
●ポイント①
地下水汚染事件を引き起こした処分場には、大同有害スラグや有害汚泥が捨てられていたこと
専ら大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグや汚泥などの産業廃棄物を埋め立てていた最終処分場の中にある地下水モニタリング井戸から、環境基準環境基準の8倍を超える有害物質六価クロムが検出されたと、報道されています。
当会では、東吾妻町萩生地区の農道に不法投棄された有害スラグや上武道路の有害スラグなどスラグには環境基準を超える有毒物質が含まれていることをお伝えしてきました。大同特殊鋼から排出される全ての廃棄物には六価クロムやフッ素が環境基準を超えて含まれている可能性があり、大変危険です。
今回の報道ではなぜか、フッ素の調査はされていないようですが、この処分場からフッ素による地下水汚染が公表されると、東吾妻町萩生地区の農道など、大同有害スラグが敷設された道路周辺でも地下水汚染が広がっているおそれがあることを発覚することを恐れて、あえてフッ素の調査結果を隠ぺいしているのではないかと、疑惑が広がってくるのです。
●ポイント②
なぜか県の調査で地下水汚染が分かったと報道されていること
報道では県の調査で地下水汚染が公表されたことになっています。しかし3社の報道の日にちがズレている事を考えると、県が報道機関を集め記者会見をして発表したものではないと思えてなりません。
当会に入った情報を整理してみましょう。
○まず共産党県議団が、情報公開で得た資料や内部告発により処分場地下水汚染の状況を発見
○2017年8月23日午前 :共産党県議団が県に対し、詳細な調査実施などを求める文書を提出した。
○2017年8月23日14時 :共産党県議団が記者クラブにて、地下水汚染の状況を発表
○2017年8月24日 :朝日新聞が新聞報道
どうやら以上のような時系列であったようです。
群馬県廃棄物リサイクル課はこの事件に関し記者会見を開いていないようなので、朝日新聞が報道するためには、8月23日14時の記者クラブでの発表のあと、県庁の仕事が終わる夕方までに、県廃棄物リサイクル課に取材する必要があります。
すなわち、2017年8月23日午前に共産党県議団が県に申し入れをした後、県廃棄物リサイクル課は突然態度を変えたことがうかがえます。つまり、県は、問題の最終処分場の調査を2017年4月に行ったことにして、六価クロムによる地下水汚染の実態が判明したとして、急遽発表することにしたのではないか、というのが当会の感想です。
なぜなら、2005年に改善命令を出してから12年も経って、「県の調べで汚染が発覚した」とする不自然さをあわせて考えると、群馬県は大同スラグに対し特別な「忖度(そんたく)」を行い、今回の地下水汚染問題も秘密裏に処理しようと考えていた・・・という疑惑が自然と浮上してくるからです。共産党県議団の指摘により古傷に触られ、たまらず尻尾を出してきたと言えるでしょう。ルール違反をしていた大同を忖度する群馬県は、最終処分場の近隣住民の健康について、いったいどう考えていたのでしょうか。同じ忖度をするなら、県民の安心・安全な生活環境を優先的に考えていただきたいものです。
●ポイント③
県の改善命令と対策工事見直しの指示が謎めいていること
2005年に群馬県が問題の処分場に対し改善命令を発出しています。改善内容を確認してみましょう。
*****
毎日新聞:「県の許可した方法と異なる方法で処理している」
朝日新聞:「業者が計画を逸脱して埋め立て」「汚染を防ぐため、水を通さない『不透水層』より上に廃棄物を埋め立てる計画だったのに層より下に埋められていること」
上毛新聞:改善命令に不自然さを感じたのか?改善命令に触れていません。
*****
各社の報道は以上のようになっています。
つまり、改善命令は地下水汚染に対する命令ではなかったことが分かります。計画を逸脱して地下水脈より深く廃棄物を埋め立てたことを問題視する命令なのです。地下水汚染の改善命令や最終処分場の廃止命令などは出されていないのです。
地下水はどこをどう流れているか分かりません。地下水汚染という生活環境を保全する上で重要な問題に対し、報道では「今年4月の水質調査の結果」「県は対策工事の見直しを指示した。」と記されていますが、対策工事の見直しに大変違和感を覚えます。
2005年の改善命令は計画を逸脱したことに対する命令です。この命令による工事は、廃棄物を掘り返して、許可通りに埋め立てる工事であるはずです。さらに全く異なる地下水汚染への対策を講ずるのであれば、新たな改善命令を出さなくてはなりません。
どうやら、廃棄物リサイクル課は少なからず混乱しているようです。この混乱は2005年の改善命令が、本当は地下水汚染に対する改善命令であるべきだったのを、大同に「忖度」して、地下水汚染を隠ぺいした形での「命令」だったのでは?と、こう考えると、スンナリ納得できるのは果たして当会だけなのでしょうか?
