■これに対して、高崎市側は、10月31日に準備書面(2)で、反論を試みてきました。この中で高崎市は「高崎経済大学授業料等徴収条例やその施行規則は高崎市のホームページに公開されており、何人も確認可能な状況であった」と主張しています。しかし、現在、ネットで「高崎経済大学授業料等徴収条例」をキーワードにして検索しても、全然ヒットしません。やはり、きちんと学生募集要項に丁寧に明記すべきです。
**********【平成25年10月31日 被告準備書面(2)】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求 慰謝料請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市
準備書面
平成25年10月31日
前橋地方裁判所高崎支部 民事部D係 御中
被告訴訟代理人弁護士 渡辺明男
1 入学料減免制度について学生募集要項に記載しなかったことについて
高崎経済大学学生募集要項に「授業料又は入学料の分割徴収又は減免」措置の存在ならびにそれらの申請手続き方法等を記載していないことを非難しているが、学生募集要項に記載する項目、内容は、それぞれの大学において学生募集を行うにあたり必要と思われる事項を記載しているものである。
本学においては、募集人員、出願資格、入学試験日等のほか、入学手続に必要な事項を記載している。
同募集要項における入学手続に関する事項では、「入学までに必要な納入金」として、入学料、前期授業料等合計665,535円が必要であること、「入学手続上の注意」として、入学手続期間内に手続きが完了しない場合には入学を辞退したものとして取り扱う旨の記載をしている。(甲3号証)
原告は、他大学の募集要項に入学料の減免制度が記載されている例について触れているが(甲3号ないし5号証)、高崎経済大学と同様の公立大学の募集要項においては、入学料の減免、延納制度の有無について記載のない大学もあり、記載事項はそれぞれの大学の判断によるものである。
(乙2号証、3号証、4号証、5号証)
高崎経済大学授業料等徴収条例、及び同条例施行規則は、高崎市ホームページに公開されており、何人も確認可能な状況であった。
なお、原告は甲15号証の判例を引用し、受験生及び入学許可された者に対する配慮義務について論じているが、甲15号証の判例は産業廃棄物中間処理施設の許可申請が条例制定前に提出され、そのことを了知していた地方自治体が、申請後に当該施設等の設置を制限する内容を含む条例を制定した場合における、条例制定前の申請者に対する地方自治体の配慮義務について判示したものであって、本件とは全く事案を異にしているものである。
2 竹田玲子の対応について
平成22年4月24日、原告から電話があり、高崎経済大学入試課職員竹田玲子が対応をしたが、原告からの申し出は入学料延納についてのものであった。
そのため、入学料延納の制度は高崎経済大学においては定められておらず、納期の延長はできないことを応えたまでである。高崎経済大学が入学料に延納制度を設けていない理由については、授業料の場合とは異なり、入学料の納入をもって、入学者の確定を行う(入学手続者が募集定員身〔ママ〕満たない場合には、直ちに追加合格の手続きを行う必要がある。)という特別な理由があるからである。
この点、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項(甲12号証)において、入学料の減免の対象となる者は次の2つの要件のいずれかに該当する者と定められている。
①天災その他不慮の災害を受け、学資の負担に堪えられなくなった者の子弟
②前号以外で必要と認められる者
そこで、仮に原告主張のとおり、竹田玲子が入学料減免制度について説明を行い、当該申請が原告から行われたとした場合に、入学料が減免されたかどうかについて検討すると、以下のように考えられる。
原告において入学料等が納入できない具体的な理由としては、平成22年4月14日(木)高崎市職員課職員深尾耕至が原告と面談した際の原告からの説明によれば、「高崎経済大学に受験した当時、入学料を払える資力はあったが、暴力団ともめ事があって借金が発生し、その支払いにまわしてしまった。入学料は友人から借金して支払うつもりで有ったので鴛鴦をお願いした」とも受け取れる回答があった(乙6号証)。
また、原告が提出した甲6号証の平成22年6月4日付東京新聞の記事によれば、「仕事上のやむを得ない出費」による明日までに入学料を納付することができなかったとされている。
これらの事情は、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項第1号に定める「天災その他不慮の災害を受け、学資の負担に堪えられなくなった者の子弟)の要件に該当しないことは明らかである。
さらに、同条同項第2号に定める「前号以外で必要と認められる者」に該当するかどうかであるが、同条同項第2号の適用は、具体的事例を挙げた同条同項第1号に類する状況、すなわち、自然災害に起因する場合ではないものの、これに類する事情により学資負担者本人の意思にかかわらず学資の負担が困難となった場合を指すものと解され、本人の都合による支払いの優先順序によって入学料を支払えない事情まで勘案するものではない。
したがって、仮に原告に対し入学料減免制度を竹田玲子が説明したとしても、入学料の減免の適用は困難であったと考えられる。
**********
■こうして、被告高崎市は、「入学料の減免制度はあるが延納制度はない」という主張に変えてきました。「減免はするが、延納は認めない」という主張には相当な無理があると思われますが、高崎市はなんとかして不作為の責任を回避するために必死の論理を展開しています。そこで、原告の大城さんは、今回の3回目の弁論で、次の準備書面(2)を陳述しました。
