市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

河内長野市生活保護費2億6千万着服事件と安中市タゴ51億円着服事件

2013-12-03 22:39:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■大阪府河内長野市は大阪府南部にあり、和泉山脈を隔てて奈良県と和歌山県に接している大阪府内で3番目に広い面積(109.61km²)を有する人口109,559人(平成25年10月1日現在)の自治体です。平成25年10月20日、同市に勤務する40代の職員が、業務上横領容疑で大阪府警捜査2課に事情聴取を受け、同市役所などが家宅捜索されたあと、同職員は10月21日に逮捕されました。

**********読売新聞2013年10月21日(月)23時18分配信
生活保護費2億6千万円不明、元福祉課職員逮捕
 大阪府河内長野市で生活保護費約2億6600万円が使途不明になり、内部犯行との見方が強まっていた疑惑で、府警捜査2課と河内長野署は10月21日夜、不明金のうち4百数十万円を着服したとして、市まちづくり推進室主査・宮本昌浩容疑者(43)(大阪府富田林市高辺台)を業務上横領容疑で逮捕した」
宮本容疑者は調べに容疑を認め、「株など金融商品の購入のほか、預貯金に充てたり自宅で保管したりしていた」などと供述。自宅からは数千万円がかばんやビニール袋などに入れた状態で見つかり、府警が押収した。
 発表では、宮本容疑者は生活保護業務を所管する生活福祉課で保護費の出入金などを担当していた2010年5月中旬~同11月上旬、十数回にわたり、保護費を管理する同課課長名義の口座から、計4百数十万円を庁舎内の現金自動預け払い機(ATM)で引き出して着服した疑い。
 着服総額については「考えて整理しないと分からない」と言っているという。府警は、市からの告訴を受け、20日に市役所などを捜索。宮本容疑者については、同日に続き、21日も朝から事情を聞いていた。
市市によると、宮本容疑者は1993年4月採用。仕事熱心との評判で、後輩を厳しく指導することも多く、ある同僚職員は「金に絡むトラブルは聞いたことがない」と驚く。職場では夜遅くまで残業したり休日出勤したりする姿が度々目撃されており、この職員は「頑張っているなと労をねぎらったこともある。不正が本当なら許せない」と憤った。
 宮本容疑者は2001年から生活福祉課で勤務し、保護費の支給額を決定する「電算システム」担当を務めていたが、保護費を現金で引き出せる「経理」担当の女性職員が出産休暇に入った09年1月以降、この業務も兼務することになった。
市によると、保護費はシステム担当らが入力したデータを基に支給額などが決定され、多くは受給者の口座に振り込み入金されるが、市の窓口で支払う場合は、経理担当が現金を引き出す仕組み。二つの担当は本来、分離されていたが、宮本容疑者は異例の兼務となったことで、保護費の支給事務を独占管理することができるようになった。
 宮本容疑者は、システム担当の立場を悪用し、受給額を水増しするなど架空の支出を捏造し、さらに支給方法を窓口としたうえで、経理担当の立場も悪用。支給を装って庁舎内のATMから引き出すなどして着服していたとみられる。
 窓口払いの場合は、職員が受給者に保護費を渡した証明として領収書を上司に提出する必要があるが、宮本容疑者は、同僚らに「書き損じに備えて受給者からもらっておいて」と依頼して金額を抜いた状態のものを集めておき、後で金額を入れて提出していたという。
市は「大きな権限を与えたことが、不正を許す結果につながってしまった」とし、管理体制の甘さなどを詳しく調べたうえで、関係者を処分する方針。

**********日経2013年10月22日 2:00
河内長野市職員を逮捕 生活保護費着服の疑いで大阪府警
 大阪府河内長野市の職員が生活保護費の支給を装って公金を着服したとされる事件で、大阪府警捜査2課は21日、約400万円を着服したとして、同市まちづくり推進室職員、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台3=を業務上横領の疑いで逮捕した。市によると、2009年以降の2年間で生活保護費計約2億6千万円が使途不明になっており、同課は捜査している。
 捜査2課によると、宮本容疑者は容疑を認めている。横領した金は株式の購入や預貯金に充てたほか、現金数千万円を自宅で保管していた。
 市によると、宮本容疑者は09年1月~11年3月まで生活福祉課で生活保護費の支給業務を担当。同容疑者が異動後、市の保護費は前年度より約7500万円減少。市内の受給世帯数は増加しており、市は同容疑者が担当を外れたことで着服が止まったとみている。
 逮捕容疑は、10年5~11月、保管していた同市生活福祉課長名義の口座から十数回にわたり、現金計約400万円を引き出し、着服した疑い。横領した現金はすべて市役所に設置されたATMで出金していた。
 市によると、同容疑者が異動後の11年4月、元受給者の男性に1度に約5千万円を支給した記録が判明。不審に思った別の職員が上司に報告したが、上司はエラーと思い込み放置。12年8月のシステム更新時にもエラーが確認され、内部調査をしたところ不明朗な支出が発覚した。
 市は昨年10月に府警に相談、今月上旬に刑事告訴していた。