●ポイント④
共産党県議団が独自の調査で地下水汚染を確認していること
当会に寄せられた情報によれば、渋川市の政党団体宛てに内部告発があり、汚染水が持ち込まれ、その水を2017年5月2日に分析調査したところ、当該処分場の浸出地下水(同4月6日採取)の分析結果として、焦点となっている六価クロム濃度が0.43mg/L(地下水基準上限値0.05mg/Lの8.6倍)、ふっ素の濃度は2.4mg/L (地下水基準上限値0.8mg/Lの3倍)検出されたようです。
なお、この調査結果については、こちらを参照してください↓↓(青字をクリック)
〇201年8月25日:【詳報】大同有毒スラグを斬る!…大同スラグ処分場の地下水汚染報道から見えてくるポイントを整理↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2397.html
↑大同の最終処分場に入るタンクローリー。最初1台だったタンクローリーも現在は3台に増車され、一日6回フル回転で、汚染水を大同特殊鋼渋川工場に運搬し、利根川に垂れ流している。↑
■この汚染水について、上毛新聞では「県の指導に従い、井戸からくみ上げた水を処理する対策が講じられている。」と報道しています。
な、なんとっ!井戸からくみ上げた汚染水を、タンクローリーで運搬し、利根川に垂れ流す対策を、県廃棄物リサイクル課が指導しているというのです!
環境基準を超えた汚染水を利根川に垂れ流してよいのでしょうか? 廃棄物から染み出た汚染水は、廃棄物から派生した分身のようなものです。同じく廃棄物なのではないでしょうか?
毒性を持つ汚染水が売買される市場など日本にはありません。有毒な汚染水は大同特殊鋼が独占して取り扱い、大同の意思で利根川に垂れ流しているのですから、この汚染水は立派な「廃棄物」です。汚染水を垂れ流す大同特殊鋼渋川工場はいつから廃棄物の最終処分場になったのでしょうか?許可があったら見せていただきたいものです。
それと、有毒汚染水を処分場の井戸から大同特殊鋼渋川工場にせっせと運搬し続けているタンクローリーは、廃棄物の収集運搬の許可が必要なのではないのでしょうか? 廃棄物の収集運搬車であることを明示し、交通事故にあわないよう、周囲のドライバーに注意喚起する必要があります。通学ゾーンで事故でも起こされ、汚染水を学校や児童・生徒などに垂れ流されたり、浴びせかけられたりしては日本の将来を担う子どもたちの健康や生命さえにもかかわります。
■大同特殊鋼ほどの大会社がなぜ、廃棄物の許可を取ることを渋るのか不思議でなりません。大同スラグも最終処分場に廃棄物として捨てており、リサイクルを行うのに、なぜ許可を取ろうとしなかったのか、この大会社の廃棄物に対する考えの甘さ、認識の欠如が社会に多大な迷惑を与えているのです。
汚染水は、含まれている六価クロムやフッ素が環境基準を上回っており、国土交通省の調査で判明した大同スラグに含有される有害物資と同様の特徴を示しています。大同スラグを独占して販売していた(株)佐藤建設工業は、販売する全ての建設資材に情け容赦なく有害スラグを混合させていました。100%スラグが使われていた建設現場も当会では確認しています。
■群馬県各地に(株)佐藤建設工業によりばら撒かれた大同スラグをこのまま道路の下や公園に放置すれば、浸透した雨水により土壌汚染を引きおこし、更には大同最終処分場のように地下水汚染をも引き起こすおそれがあります。
大同スラグは群馬県によって廃棄物に認定されています。廃棄物は、廃棄物処理法に則り適正に処理しなければなりません。今すぐ不適切に投棄された大同スラグは撤去の上、遮断型処分場に埋め立て処分しなければなりません。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
**********2017年8月25日上毛新聞 PDF ⇒ 2017n0825n.pdf
基準値の8倍超の六価クロム検出
渋川の処分場 県が改善指導
鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」渋川工場(渋川市)から出た汚泥などを埋め立ててきた産業廃棄物最終処分場(同市金井)下の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質の六価クロムが検出されていたことが24日までに、県の調査で分かった。周辺環境への影響は確認されていない。