**********【平成25年12月10日 原告準備書面(2)】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市(代表者市長 富岡 賢治)
準備書面(2)
平成25年12月10日
前橋地方裁判所高崎支部民事D係 御中
原告 大城 ■■
頭書事件につき、原告は、以下のとおり弁論を準備する。
第1章 補足事項
平成25年10月8日の前回期日において、裁判官殿から原告に対する質問があったが、これに関して訴状記載の事実について補足訂正する。平成25年10月8日付原告準備書面(1)5ページ、
原告は一週間弱で入学料の工面が出来る手筈であったので、「入学料を延納することによって、一週間以内に入学料を支払い、入学手続きをして入学しよう」と考えていたのであり、「入学料をまけて(減免して)もらって安く入学してやろう」とは考えていなかった。とにかく、入学手続きを済まそうと考えていたのである。
とは、平成22年3月21~24日、の初めて高崎経済大学に電話する前後の心境であって、請求の原因としては言葉足らずであった。同6ページ『被告は条例の配慮(説明)義務を怠り、入学許可者は入学料の特別な取扱いについて全く分からないのだから、「学長判断で延納措置が認められたら」との期待の下、原告は延納願いを申し出た』のであって、その根拠として、四日間の延納措置が減免措置に比べてハードルが低い、との原告の認識に拠るものであった。なお、原告が減免措置の存在について知ったのは平成22年の秋ごろになってからであった。
原告の目的は入学であって、その目的達成の為には延納・減免のどちらでも、入学できればどの手段でもよかった。
第2章 被告準備書面(2)に対する反論
1 乙2ないし5号証について
被告は乙2ないし5号証を提出して色々と述べるが、原告の主張に対する反論の体をなしていない。乙2号証には入学料・授業料の規定の有無だけでなく、その規定の内容も証拠として提出すべきであり、争点である要件事実を正確に捉えていれば、乙2ないし5号証に付随して、これら公立大学を法人化以前に所轄していた自治体で入学料の延納や減免措置に関する条例の内容を示す必要がある。被告は、①要件事実を正しく理解していないか、②要件事実を意図的に矮小化しようとしているか、③この点にのみにおける行政行為の慣習を挙げて、「ほとんど他の自治体も(他の自治体の条例の内容は不明だが、仮に被告と同様だとすると)同じなのだから不法行為に該当するはずがない」と主張する意図を有しているとしか考えられない。
③について、消費者金融会社に対する不当利益返還訴訟の例を挙げて説明する。グレーゾーン金利適用は違法であるとの最高裁の判例が下る以前は全ての消費者金融会社がグレーゾーン金利を適用して不当に利得を得ていた。原告には消費者金融会社経営陣の認識など知る由もないが、そのような会社には東証一部上場企業も存在したし、金融当局からグレーゾーン金利の是正を勧告されるような動きが無かった(原告の記憶では)ことから、「違法」であると認識していた経営陣は皆無であったと思われる。そして、もしも、誰も消費者金融会社を訴えなかったら未だにグレーゾーン金利が適用され続けていたかもしれない。原告がなにを主張したいかというと、「周りも同じことをしている」という慣習を持ち出して、「それが違法ではない」とはならないということである。そしてその慣習が現時点まで続いている理由として、本件事件における原告のような対応に遭った受験生は多くなく、訴訟に至ることがなかったからだと強く推測される。
よって、本件事件は慣習による被告の主張はナンセンスであり、その上、他自治体の規則について具体的に明らかにしていないので反論の体をなしていない。本件事件は慣習ではなく憲法や法で判断されるべきである。そして、被告は教育基本法4条の解釈について触れていないし説明義務の法的解釈についてほとんど触れてはいない。
2 乙6号証と被告高崎市職員に対する話し合いについて
乙6号証の内容について認める。録音した内容と一致する。さて、乙6号証を被告が自発的に提出したということは、本準備書面(2)と共に提出する文書提出命令申立書の対象文書2は被告高崎市においては、明らかに民事訴訟法220条各号に該当しないということの証左である。訴状8ページに記載の通り、高崎経済大学においては業務上で文書を残すことがほとんどないと断言した。しかし、本件事件は東京新聞の記者が原告に取材し竹田他と原告との電話録音を聴いて、竹田や大学関係者への取材を経て、社会的に注目すべきであるから甲6号証のとおり新聞沙汰になったと言え、当時の大学事務局長も「担当者の対応に問題がなかったとは言えない。」(甲6号証参照)との見解を示していることから、客観的に見て被告高崎市の職員の行政行為に問題があったことに疑いようがない。このような問題が表面化した以上、被告は当該職員が当該行政行為に至った経緯を調査し、改善ないし検討のため乙6号証の陳述者深尾氏のように被行政行為者から当該問題に関する相談を正確に記録していることは当然である。
(だからこそ、このように裁判沙汰になったときに証拠として提出されることになる。)したがって平成22年6月11日10時より原告と共に市民オンブズマン群馬代表及び事務局長の三人で本件事件についての話し合いにおいて高崎市役所において対応した高崎経済大学職員も同様に話し合いの内容を正確に上司に報告し、被告高崎市が検討ないし改善の為に当該報告文書を作成・保管してしかるべきであることに疑いようはない。若い深井氏は原告の相談に熱心に耳を傾け必死にメモを取っていた。一方、オンブズマンメンバーとの話し合いに対応した年配の高崎経済大学職員はベテランの余裕からか全くメモも取らずにいたが、驚異的な記憶力でその後の業務(文書の作成。保管)を遂行していることは行政として当然である。