**********毎日新聞 2013年10月21日 23時21分
河内長野市:市職員を逮捕 生活保護費着服の疑い
 大阪府河内長野市の生活保護費の不正支出問題で、大阪府警は21日、生活保護費約400万円を着服したとして、市まちづくり推進室主査、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台3=を業務上横領の疑いで逮捕した。府警は宮本容疑者の自宅から、カバンやビニール袋に小分けされた現金数千万円を押収した。不正支出の総額は約2億6600万円に上る可能性があり、府警は余罪や使途を追及する。【津久井達、遠藤浩二、近藤諭】
 逮捕容疑は、生活保護を担当する生活福祉課にいた2010年5月〜11月、市の口座から生活保護費として約400万円を不正に引き出して着服したとしている。
 捜査2課によると、宮本容疑者の複数の口座に多額の入金があった。また、不正支出した金は株などの金融商品の購入費にも充てていたとみられる。
 宮本容疑者は容疑を認めた上で、「どれくらい着服したのか、整理しなければ自分でも分からない」などと供述しているという。
 宮本容疑者は、生活保護費の加算分の申請書類や受給者の領収書を偽造して不正支出し、市役所内の現金自動受払機(ATM)から現金を引き出していたとみられる。市によると、09年1月〜11年3月、計約2億6600万円が約1300件に分けて不正支出されていた。
 宮本容疑者の逮捕を受け、芝田啓治市長は「信頼を失墜させ、心からおわびします」とのコメントを出した。

**********時事2013年10月21日 22:37)
河内長野市職員を逮捕=生活保護費横領疑い-大阪府警
 大阪府河内長野市の職員が生活保護費を横領したとされる事件で、府警捜査2課などは21日、業務上横領容疑で同市都市建設部主査、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台=を逮捕した。市によると、総額約2億6600万円を横領した疑いがある。
 同課によると、「株などに使った」と容疑を認め、自宅から現金数千万円を押収したという。
 逮捕容疑は、生活福祉課在籍の2010年5~11月、生活保護費約四百数十万円を横領した疑い。
 市によると、同容疑者は09年1月~11年3月、支給状況を記録する電算システムの管理と経理事務を担当し、着服は1326回に及んだ。この間、上司のチェックは一切なかったという。
**********

■その後、警察が同職員を送検し、平成25年11月11日、大阪地検堺支部は、市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=を生活保護費の不正支出による業務上横領罪で大阪地裁堺支部に起訴しました。

 その後、取調べが進むに連れて、事件の概要が次第に明らかになってきました。
 同市関係者は、市の調査で判明した被害総額は約2億6千万円に上るとしており、業務上横領の疑いで逮捕されたのは、同市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=でした。逮捕容疑は、生活保護費の支給担当をしていた2009年からの約2年間に着服した疑いがあるというものです。

 平成25年11月6~11日のマスコミ報道です。

**********産経2013.11.6 02:05
河内長野市職員の生活保護費着服 市側答弁 大阪
■「2.6億円返済の資力ある」
河内長野市職員による生活保護費着服事件で、原因究明と再発防止に向けた市議会特別委員会が5日開かれ、市は、約2億6千万円を着服したとされる元市主査の宮本昌浩容疑者(43)について、全額を返すことができる可能性があることを明らかにした。
 田中満副市長が 「相手方の弁護人から(宮本容疑者に)2億6千万円を返す資力はあるように聞いているが、はっきりした額は教えてもらっていない」と述べた。また、市は、宮本容疑者名義の可能性がある金融機関口座の預金仮差し押さえについて、新たに約3千万円を確保し計約5千万円になったことを示した。
 一方、委員からは、市のチェック態勢への批判が相次ぎ、市側は、当時の上司2人に聞き取りを行ったとしたうえで、生活保護費などを決定する査察指導員が宮本容疑者に決定行為を任せていたほか、支出の決裁を行う課長がほとんどノーチェックで押印していたことを明らかにした。