小林製工運送(同市)が管理する処分場で、4月に場内の井戸でくみ上げた地下水から1リットルあたり0.42ミリグラムの六価クロムが検出された。県の指導に従い、井戸からくみ上げた水を処理する対策が講じられている。
県廃棄物・リサイクル課は「調査を継続するとともに、対策工事が万全に終わるよう指導したい」としている。
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■続いて、2017年9月9日付の毎日新聞記事です。
**********2017年9月9日毎日新聞群馬版 PDF ⇒ 2017n0909vn.pdf
敷地地下水から基準超有害物質 渋川の産廃処分場 /群馬
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場から出た鉄鋼スラグなどの産業廃棄物を処理する最終処分場(渋川市金井)の敷地内の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質・六価クロムが検出されていたことが、県の調査で分かった。県は処分場の管理会社「小林製工運送」(渋川市)に対して対策工事を指示し、原因を調べている。県によると、現時点で周辺環境への影響や住民の健康被害は確認されていない。
処分場は1981年ごろから鉄鋼スラグや汚泥などが埋められた。2005年に、県が許可した方法と異なる方法で処理しているとして、県が改善命令を出した。
今年4月の水質調査の結果、地下水から環境基準の8倍超にあたる1リットルあたり0・42ミリグラムの六価クロムが検出されたため、県は対策工事の見直しを指示した。
この問題を巡り、共産党県議団などは付近の水質を独自調査し、先月23日、「地下水全体が汚染されたのではないか」として知事宛に文書を提出した。【鈴木敦子】
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■さらに比較するため、朝日新聞の記事をもう一度見ていきましょう
**********2017年8月24日朝日新聞デジタル群馬版
処分場地下水に六価クロム 渋川、環境基準の8倍超 /群馬県
渋川市金井にある民間の最終処分場下の地下水から、環境基準の8倍を超える有害物質六価クロムが検出されたことが、県の調査で23日までに分かった。業者が計画を逸脱して埋め立てたことも地下水汚染につながった一因とみて、県は原因を調査している。
この処分場は、県の許可を得て1981年ごろから大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグや汚泥などを埋め立てている。汚染を防ぐため、水を通さない「不透水層」より上に廃棄物を埋め立てる計画だったのに層より下に埋められていることが分かり、県は2005年、産廃処理会社「小林製工運送」(渋川市)に改善命令を出した。不透水層の一部も失われていた。命令に基づく工事後、県が調べたところ今年4月、地下水から環境基準の8倍超にあたる1リットル当たり0・42ミリグラムの六価クロムが検出された。
同処分場の問題にからみ、共産党県議団などは23日、大沢正明知事に対し、詳細な調査実施などを求める文書を提出した。
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■今回は、上記3社の報道を組み合わせて、あらためてポイントを整理してみましょう。
ポイント①地下水汚染事件を引き起こした処分場には、大同有害スラグや有害汚泥が捨てられていたこと
ポイント②なぜか県の調査で地下水汚染が分かったと報道されていること
ポイント③県の改善命令と対策工事見直しの指示が謎めいていること
ポイント④共産党県議団が独自の調査で地下水汚染を確認していること
JPEG ⇒ 2017n08.jpg
↑当会に情報提供のあった、渋川市金井の最終処分場の様子。黒い土を掘削している様子が写っているので、未だ遮水シートなどの廃棄物から染み出た汚染水を遮断する設備が無い処分場であることがわかる、この処分場では、地下水と廃棄物染み出し液との区別は不可能である。↑
●ポイント①
地下水汚染事件を引き起こした処分場には、大同有害スラグや有害汚泥が捨てられていたこと
専ら大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグや汚泥などの産業廃棄物を埋め立てていた最終処分場の中にある地下水モニタリング井戸から、環境基準環境基準の8倍を超える有害物質六価クロムが検出されたと、報道されています。