そして、この当然作成されるべき文書には被告高崎市が本件事件に関する被告自身(高崎経済大学職員を含む高崎市職員)の率直な意見や問題点及び改善点が記載されているはずであり、裁判所がこれを証拠として吟味し事実認定を行う必要性は極めて高い。
しかし、万が一、文書を作成していない場合は行政の恣意的な不行使であり、原告の人権を無視することであり、本件事件とは別に慰謝料を請求すべき事案である。
また、乙6号証1ないし2ページ「自分の落ち度は、お金の都合つかないのに高崎経済大学を受けてしまったことと、延納・免除の制度が無いのに事務局に言ったことだ。それはミスだと思う。それは認める。」の部分について、深尾氏に相談した時点で免除=減免の制度が存在することを原告は知らなかった。
検察と金融庁に関する言及について、原告は4日間で入学料を支払える状況であった。その大元の原因は検察にある。今は詳細に触れない。被告の対応は酷いものであるが、金融庁はそれ以上で、原告に対し「金融庁職員(国家公務員)は一般の方(国民)を相手にしない・・・」と断言するという常識では到底考えられない対応をした。金融庁職員のこの暴言を(録音を)他の金融庁幹部補佐に聞かせたところ、青ざめて手のひら返したような対応になったのと同じく、竹田玲子の対応を聞かせたら被告も驚くことであろう。なお、原告は金融庁と未だに東京地裁の合議体で争っている(上記暴言が主要な争点ではない)。
なぜ延納せざるを得ない状況であったか、なぜ、高崎経済大学を受験したのか原告は客観的な証拠と共に述べることが出来るが、その必要性があるかどうか裁判官殿に打診してから行いたい。
3 高崎経済大学の抱える問題点
乙6号証の内容において、本件事件とは無関係な記述があるが、これによって原告が悪質なクレーマーだという心証(原告にとってマイナス)が形成される可能性が排除されないから、これらが事実であることを述べ、更に、高崎経済大学の内部管理体制には以前より重大な問題があり、大学職員が行政の権力の恣意的な不行使を繰り返し行っていることを立証することは被告高崎市職員に対する心証を形成(原告にとっては相対的にプラス)するので客観的に述べる。
①慢性的といえる大学財源 甲19号証より、公立大学の財政は厳しいことが述べられているが、特に高崎経済大学は専任教員一人当たりの学生数は43人と突出して高く、大学の財政難の程度は甚だしく、入学料の減免措置適用は大学にとって厳しいものかもしれない。なお、トヨタのおかげで税収が多いはずの愛知県の愛知県立大では、「県の財政悪化で他部署(役所のことと思われる)と同様に大学も海外出張の予算が付かない時代が8年続いた。」と述べている。
②公金の横領 当時の学長と事務局長は公金を横領している。甲20号証の1ないし2より、吉田俊幸と坂巻賢治は一泊8200円の宿泊施設に宿泊するにあたって、それぞれ14100円、12500円を請求し甲21号証で示される条例で定められているように市からの過払い金を返納せず横領した。甲20号証で示される鶴鷹祭だけでも4万円を職員が横領した。
③大臣・事務次官級の旅費請求 甲22号証の旅行法のように国家公務員の規定ではあるが、国外出張においてファーストクラス(最上級)の運賃が支給される者は大臣や事務次官等に限られているが、高崎経済大学では准教授・教授の地位で、甲23号証の1ないし2で示した通りファーストクラスで出張することが出来る。上記①を参照にすると問題があることに疑いようはない。
④学長の不正単位認定 甲24号証で示すとおり、本件事件当時の学長吉田俊幸の前任者小暮至元学長は自身の担当ゼミで授業回数が不足しているにもかかわらず、不正に単位を認定していた。この自分自身の不正な単位認定問題と学生の自殺が相次いだことの責任を取って辞任した。大学のトップですら不作為を行い、隠蔽行為を行っていたことは明らかである。
⑤相次ぐ学生の自殺とアカハラ 甲25号証で示すとおり、半年間の間で学生が4人自殺している。2007年1月15日の自殺以外の個々の事情は不明であるが、小規模な大学でこの短期間に4人も自殺者がでることは大学に重大な問題があることに疑いようはない。女子学生をアカハラで自殺に追い込んだ准教授は前任の国立茨城大学でも問題を起こしていたが、これを高崎経済大学では把握していないと公言したことを鑑みると、大学内の審査の杜撰さは疑いようもなく、「教員が欲しい→公募→ろくに調べず採用」との図式は、①ないし③も考慮すると、「(仮に)入学料減免申請→大学職員の予算が減るから自分たちは困る→学生の個別事情をろくに審査せず(行政権力の恣意的な不作為)に申請却下」との図式にも繋がる。
以上、実際に起きていない事象に関して要件事実とは無関係な要素を持ち出して、帰納的に入学料減免採用の蓋然性を評価することは好ましいことではないが、次章で述べるとおり、被告の「たられば」を用いて反論することに対する原告の攻撃防御方法であることを特筆しておく。
第3章 減免措置適用の蓋然性
被告は、仮に原告に対し入学料減免制度を説明しても入学料の減免の適用は困難であっただろうと主張する。
さて、著名な村上ファンド事件の第一審判決において「実現可能性はあれば足り、高低は問題にならない。」(甲26号証)との実務家を唖然させるものがあったが、これを原告が援用すれば、例えば、「原告が高崎経済大学に入っていてならば、卒業後、地方公務員もしくは法を学び法曹の道に進んでいた可能性が少なからずあり、よって、それが実現していればその経済的利益は1億円を下ることはなく、被告高崎市の行為によって、その実現が不可能になったのであるから、原告に1億円支払え。」などの無茶な請求も不自然ではなくなる。原告はこのような請求をしないが、被告が減免措置適用の蓋然性の高低を持ち出すことに違和感を覚える。