**********スポニチ 2013年11月11日 12:45
大阪・河内長野市 生活保護費横領の元市主査の資産4億円超
 大阪府河内長野市の生活保護費着服事件で、業務上横領の疑いで逮捕された元市主査宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=が、4億円以上の資産を保有していたことが11月11日、大阪府警への取材で分かった。河内長野市は着服の総額を約2億6000万円としている。
 府警捜査2課によると、着服の動機を「小さいころから裕福ではなく、お金に対する強い執着心を持っていた」と供述。同課は、宮本容疑者が着服金だけでなく給与の多くを貯蓄に充てていたとみている。
 同課によると、宮本容疑者の自宅からは8000万円を超える現金が見つかっており、1億円以上の預貯金や2億円を超える株式や投資信託などの金融商品も保有していた。
 大阪地検堺支部は11月11日、保護費約400万円を着服したとして宮本容疑者を業務上横領罪で起訴した。

**********産経2013.11.11 13:03
「金に強い執着」業務上横領罪で元河内長野市主査起訴 4億円超蓄財も

↑業務上横領罪で起訴された元河内長野市主査の宮本昌浩被告(今年3月撮影) ↑
 大阪府河内長野市の生活保護費着服事件で、業務上横領容疑で府警に逮捕された元同市主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=が「小さいころに家庭が裕福でなかったため、金に強い執着を持つようになった」と供述していたことが11月11日、府警への取材で分かった。
 府警によると、宮本容疑者は不正のきっかけを「ミスを隠したらばれなかったことがあり、横領してもばれないと思った」と説明したという。
 宮本容疑者には4億円超の資産があることも判明。自宅から約8千万円の現金が見つかったほか、約1億2千万円の預貯金や、約2億円にのぼる投資信託などの金融商品を保有していた。
 一方、大阪地検堺支部は11月11日、約420万円の業務上横領罪で宮本容疑者を起訴した。起訴状によると、平成22年5月~11月、11回にわたり、河内長野市役所内のATM(現金自動預払機)で、生活保護費を管理する口座から計418万5933円を引き出し、着服したとしている。

**********毎日2013年11月11日 12時10分(最終更新11月11日12時30分)
生活保護費着服:河内長野市の元職員を起訴
 大阪府河内長野市の生活保護費の不正支出事件で、大阪地検堺支部は11日、市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=を業務上横領罪で大阪地裁堺支部に起訴した。捜査関係者によると、宮本被告は着服を認めているという。
 起訴状によると、宮本被告は2010年5月18日~11月2日の計11回、業務で保管していた生活保護費約419万円を市役所内の現金自動受払機(ATM)から引き出したとされる。
市の調査では、宮本被告は領収書を偽造するなどの手口で、09年1月~11年3月の間に約2億6600万円を不正に引き出したとされる。
 一方、宮本被告は府警の調べに、「幼い頃、裕福でなく、欲しいものが買えず我慢していた。お金があれば困らないと思い、ためられるだけためようと思った」と動機を説明。 自宅に8000万円以上の現金があったほか、預金や株などの投資分を含めると、宮本被告の資産は4億円を超えるという。 不正に手を染めるきっかけについては、「ミスを隠そうと虚偽の手続きをしたが発覚しなかった。同様の不正をしてもばれないと思った」と話しているという。 【高瀬浩平】
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■そして、最近のマスコミ報道では、さらに河内長野市のデタラメ行政ぶりが明らかにされています。