当会では、東吾妻町萩生地区の農道に不法投棄された有害スラグや上武道路の有害スラグなどスラグには環境基準を超える有毒物質が含まれていることをお伝えしてきました。大同特殊鋼から排出される全ての廃棄物には六価クロムやフッ素が環境基準を超えて含まれている可能性があり、大変危険です。
今回の報道ではなぜか、フッ素の調査はされていないようですが、この処分場からフッ素による地下水汚染が公表されると、東吾妻町萩生地区の農道など、大同有害スラグが敷設された道路周辺でも地下水汚染が広がっているおそれがあることを発覚することを恐れて、あえてフッ素の調査結果を隠ぺいしているのではないかと、疑惑が広がってくるのです。
●ポイント②
なぜか県の調査で地下水汚染が分かったと報道されていること
報道では県の調査で地下水汚染が公表されたことになっています。しかし3社の報道の日にちがズレている事を考えると、県が報道機関を集め記者会見をして発表したものではないと思えてなりません。
当会に入った情報を整理してみましょう。
○まず共産党県議団が、情報公開で得た資料や内部告発により処分場地下水汚染の状況を発見
○2017年8月23日午前 :共産党県議団が県に対し、詳細な調査実施などを求める文書を提出した。
○2017年8月23日14時 :共産党県議団が記者クラブにて、地下水汚染の状況を発表
○2017年8月24日 :朝日新聞が新聞報道
どうやら以上のような時系列であったようです。
群馬県廃棄物リサイクル課はこの事件に関し記者会見を開いていないようなので、朝日新聞が報道するためには、8月23日14時の記者クラブでの発表のあと、県庁の仕事が終わる夕方までに、県廃棄物リサイクル課に取材する必要があります。
すなわち、2017年8月23日午前に共産党県議団が県に申し入れをした後、県廃棄物リサイクル課は突然態度を変えたことがうかがえます。つまり、県は、問題の最終処分場の調査を2017年4月に行ったことにして、六価クロムによる地下水汚染の実態が判明したとして、急遽発表することにしたのではないか、というのが当会の感想です。
なぜなら、2005年に改善命令を出してから12年も経って、「県の調べで汚染が発覚した」とする不自然さをあわせて考えると、群馬県は大同スラグに対し特別な「忖度(そんたく)」を行い、今回の地下水汚染問題も秘密裏に処理しようと考えていた・・・という疑惑が自然と浮上してくるからです。共産党県議団の指摘により古傷に触られ、たまらず尻尾を出してきたと言えるでしょう。ルール違反をしていた大同を忖度する群馬県は、最終処分場の近隣住民の健康について、いったいどう考えていたのでしょうか。同じ忖度をするなら、県民の安心・安全な生活環境を優先的に考えていただきたいものです。
●ポイント③
県の改善命令と対策工事見直しの指示が謎めいていること
2005年に群馬県が問題の処分場に対し改善命令を発出しています。改善内容を確認してみましょう。
*****
毎日新聞:「県の許可した方法と異なる方法で処理している」
朝日新聞:「業者が計画を逸脱して埋め立て」「汚染を防ぐため、水を通さない『不透水層』より上に廃棄物を埋め立てる計画だったのに層より下に埋められていること」
上毛新聞:改善命令に不自然さを感じたのか?改善命令に触れていません。
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各社の報道は以上のようになっています。
つまり、改善命令は地下水汚染に対する命令ではなかったことが分かります。計画を逸脱して地下水脈より深く廃棄物を埋め立てたことを問題視する命令なのです。地下水汚染の改善命令や最終処分場の廃止命令などは出されていないのです。
地下水はどこをどう流れているか分かりません。地下水汚染という生活環境を保全する上で重要な問題に対し、報道では「今年4月の水質調査の結果」「県は対策工事の見直しを指示した。」と記されていますが、対策工事の見直しに大変違和感を覚えます。
2005年の改善命令は計画を逸脱したことに対する命令です。この命令による工事は、廃棄物を掘り返して、許可通りに埋め立てる工事であるはずです。さらに全く異なる地下水汚染への対策を講ずるのであれば、新たな改善命令を出さなくてはなりません。
どうやら、廃棄物リサイクル課は少なからず混乱しているようです。この混乱は2005年の改善命令が、本当は地下水汚染に対する改善命令であるべきだったのを、大同に「忖度」して、地下水汚染を隠ぺいした形での「命令」だったのでは?と、こう考えると、スンナリ納得できるのは果たして当会だけなのでしょうか?