例えば、AがBを車で跳ねてBを死に(即死)至らしめた。しかし、実は事故直前にBは余命一か月を宣告されていたことから、Aは、「事故がなくてもBはその後生存する蓋然性が著しく低いので事故がなかったとしてもBは死亡していたのだから私(A)はなんら刑事・民事上責任を負わない。」と主張した。
被告の主張はこれと同値であり、自らの不法行為について認めず蓋然性の低さを持ち出して開き直る。
本件事件においては憲法(教育基本法4条)の解釈が当該蓋然性に因果関係を有する。そして、憲法の存在の下、国は同条の規定を地方公共団体に政策を委ね、その結果被告高崎市においては当該条例が制定され、被告高崎市はその条例を適切に運用すべき義務を負っていたのであって、被告はその配慮義務(説明義務)を怠り更に裁判においても憲法の解釈や条例の配慮義務にも殆ど触れていない。被告は「高崎経済大学授業料等徴収条例、及び同条例施行規則は、高崎市ホームページにおいて公開されており、何人も確認可能な状況であった。」(被告準備書面(2)2ページ)と述べるが、甲2号証のどこにも被告高崎市のホームページの確認を促すような記載は一切無い。
被告の反論は要件事実や法解釈を軽んじ争点を矮小化しているとしか言いようがない。逆に言えば、被告は反論の術がないことの証左とも言える。
原告は原告自身に極めて特段の事情を有し、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項第2号に該当する蓋然性の程度、その他を客観的な証拠を用いて述べることはできるが、「たられば」の議論の前に実際に起きた要件事実に関する法的検討の議論を完結すべきである。減免可否についての議論は裁判官殿の心証(損害の算定における当該議論のウェイトと審理の長期化との衝量)を確認して必要があれば客観的な証拠の提出と共に述べる。
以上
**********
■準備書面(2)と合わせて、原告の大城さんは、次の文書提出命令申立書も提出しました。
**********【平成25年12月10日 原告による文書提出命令申立書】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求 慰謝料請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市(代表者市長 富岡 賢治)
文書提出命令申立書
平成25年12月10日
前橋地方裁判所高崎支部民事部D係 御中
申立人 原告 大城 ■■
申立人(原告)は、次のとおり文書提出命令を申立てる。
1 文書の表示
(1)「平成22年度高崎経済大学一般入試における、入学を希望するが入学手続き期日までの入学料の納付困難な入学許可者から高崎経済大学長あてに示された入学意思の表示及び入学料延納に関する要請に対する対応とその判断に至る経緯等」に関する調査書及び報告文書。それらに付随する一切の添付資料。
(2)「平成22年6月11日10時より、高崎市役所にて、原告・市民オンブズマン群馬の代表及び事務局長の三人で高崎市職員に対し、入学拒否に関する質疑応答を行ったうえで情報開示請求を行った事」に関する報告文書及びその情報開示請求に関する決済文書。それに付随する一切の添付資料。
2 文書の趣旨
平成22年度高崎経済大学一般入試における、入学を希望するが入学手続き期日までの入学料の納付困難な入学許可者から高崎経済大学長あてに示された入学意思の表示及び入学料延納に関する要請について対応とその判断に至る経緯(対象文書(1))と、原告らの被告高崎市職員に対して行った対象文書(1)の内容に準ずる質疑に関する被告の見解及び情報開示請求の可否の判断理由(対象文書(2))が記載されている。
3 文書の所持者
文書(1)ないし(2)について
高崎経済大学 〒370-0801 群馬県高崎市上並榎町1300
高崎市 〒370-8501 群馬県高崎市高松町35-1
4 証すべき事実
被告の原告に対する恣意的な行政裁量権の不行使に関する経緯とその判断に至った経緯(下記①)と、被告高崎市外に住む原告に対する被告高崎市の行政上の対応(下記②)。これらに関する被告高崎市自身の率直な意見や問題点及び改善点。
①強い入学の意思を持っていた原告に対する大学入学の門前払い。
②行政の不作為(①を指す)に対する原告らからの苦情の対応に関する事務処理及び情報開示請求に関する事務処理。
以上が対象文書(1)ないし(2)が存在する場合の証すべき事実である。
●文書提出命令の手続きにおいては文書の存在と所持の認識が前提となって、文書の表示と趣旨を特定する文書の特定手続き(民事訴訟法222条)を行う必要があると解されている。この特定手続きは文書の表示と趣旨を明らかにすることが「著しく困難であるとき」(本申立の場合は文書の表示を明らかにすることが著しく困難)であり、著しい特定困難とは、当事者照会(民事訴訟法163条)等を用いてもなお特定できない場合とまで厳格に解されていないが、原告は平成22年4月14日、同年6月11日にも被告職員と会し、文書の事前の特定の努力に努めたと解されるので、文書の所持と表示が不明であるが(文書が存在するとなれば、文書の趣旨は特定されている)本件文書提出命令を申し立てたのである。