**********産経2013年11月26日 07:00
生活保護横領で資産4億円超、銭ゲバ公務員「昔が貧乏だったから」のドケチぶり…犯行許した大阪・河内長野市のデタラメぶり
 4億円を超え、自宅の廊下には無造作に8千万円の札束が置かれていたという(平成25年3月撮影) ↑
「横領しても、絶対にばれない」。大阪府河内長野市の元職員が狙いを定めたのは、ずさんな管理下にあった巨額の税金だった。市の口座から生活保護費約2億6600万円を不正に引き出し、うち約400万円を着服したとして大阪府警に逮捕された元職員。ところが、手にした大金は散財することなく、大半を貯蓄に回したり、投資運用していた。そして、低家賃の団地で質素な生活を続けた。逮捕時に貯め込んでいた金融資産は4億円超。カネに強い執着心を持つ“銭ゲバ”というべきで、元職員は犯行動機についてこう供述したという。「お金があれば困らない。貯められるだけ貯めたかった」
■自宅廊下に8千万円「札束」
10月20日、大阪府富田林市の団地の一室を捜索した府警の捜査員は、思わず目を疑った。2DKの室内にあったのは現金約8千万円分の札束。リュックサックやポリ袋などに小分けして詰め込まれ、家族が頻繁に行き来する廊下の片隅に無造作に放置されていた。
 部屋の主は元河内長野市職員の宮本昌浩被告(43)=業務上横領罪で起訴、懲戒免職。平成13(2001)年から約10年間、生活保護を主管する部署で働き、同僚から保護行政のエキスパートとして一目置かれる存在だった。
 府警は札束を押収。翌21日、自ら管理していた市の口座から約400万円の保護費を着服したとして、宮本被告を業務上横領容疑で逮捕した。
 妻は大金が廊下に置かれていることに気づいていたが、「家計のことで旦那に口を出すと怒られる」という理由で追及しなかった。一方、宮本被告は府警の調べに「本当は銀行に預けたかったが、あまりに金額が多いと不審に思われる恐れがあり、怖くてやめた」と話したという。
■金に執着、交通費二重請求も
 府警によると、宮本被告は逮捕時、4億円を超える金融資産を保有していた。内訳は、自宅にあった現金8千万円のほかにも預貯金が1億2千万円、投資信託などの金融資産が2億円以上。投資の損失はなく、着服したとされる約2億6600万円はほぼ手つかずで残っていた計算になる。
 一般的に大金を手にした横領犯は、住居や車、遊興費などに派手に使い込む傾向がある。ところが、共働きの妻と子供2人との4人暮らしの宮本被告は、家賃5万円程度の団地から引っ越さず、車も軽乗用車のままだった。
 質素倹約を貫いたのは金への強い執着心があったから。府警の調べに、「幼いころに裕福でなく、ほしいものが買えずに我慢していた。金があれば困らないと思い、貯められるだけ貯めるという考えを持つようになった」と明かしている。
 ある同僚も「とにかくケチ。細かい出費にもうるさかった」と打ち明ける。例えば経費精算。南海電鉄の株主として得た無料乗車証で通勤しながらも、市に交通費を請求し、却下されたことがあったという。
■ミス隠蔽ばれず、着服を計画
 「金さえあれば安心」。そうは思っても、普通はそう簡単に他人の金を着服できない。ところが、宮本被告は思わぬ偶然から犯行を思いついた。
 あるとき生活保護費を二重支給するミスをしてしまった。それを隠蔽するために虚偽の手続きを取ったところ、内部で問題にならなかったのだ。
 「ミスのつじつまを合わせようとしても発覚しないのなら、横領してもばれない」
 そう考えると、平成21年1月~23年3月、計1326回にわたって市の口座から現金約10万~40万円を繰り返し出金。総額は約2億6600万円にまで膨れあがった。
 思惑通り、市はその間、全く犯行に気づかなかった。その背景には、保護費の支給事務を宮本被告に独占させていたという、市のずさんすぎる公金管理の実態があった。
■筆跡酷似の領収証、見抜けず
 市の支給事務ではまず、受給者の申請を「ケースワーカー(CW)」が審査し、保護費の支給の可否や支給額を決定。端末に入力したそれらの情報を「電算システム担当」が管理し、最後に「経理担当」が受給者の口座に現金を振り込んだり、CWを通じて窓口で直接現金を支給したりする流れになる。
 これらの担当は本来分離されるべきものだが、宮本被告は21年1月以後、出産休暇に入った経理担当の女性職員の代理を任され、一人三役を兼務していた。
 この状況を利用し、元受給者や架空の受給者への支給をでっち上げるなどの方法で端末にでたらめな金額を入力し、庁内のATMから保護費を次々に引き出した。
 さらに、経理担当が保護費を渡した証明としてCWを通じて受給者から受け取る領収書について、白紙の領収書を同僚CWらに催促。自ら印鑑を用意するなどして偽造していた。
 このような「大胆かつ稚拙(ちせつ)」(市幹部)なやり口にもかかわらず、上司らは決裁をスルーし続けた。偽造された領収書には似たような筆跡が並んでいたにもかかわらず、だ。
 市幹部は「誰かが領収書の束を見ていれば犯行に気づけた。ずさんなチェック態勢だったと言わざるを得ない」とうなだれた。
■府監査に「兼務解消」とウソ
 「行政の信頼を根幹から揺るがす。本当に遺憾だ」
 宮本被告の逮捕後、市は世間の猛烈な批判にさらされ、ついには閣議後の記者会見で田村憲久厚生労働相から名指しで糾弾された。
 しかしその後も、市の信じられない保護行政の実態は次々と明るみに出た。
 実は市では、宮本被告の着服が始まったとされる21年以前にも、保護費の申請と支出の業務を宮本被告に兼務させていた。府は不正につながる恐れがあるとして、定期監査で2度にわたって「不適切」と指摘。宮本被告はいったん兼務を外れたが、市は23年1月に再び元の状態に戻し、府には「兼務を解消した」と嘘の報告をしていた。
 職員が金を貯め込んでいたため、着服したとされる約2億6600万円の保護費は全額弁済される見込みだが、市の保護行政への信用は地に落ちた。市議会はすでに議員全員が参加する特別委員会を設置し、原因究明と再発防止に向けた議論を進めている。
 ある府警の捜査関係者は「上司のずさんな決裁を狙い撃ちにした元職員も、それに気づかず元職員に業務を任せきりにしていた役所も、結局どっちもどっち。情けない行政の尻拭いをさせられた気分だ」と切り捨てた。

