市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…前校長の現在籍部署に係る問合せにダンマリ続ける文科省人事課

2017-08-28 23:15:00 | 群馬高専アカハラ問題
■苛烈なアカハラ事件のあった群馬高専の前校長だった西尾典眞氏が突然2017年3月末で校長職を辞し、古巣の文部科学省に戻ってから約5カ月が経過しようとしています。現在当会では、なぜ官僚が群馬高専という国の教育機関のトップにいとも簡単に就任できたのか、その経緯と背景を把握すべく、校長職への選考過程に関する情報開示請求を文科省と国立高等専門学校機構の双方に提出中です。

群馬高専の2017年(平成29年度)学校要覧P8より抜粋。

 上記のとおり、群馬高専の校長就任者の前職は公表されています。それによれば、官僚出身の校長は、第3代の林博男氏(前 人事院公務員研修所長)、第4代の桑形昭正氏(前 衆議院渉外部長)、第5代の吉澤晴行氏(前 文部省文教施設部長)、第6代の本間清氏(前 岐阜県知事公室参与県科学技術振興センター所長)、および第8代の西尾典眞氏(前 国立特別支援教育総合研究所理事)となっており、半分以上を占めています。したがって、校長経験者の現職についても、とくに文科省に在籍している場合には、その情報は同じように公表されてしかるべきです。

 そう考えた当会では、8月16日(水)に文部科学省の人事を担当している大臣官房人事課任用班任用第一係あてに、西尾前校長の現在の所属と職位を次のとおりメールで問い合わせました。

*****発信メッセージ*****
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2017年8月16日 16:26
件名: (お問い合わせ)貴職員の西尾典眞様の現在の所属先と職位について
To: mext-s@mext.go.jp

文部科学省
大臣官房人事課
任用班任用第一係 御中

毎々お世話になります。
ご多用中のところを恐縮です。

貴省職員の西尾典眞(にしお・よしちか)様の現在の所属・職位について教えていただければ幸いです。

西尾様は本年2017年3月末まで、群馬工業高等専門学校の学校長をされておられましたが、同4月1日付で出向元である文部科学省に戻られたということを、先日6月6日に同校の山崎誠・新校長、猿田智男・事務部長、櫻井孝幸・総務課長らと面談した際にお聞きしました。

その際、文部科学省のどの部署に戻られたのかについてご質問させていただいたのですが、「残念ながらわからない」とのことでしたので、おたずねする次第です。
できれば西尾様の公用メールアドレスも教えていただければ幸いです。

西尾様が同校校長就任時に発生したハラスメント事件について、その後、判明した事項について、西尾様にご報告させていただきたく存じます。

群馬県安中市野殿980
小川 賢
電話:090-5302-8312
Email: ogawakenpg@gmail.com
**********

■その後、回答が返ってこないため、1週間後の8月23日にも同様に問合せメールを発信しました。

*****再送メッセージ*****
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2017年8月23日 3:53
件名: Re: (お問い合わせ)貴職員の西尾典眞様の現在の所属先と職位について
To: mext-s@mext.go.jp

文部科学省
大臣官房人事課
任用班任用第一係 御中

毎々お世話になります。

8月16日に下記メールを送信させていただきましたが、現時点でご返事を頂けておりません。
ご多用中のところ大変恐縮ですが、Reminderとして再度お送りさせていただきます。

貴省職員の西尾典眞(にしお・よしちか)様の現在の所属・職位について教えていただければ幸いです。

西尾様は本年2017年3月末まで、群馬工業高等専門学校の学校長をされておられましたが、同4月1日付で出向元である文部科学省に戻られたということを、先日6月6日に同校の山崎誠・新校長、猿田智男・事務部長、櫻井孝幸・総務課長らと面談した際にお聞きしました。

その際、文部科学省のどの部署に戻られたのかについてご質問させていただいたのですが、「残念ながらわからない」とのことでしたので、おたずねする次第です。
できれば西尾様の公用メールアドレスも教えていただければ幸いです。

西尾様が同校校長就任時に発生したハラスメント事件について、その後、判明した事項について、ぜひ西尾様にご報告させていただきたく存じます。

群馬県安中市野殿980
小川 賢
電話:090-5302-8312
Email: ogawakenpg@gmail.com
**********

 そして遺憾ながら、その後も依然として文科省からの回答連絡がありません。引き続き定期的に問合せに対する回答の督促をしてまいりたいと思います。

■さて、なぜ教育者でない人物が、国の教育機関のトップにいとも簡単に就任できるのか、不思議に思っていたところ、2017年8月22日の新聞報道で興味ある記事を見つけました。