対象文書(1)ないし(2)の文書は、常識的に考えて被告において作成されているはずである。が、訴状8ページのとおり、高崎経済大学においては業務上で文書を残していないようである。本件事件においては甲6号証で示したとおり、新聞沙汰にもなっており、一度は裁判になったのであるから、高崎市が文書を作成していることは疑いようもない。万が一作成していないならば大問題であり、その場合は追加の裁判をすることとなる。以下は、文書が存在しない場合の証すべき事実である。
対象文書が存在しない場合、被告の原告に対する不作為は著しいものであり、原告の教育を受ける権利の侵害のみならず、原告の存在を否定するかの如き対応は原告の受けた無形の損害額算出の要素となる。
以上より、文書が存在しようとなかろうと証すべき事実が存在するので裁判所はこれを踏まえた訴訟指揮を行うべきであると解する。
5 文書提出義務の原因
上記(1)ないし(5)の各文書は、民事訴訟法220条4号イないしハに掲げる文書のいずれにも該当しない文書であり、所持者には提出義務がある。
以上
**********
■第3回弁論には、被告の高崎市から訴訟代理人の渡辺明男弁護士のほか、5人の職員がやってきました。原告は大城さんと市民オンブズマン群馬代表の2名です。
10分前に2号法廷の鍵があけられ、傍聴席に入りました。法廷内の原告席では大城さんが、被告側の席には渡辺弁護士と職員1名が座りました。
すると、事務官から原告に対して「甲19号証がダブっている」との指摘があり、原告が後日郵送で甲27号証として再提出することになりました。
■まもなく11時になり、裁判官が入廷してきました。全員起立して礼をして着席しました。
最初に、被告から提出された10月31日付け準備書面(2)を陳述しました。次に、原告から12月10日付け準備書面(2)を陳述しました。書証の提出については、被告から乙2号証ないし6号証の提出が行われ、原本2号証と6号証の確認が行われました。
次いで、原告から甲19号証ないし26号証の提出が行われましたが、事前に事務官からの指摘により、19号証がだぶっているため、募集要項の甲19号証を甲27号証として再度次回までに証拠説明書付きで、提出する旨原告から説明がありました。
それから裁判官は「原告から12月10日付けの文書提出命令申立が出たので、被告のほうから意見書を出すように」と訴訟指揮がありました。被告の弁護士からは「申立書の1の文書の表示のうち、(1)の文書は不存在で、(2)についてはそれらしいものがある」という説明がありました。裁判官は「文書が存在しない場合は、その理由を書面で出すように」と指揮をしました。
次に裁判官は被告の高崎市に対して、「原告としては減免制度があったことについて適切な説明が受けられなかったということ主張しているが、入学料の減免については、条例と施行規則がある。そこで、減免について、高崎市に事務処理要領など、内部的な事務取扱いに関する文書があれば、提出するように」との指揮をしました。これに対して、被告の渡辺弁護士から「相談してみたい」と返事がありました。裁判官は「その減免についての必要な資料というものがあるはずだが、どういうものがあるのかを示してほしい」と重ねて指揮をしました。
続いて裁判官は「被告と原告とから準備書面が提出された。原告の純部署面では詳しく触れられていないが、今回、入学料が期限までに払えなかった事情について明らかにしてもらいたい」と今後は原告に対して指揮をしました。これに対して原告は「そのことを第三者にわかるように、理論的に説明するにあたって、相当な書証の作成に必要な時間が必要になる」と申し述べました。
裁判官は「そんなに特殊な事情があるのか?」と原告に確認すると、原告は「そうです」と頷きました。
裁判官は「原告のほうに意識してもらいたいのは、減免を受けられなかったとして慰謝料を請求するからには、減免を受けられたという事情が必要になる。まだ、被告から、条例の施行規則に具体的な記述がないので、減免に必要な要件の詳細は不明だが、その要件があって、特殊な事情があるはずなので、その要件に当たるんだ、ということを、記述するときに意識してほしい。事情があれば、それが減免になるという形で書いてもらいたい」と伝えました。原告は「その事情説明には2カ月くらいかかる」と述べました。
そこで裁判官は「被告にさきほど言った文書要領等の文書を、1ヶ月程度で出してもらい、その間に原告の事情は事情として書いてもらい、それから被告から出てくるのでそれを踏まえて原告側から文書を出してもらいたい」と丁寧に原告に説明しました。
最後に、それから次回の弁論期日について、裁判官から、「2月18日ではどうか」と提案がありました。原告から「今日から2ヵ月後に文書を出したい」と希望が述べられると、裁判官は「それを斟酌して、2月はじめごろに次回期日を予定したい。祝日があるのでその前の週で間に合うか?2月4日火曜日では?」と再度打診をしてきました。原告は「火曜日だけだとなると(2月)25日しかない。2月4日は早すぎ、同18日は差しつかえる」と述べました。
そのため、裁判官は「では2月25日(火)10時15分でどうか?」と言うと、被告側もこれを了承しました。こうして、2月25日(火)10時15分に第4回目の口頭弁論期日が決まりました。
裁判官は被告に対して、「先ほどの文書は1月10日の年明けの2週目の金曜日でどうか?」と提出期限の確認があり、被告高崎市もこれを了承しました。
こうして、第3回口頭弁論は、11時14分に終了しました。