↑大阪府河内長野市の生活保護費と受給者数の推移。宮本昌浩被告が担当していた時期をみれば、担当を外れた年に保護費、受給者数ともに減っていることがわかる。 ↑
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■51億円巨額横領事件で名を馳せた安中市に負けずとも劣らない河内長野市の生活保護費を巡る担当職員による横領事件ですが、両者には共通する部分が多々あります。

●共通点その1<管理監督面のズサンさ>
 使途不明となった約2億6千万円が平成21年1月~23年3月までのわずか2年2カ月の間に、死亡や転出などで生活保護費の支給対象者が市内に存在しないにもかかわらず、1326件もの虚偽公文書が作成され、それが誰にも見破れなかったということ。おなじ生活福祉課にいる同僚や上司は一体何をしていたのでしょうか。
 安中市のタゴ51億円事件では、本人が横領金で金満生活をしていて、80万円もするスーツや骨董品の古伊万里の湯飲み茶碗を得意げに披露したり、さらには、市役所内で競馬のノミ行為をして、多くの職員が関与し、さらには高崎競馬場でタゴと一緒に馬券を買ったり、徹夜マージャンに興じたり、果てはタゴから横領金で購入した骨董品をプレゼントされていた職員らもいました。しかも、タゴのことを真面目で仕事熱心で有能な職員だとして、15年間も同一職場に配置していたのです。当時タゴが作った公社の決算書から繰越金500万円が消えていても公社監事として承認印を押したのが当時市議会議員だった岡田義弘市長ですが、岡田市長はこの件で未だに説明責任を何も果たしていないのです。

●共通点その2<偽造書類のオンパレード>
 本来、役所で作成される公文書は性善説にもとずくため、例えば法務局などでも登記する場合、嘱託登記といって、極めて簡単な手続で済みます。役人が申請書や領収書などを勝手に偽造しても、金融機関や公的機関はそのまま鵜呑みにします。役人が作成したり受け取ったりしたあとの文書というのはそれくらい信用があるのです。だから、詐欺師や横領犯が役人になると、何でもやり放題なのです。
 河内長野市の場合、領収書の偽造から始まって、死亡者や実在しない人物を受給者に仕立て上げて、5千万円もの偽装振込み等、不正件数が1326件にのぼっても、誰も何も築かない、というのが役所の実態なのです。民間ではクロスチェックが常識なので、こんなに酷いズサンな会計処理は考えられません。河内長野市では、今回の着服事件が始まったとされる平成21年以前にも、生活保護費の申請と支払いの両方の業務を同一職員に兼務されていたというのです。役所ではいったいどんな仕事のやりかたをしているのでしょうか。
 安中市のタゴ51億円事件の場合には、公社が土地買収をする際に、銀行振り込みをせずに、タゴが群馬銀行から現金を1千万円単位でおろして、それを関係者に支払っていたのに、同僚も上司もだれも一緒に銀行に行かずに、また群馬銀行もそのことを異常に思わず、平気で長期間、タゴのやることについてチェックしないままでした。現金取引ですから、領収書も簡単に偽造できます。他の自治体の公社や、他の金融機関ではきちんと口座振替で支払いを行っていたのに、安中市の場合は、横領犯を長年野放しにしていたおかげで、51億円もの大金が簡単に職員のものになりました。しかも、事件発覚の何年か前に、タゴの行状が不審だということで配置換えの提案が出されましたが、当時市議だった岡田現市長がその提案を握りつぶしたこともありました。勿論、岡田市長はこのことについて事件発覚後18年も経過するのに、一言も説明責任を果たしていません。