**********朝日新聞デジタル2017年8月22日20時41分
「天下り」がダメなら…国家公務員の「現役出向」増加中

「現役出向」する国家公務員が増え、「天下り」の減少分を補っている。
 政府系法人の常勤役員ポストに現役の官僚が出向する「現役出向」が増えている。退職した公務員による政府系法人への再就職(天下り)は、規制が本格化した2010年度からの6年間で53%減ったが、現役出向は逆に44%増えた。常勤役員の4人に1人が国家公務員経験者という構図は変わらず、現役出向が天下り規制の「抜け道」になっている。
★もたれあい構図変わらず 「現役出向」待遇は天下り並み
 国家公務員が監督先の法人を再就職先にする天下りは省庁と法人の癒着を生み、税金の無駄遣いにつながるとして08年に規制された。現職の公務員が法人への再就職のあっせんや求職活動をすることは禁止されたが、現役出向はこうした規制の対象外とされた。
 内閣人事局などの公表資料を分析すると、天下りで政府系法人の常勤役員に就任した国家公務員OBは、規制後の10年度(270法人)が196人だったのに対し、16年度(259法人)は93人へと半減した。これに対し、現役出向で常勤役員に就いた国家公務員は10年度の193人から16年度は277人へと増えた。役員ポストに占める国家公務員経験者の比率は、10年度27%、16年度26%とほぼ横ばいだ。
 主な独立行政法人や特殊法人計90法人について朝日新聞が聞き取りなどで調べたところ、役員に就いた出向者約170人はほとんどが所管する省庁の幹部で、大半は50代だった。給与は多くが非公開だが、給与基準などによると年収1300万~1500万円程度が中心とみられる。通勤手当などと合わせ、全て出向先の団体が支払う。天下りの時とほぼ同じ待遇だった。
 現役出向は天下り規制強化の直後、幹部を処遇するために広く認められるようになった。官庁と法人での退職金の二重取りがなくなるなどと説明されたが、当時から「抜け道」の懸念はあり、現実になった形だ。
 天下りや現役出向が続く背景には、各省庁で次官などの幹部候補を絞り込む過程で同期の官僚が50歳代で退職を求められる実態がある。天下りに詳しい神戸学院大学の中野雅至教授(行政学)は「天下りは人事を回すための手段であり、現役出向は窮余の策だが、役所と法人の癒着を招きかねない点で本質的な問題解決になっていない。働く意欲が維持できるよう気を配りつつ、定年まで働くことができる仕組みが必要だ」と指摘する。(野口陽、平林大輔)
     ◇
■役員ポストが天下りから現役出向に置き換わった主な法人
○日本政策金融公庫
2010年 常勤役員22人中、天下り10人、現役出向0人
  16年 常勤役員18人中、天下り1人、現役出向8人
○造幣局
 10年 常勤役員6人中、天下り3人、現役出向0人
 16年 常勤役員6人中、天下り0人、現役出向2人
○住宅金融支援機構
 10年 常勤役員11人中、天下り4人、現役出向1人
 16年 常勤役員11人中、天下り1人、現役出向3人
○成田国際空港会社
 10年 常勤役員13人中、天下り5人、現役出向0人
 16年 常勤役員12人中、天下り3人、現役出向2人
○日本原子力研究開発機構
 10年 常勤役員11人中、天下り3人、現役出向1人
 16年 常勤役員10人中、天下り0人、現役出向3人
(いずれも10月時点)
     ◇
 〈天下りと現役出向〉 天下りは、中央省庁の幹部職員が退職後、関係の深い政府系法人や企業に再就職する慣習。省庁と再就職先の癒着につながり、必要性の薄い予算や事業の温床になりやすいとの批判を受け、自公政権時代の2008年、改正国家公務員法で一定の規制がもうけられた。ただ、省内に滞留する中高年の職員が定年まで働けるようにするため、民主党政権下で10年に閣議決定された退職管理基本方針で現役出向が広く認められた。
**********

■これに関連して、2017年6月6日に当会が群馬高専を訪問し、山崎新校長ら同校幹部との面談の際に、西尾前校長の動静について質問したところ、同校の猿田事務部長は、次のとおり発言をしました。

**********
部長:はい。それから、あと、前校長に関して、でございます。えーと、まずあのう、異動の理由というところでございますけれども、こちらはですね、あのう人事交流、という形で、群馬高専の校長に着任されておりまして、えー、交流元のほうでですね、えー、まあいろいろ調整がございまして、交流元への復帰をされたという・・・されました。
注:出典:〇2017年6月15日:【詳報】群馬高専のアカハラ等問題について4月に着任の新校長ら幹部とオンブズマンの会合の一部始終
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2344.html#readmore
**********