■高崎経済大学では、平成19年に学生の自殺が相次ぎ、このうち、宿題をめぐる強圧的指導で、経済学部2年生だった女子学生(当時20)を自殺に追いやったとして、同学部の男性准教授(当時38)が同年4月9日付で懲戒免職処分を受けました。この事件は、准教授が平成18年度後期、2年生のゼミナール「基礎演習」を担当し、平成18年7月ごろ、受講した3人の学生に日本経済新聞の社説の要約や経済学の演習問題計5題を宿題として課した際に、准教授は女子学生に対し「提出が遅れれば、留年させる」とメールで通告したことがあったとされています。提出期限の平成19年1月15日になっても女子学生は宿題のすべてを提出することができず、同日午後7時45分ごろ、群馬県みどり市の渡良瀬川で入水自殺をしました。自殺直前、准教授にメールで「留年することは分かっています。人生もやめます」と伝えていました。
准教授や同級生らから事情を聴いていた同大調査委員会は「自殺の一要因に准教授の留年通告がある」と断定し、「宿題を提出しなければ留年というのは強圧的で教育としてまともなものとは言えない。女子学生の両親に対する謝罪もなく、教師としての適格性に問題がある」としました。
そして、高崎経済大学の木暮至学長(当時64)は平成19年5月9日、学内最高決定機関の評議会で、7月末をめどに辞任する考えを表明したのです。自ら担当する2、3年生のゼミの授業回数が大幅に不足しているのに単位を認定したことが4月初めに分かり、学内から批判が出ていたからです。木暮学長は「学長の仕事が忙しく、授業と両立できなかった」とし、教職員や学生に大変迷惑をかけたと謝罪しました。辞任する7月末までに、同大で昨年秋から相次いでいた学生の自殺問題に取り組み、学生環境の改善の総仕上げをしたいということも語りました。
一方、平成19年に相次いだ不祥事に対して、高崎経済大学は同年6月28日付で「かん口令」を敷いていたことが判明しました。これは、不祥事が相次いだ高崎市立高崎経済大学が木暮至学長名で、教職員に対し、今後、教授会などでの内部情報が漏洩した場合には調査委員会を設置し、漏洩者に対し処罰も辞さないなどとする文書を配布していたことが発覚したのでした。当時、学内からも、「問題を起こした人が悪いのであって、もともと問題がなければ不利益な情報もないはず」などと困惑の声が上がりました。
このように、同大学は、本質的に情報隠匿体質が特徴となってきたため、今回の入学拒否問題についても、そうした秘密体質が見え隠れしています。
我らが群馬県の誇る最高学府で起きた問題だけに、二度と同じような被害者が出ないように、裁判の行方を注意深く見守っていきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬からの報告・この項おわり】
**********【平成25年10月31日 被告準備書面(2)】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求 慰謝料請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市
準備書面
平成25年10月31日
前橋地方裁判所高崎支部 民事部D係 御中
被告訴訟代理人弁護士 渡辺明男
1 入学料減免制度について学生募集要項に記載しなかったことについて
高崎経済大学学生募集要項に「授業料又は入学料の分割徴収又は減免」措置の存在ならびにそれらの申請手続き方法等を記載していないことを非難しているが、学生募集要項に記載する項目、内容は、それぞれの大学において学生募集を行うにあたり必要と思われる事項を記載しているものである。
本学においては、募集人員、出願資格、入学試験日等のほか、入学手続に必要な事項を記載している。
同募集要項における入学手続に関する事項では、「入学までに必要な納入金」として、入学料、前期授業料等合計665,535円が必要であること、「入学手続上の注意」として、入学手続期間内に手続きが完了しない場合には入学を辞退したものとして取り扱う旨の記載をしている。(甲3号証)
原告は、他大学の募集要項に入学料の減免制度が記載されている例について触れているが(甲3号ないし5号証)、高崎経済大学と同様の公立大学の募集要項においては、入学料の減免、延納制度の有無について記載のない大学もあり、記載事項はそれぞれの大学の判断によるものである。
(乙2号証、3号証、4号証、5号証)
高崎経済大学授業料等徴収条例、及び同条例施行規則は、高崎市ホームページに公開されており、何人も確認可能な状況であった。
なお、原告は甲15号証の判例を引用し、受験生及び入学許可された者に対する配慮義務について論じているが、甲15号証の判例は産業廃棄物中間処理施設の許可申請が条例制定前に提出され、そのことを了知していた地方自治体が、申請後に当該施設等の設置を制限する内容を含む条例を制定した場合における、条例制定前の申請者に対する地方自治体の配慮義務について判示したものであって、本件とは全く事案を異にしているものである。
2 竹田玲子の対応について
平成22年4月24日、原告から電話があり、高崎経済大学入試課職員竹田玲子が対応をしたが、原告からの申し出は入学料延納についてのものであった。
そのため、入学料延納の制度は高崎経済大学においては定められておらず、納期の延長はできないことを応えたまでである。高崎経済大学が入学料に延納制度を設けていない理由については、授業料の場合とは異なり、入学料の納入をもって、入学者の確定を行う(入学手続者が募集定員身〔ママ〕満たない場合には、直ちに追加合格の手続きを行う必要がある。)という特別な理由があるからである。
この点、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項(甲12号証)において、入学料の減免の対象となる者は次の2つの要件のいずれかに該当する者と定められている。
①天災その他不慮の災害を受け、学資の負担に堪えられなくなった者の子弟
②前号以外で必要と認められる者