●共通点その3<自宅廊下に札束ゴロゴロ>
河内長野市の場合、職員は大阪府富田林市の団地に住んでいました。ここを捜索した警察の捜査員によれば、2DKの室内に現金約8千万円分の札束がリュックやポリ袋などに小分けして詰め込まれ、家族が頻繁に行き来する廊下の片隅に無造作に放置されていたということです。当然、家人が不審に思うはずですが、公務員の家族というのは、なぜか巨額のカネに対して感覚が鈍いようです。妻は大金が無造作に廊下にあることに気づいていたのに「家計のことで旦那に口を出すと怒られる」という理由で追及しなかったそうです。一方、横領職員は警察に対して「本当は銀行に預けたかったが、あまりに金額が多いと不審に思われる恐れがあり、怖くてやめた」と話しています。こうした家族ぐるみでの犯罪というのが公務員の横領事件の一つの特徴だとも言えます。公務員の家族は「横領金だとはしらなかった」と言えば、お咎めがないと指導されているのかもしれません。
 安中市のタゴ51億円事件の場合、家の中に高価な骨董品がゴロゴロしており、さらに、記念硬貨が数百万円分も引き出しにしまってありました。群馬銀行には合計すると1億円を遥かに超える預金が家族名義でも預けられておりました。もちろん、正月には銀座の三越から特別仕様のおせち料理を取り寄せ、100万円もする大島紬の和服を着て、地元の新年会に顔を出していました。妻は毎月100万円以上の小遣いをもらい、総額1億5千万円をもらって贅沢三昧をしていても、警察での事情聴取では、「まさか横領金とはしらず、夫が“ギャンブルでもうけた”という話を信じきっていた」と平然と言えば、共同正犯には問われないのです。

●共通点その4<金に執着、交通費二重請求>
 河内長野市の事件では、警察によると、元職員は逮捕時に4億円を超える金融資産を保有していたそうです。内訳は、自宅の廊下に無造作に放置してあった現金8千万円のほかにも銀行での預貯金が1億2千万円、投資信託などの金融資産2億円以上だったとか。タゴと異なり、豪遊による散剤はあまりせず、着服したとされる約2億6600万円はほぼ手つかずで残していたようです。
 一方、安中市のタゴ51億円事件の元職員は、まだ横領金がさほど多くならない昭和50年代には、市営住宅に入居していました。当時、どんな手を使ったのかわかりませんが、母子家庭ということで入居し、地区の区長や隣保班班長が回覧板を届けに行くと、母子家庭のはずのタゴ宅に元職員が同居していて驚いたというエピソードがあります。
 このことから、おそらく河内長野市の元職員の場合も、初めの2、3年間で横領額が2、3億円の段階ではまだ“銭ゲバ”状態であったかもしれませんが、さらに横領額が拡大すれば、安中市のタゴ51億円事件のように、住居や車、遊興費などに派手に使い込む傾向に変化していく可能性があります。
 なお、安中市の場合、タゴが金満家だということを同僚や上司も知っており、市の職員が市内のスナックで飲み食いしたあと、市役所の直ぐ前に済んでいるタゴを呼び出し、代わりに支払わせていたというエピソードは市民の間ではつとに有名です。
 もっともこのエピソードを市の職員に聞かせると、「そんな話は長年勤務して来たが、一度も聞いたことがない」と口を揃えて言い張るのも興味深いことです。

●共通点その5<市の口座から毎週10回以上現金で引き下ろし>
河内長野市の事件では、元職員が、平成21年1月~23年3月の27ヶ月間に計1326回にわたって市の口座から現金約10万~40万円を繰り返し出金し、総額は約2億6600万円に上りました。ということは、27ヶ月間=810日間で1326回ですから、平日にすれば578日間となり、1日平均2回以上、現金を口座から庁内のATMで下ろしていたことになります。
一方、安中市のタゴ51億円事件の場合は、元職員タゴは毎週1回のペースで平均1千万円前後の現金を群馬銀行安中支店の窓口で、持参した黒い布袋に入れてもらって堂々と同支店を出ていました。しかも、現金を窓口で準備する間、元職員は支店長室に呼び込まれ、支店長からチヤホヤされていたのでした。そのチヤホヤしても都職員の機嫌をとっていたのが、現在、群馬県信用組合(けんしん)の理事長をしている当時群銀安中支店の松井誠・元支店長でした。
市の公金管理のズサンさはもとより、金融機関の役人に対する対応のズサンさも問題です。