 このように「人事交流」という言葉を、群馬高専の事務部長は用いましたが、これはつまり「現役出向」と同義語と思われます。

■では、天下りは無くなったかと思いきや、2017年2月7日の新聞では、国会であの有名な発言が飛び出し、議場内が騒然とした、という記事が報じられました。

**********朝日新聞デジタル2017年2月7日21時25分
天下り先「月2回勤務、年収1千万円」 国会どよめく

文部科学省の天下りの構図に関わる元事務次官ら。
 文部科学省による「天下り」のあっせんについて、7日に開かれた衆院予算委の集中審議。前事務次官や仲介役OBへの追及から浮かんだのは、OBに厚遇ポストを与え、再就職の支援活動を組織ぐるみで下支えする違法な構図だ。
 「天下り」あっせんの仲介役だったのは、本省の人事課に通算15年以上の勤務経験がある嶋貫(しまぬき)和男氏(67)。職員の異動を担う任用班の事実上の責任者を務め、人事課企画官などを経て2009年に退職した。
 問題の一つとなったのは、顧問だった明治安田生命保険での嶋貫氏の待遇だ。嶋貫氏の処遇について、省内で「保険会社顧問に就任し、再就職支援業務をボランティアベースで行う」とする案がつくられた翌年の14年に就任した。
 民進党の小川淳也議員は、顧問報酬について「月2日勤務で1千万円か」と質問。嶋貫氏が「社に出向く回数は基本的にそう」「金額はその通り」などと答えると、委員や傍聴人からは「おお」「1カ月2回か」とどよめきが起きた。

**********朝日新聞デジタル2017年2月7日09時37分
組織的あっせん「そのまま事実」 文科省前次官が謝罪

衆院予算委で答弁する前川喜平・文科省前事務次官。右端は安倍晋三首相=7日午前9時20分、岩下毅撮影
 文部科学省の組織的な「天下り」あっせん問題で、前川喜平・前事務次官は7日の衆院予算委員会に参考人として出席し、「責任を痛感している。国民のみなさまの信頼を損ね、深くおわび申し上げる」と謝罪した。
 組織的あっせんという再就職等監視委員会の認定については、「そのまま事実として受け止める必要がある」と述べた。

**********朝日新聞デジタル2017年2月7日05時01分
天下りあっせん体制、文科省主導か 仲介役の支援を要請

↑「天下り」あっせんについての文部科学省の調査報告の骨子
 文部科学省が人事課OBを仲介役にして組織的に「天下り」をあっせんしていた問題で、同省がこのOBによるあっせんの仕組みを維持するため、同省系の複数の団体にOBの事務所家賃や秘書給与の負担を持ちかけていた可能性が高いことがわかった。OBが仲介しやすい環境作りを同省が主導していた構図が強まった。
 文科省が6日に公表した調査報告などによると、同省人事課OBの嶋貫(しまぬき)和男氏(67)は、2009年7月の文科省退職後に仲介を本格化させた。14年1月には「文教フォーラム」(東京)という団体を設立。元文化庁長官が代表の公益財団法人「文教協会」(同)が14~16年の3年間、フォーラムの部屋の家賃計約900万円を払った。また、同省元事務次官が代表の一般財団法人「教職員生涯福祉財団」も協会に職員を出向させ、実際には嶋貫氏の秘書業務を担わせて給与を負担していた。
 報告と同時に公表された13年9月の文書「再就職支援業務について」には、同省が嶋貫氏による再就職支援に「一定の資金が必要になる」として、嶋貫氏が当時、審議役に就いていた生涯福祉財団に「秘書給与や執務室賃料を負担していただけないか」と要請したと記載。文科省が2団体による嶋貫氏の支援を主導したことがうかがえる。
**********

■この文科省の組織的な天下り斡旋問題では、仲介役の人事課OBが新設大学の学長に就任する案について、同省審議会が不適切だと判断しているとの内部情報を担当幹部が人事課職員に漏らしていたことが2017年2月22日に報じられました。
http://www.asahi.com/articles/ASK2P4TH0K2PUTIL037.html

 報道によれば、この幹部は次善の策として副学長などへの就任を模索したとされ、天下りの中心だったOBを何とか処遇しようとする文科省ぐるみの構図が改めて鮮明になったと結論付けています。

 文科省が2017年2月21日に公表した調査の中間報告によると、人事課職員が直接の担当ではないのに、この大学の設置審査に関する情報を入手していたことになるため、文科省はこうした点を「設置審査の信頼性を大きく損なう」などと指摘して、国家公務員法違反と判断しました。

 しかし今回の群馬高専の前校長の文部科学省内での所属部署・職位に関する当会の問合せに対して、情報の有無についてさえ何ら回答しようとしない文科省人事課の対応ぶりを見るにつけ、あれだけ世論の反発を買ったにも拘らず、とっくに反省心を捨て去っているとしか思えません。

 当会は引き続き、西尾前校長のその後の動静について調査をしてゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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