そこで、仮に原告主張のとおり、竹田玲子が入学料減免制度について説明を行い、当該申請が原告から行われたとした場合に、入学料が減免されたかどうかについて検討すると、以下のように考えられる。
原告において入学料等が納入できない具体的な理由としては、平成22年4月14日(木)高崎市職員課職員深尾耕至が原告と面談した際の原告からの説明によれば、「高崎経済大学に受験した当時、入学料を払える資力はあったが、暴力団ともめ事があって借金が発生し、その支払いにまわしてしまった。入学料は友人から借金して支払うつもりで有ったので鴛鴦をお願いした」とも受け取れる回答があった(乙6号証)。
また、原告が提出した甲6号証の平成22年6月4日付東京新聞の記事によれば、「仕事上のやむを得ない出費」による明日までに入学料を納付することができなかったとされている。
これらの事情は、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項第1号に定める「天災その他不慮の災害を受け、学資の負担に堪えられなくなった者の子弟)の要件に該当しないことは明らかである。
さらに、同条同項第2号に定める「前号以外で必要と認められる者」に該当するかどうかであるが、同条同項第2号の適用は、具体的事例を挙げた同条同項第1号に類する状況、すなわち、自然災害に起因する場合ではないものの、これに類する事情により学資負担者本人の意思にかかわらず学資の負担が困難となった場合を指すものと解され、本人の都合による支払いの優先順序によって入学料を支払えない事情まで勘案するものではない。
したがって、仮に原告に対し入学料減免制度を竹田玲子が説明したとしても、入学料の減免の適用は困難であったと考えられる。
**********
■こうして、被告高崎市は、「入学料の減免制度はあるが延納制度はない」という主張に変えてきました。「減免はするが、延納は認めない」という主張には相当な無理があると思われますが、高崎市はなんとかして不作為の責任を回避するために必死の論理を展開しています。そこで、原告の大城さんは、今回の3回目の弁論で、次の準備書面(2)を陳述しました。
**********【平成25年12月10日 原告準備書面(2)】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市(代表者市長 富岡 賢治)
準備書面(2)
平成25年12月10日
前橋地方裁判所高崎支部民事D係 御中
原告 大城 ■■
頭書事件につき、原告は、以下のとおり弁論を準備する。
第1章 補足事項
平成25年10月8日の前回期日において、裁判官殿から原告に対する質問があったが、これに関して訴状記載の事実について補足訂正する。平成25年10月8日付原告準備書面(1)5ページ、
原告は一週間弱で入学料の工面が出来る手筈であったので、「入学料を延納することによって、一週間以内に入学料を支払い、入学手続きをして入学しよう」と考えていたのであり、「入学料をまけて(減免して)もらって安く入学してやろう」とは考えていなかった。とにかく、入学手続きを済まそうと考えていたのである。
とは、平成22年3月21~24日、の初めて高崎経済大学に電話する前後の心境であって、請求の原因としては言葉足らずであった。同6ページ『被告は条例の配慮(説明)義務を怠り、入学許可者は入学料の特別な取扱いについて全く分からないのだから、「学長判断で延納措置が認められたら」との期待の下、原告は延納願いを申し出た』のであって、その根拠として、四日間の延納措置が減免措置に比べてハードルが低い、との原告の認識に拠るものであった。なお、原告が減免措置の存在について知ったのは平成22年の秋ごろになってからであった。
原告の目的は入学であって、その目的達成の為には延納・減免のどちらでも、入学できればどの手段でもよかった。
第2章 被告準備書面(2)に対する反論
1 乙2ないし5号証について
被告は乙2ないし5号証を提出して色々と述べるが、原告の主張に対する反論の体をなしていない。乙2号証には入学料・授業料の規定の有無だけでなく、その規定の内容も証拠として提出すべきであり、争点である要件事実を正確に捉えていれば、乙2ないし5号証に付随して、これら公立大学を法人化以前に所轄していた自治体で入学料の延納や減免措置に関する条例の内容を示す必要がある。被告は、①要件事実を正しく理解していないか、②要件事実を意図的に矮小化しようとしているか、③この点にのみにおける行政行為の慣習を挙げて、「ほとんど他の自治体も(他の自治体の条例の内容は不明だが、仮に被告と同様だとすると)同じなのだから不法行為に該当するはずがない」と主張する意図を有しているとしか考えられない。
③について、消費者金融会社に対する不当利益返還訴訟の例を挙げて説明する。グレーゾーン金利適用は違法であるとの最高裁の判例が下る以前は全ての消費者金融会社がグレーゾーン金利を適用して不当に利得を得ていた。原告には消費者金融会社経営陣の認識など知る由もないが、そのような会社には東証一部上場企業も存在したし、金融当局からグレーゾーン金利の是正を勧告されるような動きが無かった(原告の記憶では)ことから、「違法」であると認識していた経営陣は皆無であったと思われる。そして、もしも、誰も消費者金融会社を訴えなかったら未だにグレーゾーン金利が適用され続けていたかもしれない。原告がなにを主張したいかというと、「周りも同じことをしている」という慣習を持ち出して、「それが違法ではない」とはならないということである。そしてその慣習が現時点まで続いている理由として、本件事件における原告のような対応に遭った受験生は多くなく、訴訟に至ることがなかったからだと強く推測される。