●共通点その6<偽造領収証が見抜けない>
 河内長野市の事件では、同市の生活保護の支給事務において、①まず、受給者からの申請を「ケースワーカー(CW)」が審査し保護費の支給の可否や支給額を決定し、端末にそれらの情報を入力する。②それらの情報を「電算システム担当」が管理する。③最後に「経理担当」が受給者の口座に現金を振り込んだり、CWを通じて窓口で直接現金を支給したりする。というプロセスになるようです。これを元職員が2年3ヶ月の間、一人三役で兼務して、存在しない受給者を仕立てて偽造書類をでっち上げ、庁内のATMから打ち出の小槌同然で現金を引き出していました。さらに保護費を渡した証明となる領収書は、白紙の領収書を顔なじみのCWからもらって、適当に三文判を勝手押印していたというのです。さらに偽造された領収書には同じような筆跡が並んでいましたが、同僚や上司は誰もその領収書の束を見ようともしませんでした。
 安中市のタゴ51億円事件の場合はさらにズサンです。元職員タゴが、群馬銀行から金銭消費貸借証書や払い戻し請求書を大量にもらい、偽造書類を作成して公社の理事長印を自由自在に押印しまくり、さらに秘書課で市長印を管理している係長に、偽造書類に市長印をバンバン押してもらっていました。その当時係長だった横田係長は、市内に途方もない豪邸を建てて、今も悠々自適の暮らしをしています。共同正犯には問われなかったためです。

●共通点その7<府の監査に「兼務解消」と平気でウソをつく>
 河内長野市の事件では、元職員の着服が始まった平成21年以前にも、保護費の申請と支出の業務を宮本被告に兼務させていたとのことです。ということは通常は2年で異動させるところを、さらに長期間同一配置させていたことになります。「兼務」というのは不正の温床ですから、民法でも「双方代理の禁止」という取引の権限が同一人物に帰することを認めていません。しかし、同市では、不正の温床を大阪府の監査で指摘されて、一旦兼務を解除したのに23年1月に再び元の状態に戻したうでに、大阪府には「兼務を解消した」とウソをついていました。
 安中市のタゴ51億円事件の場合、既に述べたように、あまりにも長期同一配置による弊害を懸念した公社理事らが、タゴの配置転換を提案しましたが、当時の小川勝寿市長や、当時市議で公社監事・理事の経験者だった岡田義弘・現市長が配置展開の提案を握りつぶしたのでした。しかも、18年前にタゴ事件が発覚した後、事件の再発防止のため、それまで市長が公社理事長も兼務していた体制をあらため、別法人としての形を外部に示す為に、ずっと市長と理事長は別々の人物が就いていました。しかし、平成19年6月から、市長就任2年目の岡田市長が、突然安中市土地開発公社の理事長を兼務し、公社の理事から議員や農業委員会長らを排除し、すべて自分の息のかかる市役所の部長クラスで公社理事を固めたのでした。

■このように河内長野市の2.6億横領と、安中市の51億横領の、2つの横領事件には共通点が多々あります。

 河内長野市の場合は幸いなことに、犯人の元職員が豪遊する前に捕まり、横領金は自宅の廊下にころがったまま、無事だったことです。とりあえず市への直接の損害は回避されそうです。

 ところが、安中市のタゴ51億円事件は様相を大きく異にします。公社の理事監事をはじめ、安中市の幹部など関係者が誰一人として責任をとらず、我々市民の財産である公社をタゴ51億円事件の尻拭いの為の和解金捻出機関として、我々の血税で雇用している市職員をタダで兼務させて、あと89年間、群馬銀行への和解金支払いのために存続させようとしているのです。

■我々市民は、病気で働けなくなろうが、リストラでクビにされようが、失職して収入を失おうが、税金や固定資産税など死ぬまで払い続けなくてはなりません。そこに住んでるだけで、高額な市民税も取り立てられます。必死で稼いだ血税が行政の手に渡ると、このようなズサンな公金の扱われ方をされてしまうのです。

 安中市長をはじめ行政関係者は「血税」と言う言葉をよく使いますが、実際には「あぶく銭」としか思っていないようです。楽して金持ちになるには、行政マンになって公金を横領して溜め込むのがもっとも効率の良い方法かもしれません。安中市のタゴ51億円事件は、まさにそのことを証明していると言えます。