●ポイント④
共産党県議団が独自の調査で地下水汚染を確認していること
当会に寄せられた情報によれば、渋川市の政党団体宛てに内部告発があり、汚染水が持ち込まれ、その水を2017年5月2日に分析調査したところ、当該処分場の浸出地下水(同4月6日採取)の分析結果として、焦点となっている六価クロム濃度が0.43mg/L(地下水基準上限値0.05mg/Lの8.6倍)、ふっ素の濃度は2.4mg/L (地下水基準上限値0.8mg/Lの3倍)検出されたようです。
なお、この調査結果については、こちらを参照してください↓↓(青字をクリック)
〇201年8月25日:【詳報】大同有毒スラグを斬る!…大同スラグ処分場の地下水汚染報道から見えてくるポイントを整理↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2397.html
↑大同の最終処分場に入るタンクローリー。最初1台だったタンクローリーも現在は3台に増車され、一日6回フル回転で、汚染水を大同特殊鋼渋川工場に運搬し、利根川に垂れ流している。↑
■この汚染水について、上毛新聞では「県の指導に従い、井戸からくみ上げた水を処理する対策が講じられている。」と報道しています。
な、なんとっ!井戸からくみ上げた汚染水を、タンクローリーで運搬し、利根川に垂れ流す対策を、県廃棄物リサイクル課が指導しているというのです!
環境基準を超えた汚染水を利根川に垂れ流してよいのでしょうか? 廃棄物から染み出た汚染水は、廃棄物から派生した分身のようなものです。同じく廃棄物なのではないでしょうか?
毒性を持つ汚染水が売買される市場など日本にはありません。有毒な汚染水は大同特殊鋼が独占して取り扱い、大同の意思で利根川に垂れ流しているのですから、この汚染水は立派な「廃棄物」です。汚染水を垂れ流す大同特殊鋼渋川工場はいつから廃棄物の最終処分場になったのでしょうか?許可があったら見せていただきたいものです。
それと、有毒汚染水を処分場の井戸から大同特殊鋼渋川工場にせっせと運搬し続けているタンクローリーは、廃棄物の収集運搬の許可が必要なのではないのでしょうか? 廃棄物の収集運搬車であることを明示し、交通事故にあわないよう、周囲のドライバーに注意喚起する必要があります。通学ゾーンで事故でも起こされ、汚染水を学校や児童・生徒などに垂れ流されたり、浴びせかけられたりしては日本の将来を担う子どもたちの健康や生命さえにもかかわります。
■大同特殊鋼ほどの大会社がなぜ、廃棄物の許可を取ることを渋るのか不思議でなりません。大同スラグも最終処分場に廃棄物として捨てており、リサイクルを行うのに、なぜ許可を取ろうとしなかったのか、この大会社の廃棄物に対する考えの甘さ、認識の欠如が社会に多大な迷惑を与えているのです。
汚染水は、含まれている六価クロムやフッ素が環境基準を上回っており、国土交通省の調査で判明した大同スラグに含有される有害物資と同様の特徴を示しています。大同スラグを独占して販売していた(株)佐藤建設工業は、販売する全ての建設資材に情け容赦なく有害スラグを混合させていました。100%スラグが使われていた建設現場も当会では確認しています。
■群馬県各地に(株)佐藤建設工業によりばら撒かれた大同スラグをこのまま道路の下や公園に放置すれば、浸透した雨水により土壌汚染を引きおこし、更には大同最終処分場のように地下水汚染をも引き起こすおそれがあります。
大同スラグは群馬県によって廃棄物に認定されています。廃棄物は、廃棄物処理法に則り適正に処理しなければなりません。今すぐ不適切に投棄された大同スラグは撤去の上、遮断型処分場に埋め立て処分しなければなりません。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】