 きたる12月25日(水)のクリスマスの日は、毎年恒例のタゴ豪遊の尻拭いである群馬銀行への和解金20億5000万円の103年ローンの一部である2000万円の支払日です。平成11年から毎年2千万円ずつ支払っている103年ローンですが、今回の支払いが15回目となります。あと88年間、我々安中市民の苦難が続くことについて、元職員タゴをよく知る岡田市長は、どのように思っているのでしょう。、

【ひらく会情報部・タゴ事件18周年記念調査班】

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住民が知りたい情報もテロリスト呼ばわりされて秘密扱いとなる秘密保護法成立を待ち焦がれる輩たち

2013-12-03 00:53:00 | オンブズマン活動
■自民党、公明党の与党やみんなの党などのごり押しで特定秘密保護法案が10月25日に衆議院本会議で審議に入り、11月26日に衆院を通過し、同27日から参議院で審議が行われています。

 市民オンブズマン群馬では、官僚に情報を自在に操作できる権限を与えるこの危険な法律に反対する声明文を平成25年10月21日付で、政府自民党に送っていますが、官僚のコントロール下にある我が国の保守政治家の耳目には、結局届かなかったことになります。(当会ブログhttp://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1140.html 参照)

 なぜ市民オンブズマン群馬としてこの法律に危機感を覚えるかというと、市民が情報公開をした場合、役所が非開示にする理由として「不特定多数の市民に情報を開示するとテロリストの手に情報が渡り、安全・安心な社会が担保できなくなる」という理屈を持ち出してきたことが多数あるからです。

 例えば、市政をひらく安中市民の会が、平成21年1月21日付で、当時東京ガスが地元の安中市北野殿地区に「バルブステーション」と呼ばれる施設を建設中であることから、この施設に設置された高さ30メートルの巨大な放散塔に関して、可燃性の高い超高圧ガスが放散された場合、どのような事態が発生するのか、住民の間にあった不安を解消すべく、放散塔の構造等を含む情報について建築基準法の観点から東京ガスに対して許可を与えた群馬県知事(実施機関:群馬県西部県民局高崎土木事務所総務係(電話027-322-4186)に対して、開示請求したことがあります。

ところが、肝心の放散塔の構造に関する情報が非開示とされたため、ひらく会では異議申立をしました。その際、平成21年6月12日付で群馬県が諮問機関である情報公開審査会に対して次の内容の理由説明書を提出しました。
(当会のブログhttp://pink.ap.teacup.com/ogawaken/272.html 参照)

**********
(4)条例第14条第4号の該当性について
(対象部分)
①設計図書
①の全部非開示とした設計図書は、築造主(瓦斯事業者)が築造する施設(公共公益施設)で、天然ガスを安定供給するために建設するパイプラインに付帯して設けるガス放散塔であることから、設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある情報である。
 また、解釈及び運用の基準で、「公にすること」とは、秘密にせず、何人にも知り得る状態におくことを意味する。本条例では、何人も開示請求ができることから、開示請求者に開示するということは、何人に対しても開示を行うことが可能であるということを意味する。したがって、非開示情報該当性の判断をする場合、「おそれ」の有無等については、「開示請求者に開示することにより」ではなく、「公にすることにより」判断することとしている。
 以上のことから条例第14条第4号本文に該当し、非開示と判断したものである。
**********

■群馬県のような地方の木っ端役人でさえも、このような屁理屈をこねくり回すのですから、頭脳優秀な国の官僚たちにとってはさらにこまっちゃくれた理屈をかざすのはメに見えています。

 こうした中、特定秘密保護法案を参院で審議しているさなかに、与党自民党の石破幹事長が、つい官僚のホンネを代弁するコメントを自分のブログに載せたのでした。

**********産経2013年12月1日 14:09
石破氏 秘密保護法案反対のデモは「テロ行為」
 自民党の石破茂幹事長が11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する国会周辺での市民団体らのデモについて「単なる絶叫戦術は、テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と批判した。
 石破氏は1日の富山県南砺市での講演でも「人が恐怖を感じるような音で『絶対にこれを許さない』と訴えることが、本当に民主主義にとって正しいことなのか」などと批判。自身のブログの記述については「表現に足らざるところがあれば、おわびしなければならない」と釈明した。
**********

■特定秘密保護法が成立すると、国の情報公開法や地方の情報公開条例は完全に骨抜きになってしまうでしょう。

 その向こうに待っているのは、官僚主導の情報統制社会であり、いつか来た道を辿ることになりかねません。

 まだ間に合います。みんなで、このとんでもない悪法を阻止する為に、夫々できる手段や方法を駆使して、なんとか廃案に追い込むようにしましょう。

【ひらく会事務局】

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