よって、本件事件は慣習による被告の主張はナンセンスであり、その上、他自治体の規則について具体的に明らかにしていないので反論の体をなしていない。本件事件は慣習ではなく憲法や法で判断されるべきである。そして、被告は教育基本法4条の解釈について触れていないし説明義務の法的解釈についてほとんど触れてはいない。
2 乙6号証と被告高崎市職員に対する話し合いについて
乙6号証の内容について認める。録音した内容と一致する。さて、乙6号証を被告が自発的に提出したということは、本準備書面(2)と共に提出する文書提出命令申立書の対象文書2は被告高崎市においては、明らかに民事訴訟法220条各号に該当しないということの証左である。訴状8ページに記載の通り、高崎経済大学においては業務上で文書を残すことがほとんどないと断言した。しかし、本件事件は東京新聞の記者が原告に取材し竹田他と原告との電話録音を聴いて、竹田や大学関係者への取材を経て、社会的に注目すべきであるから甲6号証のとおり新聞沙汰になったと言え、当時の大学事務局長も「担当者の対応に問題がなかったとは言えない。」(甲6号証参照)との見解を示していることから、客観的に見て被告高崎市の職員の行政行為に問題があったことに疑いようがない。このような問題が表面化した以上、被告は当該職員が当該行政行為に至った経緯を調査し、改善ないし検討のため乙6号証の陳述者深尾氏のように被行政行為者から当該問題に関する相談を正確に記録していることは当然である。
(だからこそ、このように裁判沙汰になったときに証拠として提出されることになる。)したがって平成22年6月11日10時より原告と共に市民オンブズマン群馬代表及び事務局長の三人で本件事件についての話し合いにおいて高崎市役所において対応した高崎経済大学職員も同様に話し合いの内容を正確に上司に報告し、被告高崎市が検討ないし改善の為に当該報告文書を作成・保管してしかるべきであることに疑いようはない。若い深井氏は原告の相談に熱心に耳を傾け必死にメモを取っていた。一方、オンブズマンメンバーとの話し合いに対応した年配の高崎経済大学職員はベテランの余裕からか全くメモも取らずにいたが、驚異的な記憶力でその後の業務(文書の作成。保管)を遂行していることは行政として当然である。
そして、この当然作成されるべき文書には被告高崎市が本件事件に関する被告自身(高崎経済大学職員を含む高崎市職員)の率直な意見や問題点及び改善点が記載されているはずであり、裁判所がこれを証拠として吟味し事実認定を行う必要性は極めて高い。
しかし、万が一、文書を作成していない場合は行政の恣意的な不行使であり、原告の人権を無視することであり、本件事件とは別に慰謝料を請求すべき事案である。
また、乙6号証1ないし2ページ「自分の落ち度は、お金の都合つかないのに高崎経済大学を受けてしまったことと、延納・免除の制度が無いのに事務局に言ったことだ。それはミスだと思う。それは認める。」の部分について、深尾氏に相談した時点で免除=減免の制度が存在することを原告は知らなかった。
検察と金融庁に関する言及について、原告は4日間で入学料を支払える状況であった。その大元の原因は検察にある。今は詳細に触れない。被告の対応は酷いものであるが、金融庁はそれ以上で、原告に対し「金融庁職員(国家公務員)は一般の方(国民)を相手にしない・・・」と断言するという常識では到底考えられない対応をした。金融庁職員のこの暴言を(録音を)他の金融庁幹部補佐に聞かせたところ、青ざめて手のひら返したような対応になったのと同じく、竹田玲子の対応を聞かせたら被告も驚くことであろう。なお、原告は金融庁と未だに東京地裁の合議体で争っている(上記暴言が主要な争点ではない)。
なぜ延納せざるを得ない状況であったか、なぜ、高崎経済大学を受験したのか原告は客観的な証拠と共に述べることが出来るが、その必要性があるかどうか裁判官殿に打診してから行いたい。
3 高崎経済大学の抱える問題点
乙6号証の内容において、本件事件とは無関係な記述があるが、これによって原告が悪質なクレーマーだという心証(原告にとってマイナス)が形成される可能性が排除されないから、これらが事実であることを述べ、更に、高崎経済大学の内部管理体制には以前より重大な問題があり、大学職員が行政の権力の恣意的な不行使を繰り返し行っていることを立証することは被告高崎市職員に対する心証を形成(原告にとっては相対的にプラス)するので客観的に述べる。
①慢性的といえる大学財源 甲19号証より、公立大学の財政は厳しいことが述べられているが、特に高崎経済大学は専任教員一人当たりの学生数は43人と突出して高く、大学の財政難の程度は甚だしく、入学料の減免措置適用は大学にとって厳しいものかもしれない。なお、トヨタのおかげで税収が多いはずの愛知県の愛知県立大では、「県の財政悪化で他部署(役所のことと思われる)と同様に大学も海外出張の予算が付かない時代が8年続いた。」と述べている。
②公金の横領 当時の学長と事務局長は公金を横領している。甲20号証の1ないし2より、吉田俊幸と坂巻賢治は一泊8200円の宿泊施設に宿泊するにあたって、それぞれ14100円、12500円を請求し甲21号証で示される条例で定められているように市からの過払い金を返納せず横領した。甲20号証で示される鶴鷹祭だけでも4万円を職員が横領した。
③大臣・事務次官級の旅費請求 甲22号証の旅行法のように国家公務員の規定ではあるが、国外出張においてファーストクラス(最上級)の運賃が支給される者は大臣や事務次官等に限られているが、高崎経済大学では准教授・教授の地位で、甲23号証の1ないし2で示した通りファーストクラスで出張することが出来る。上記①を参照にすると問題があることに疑いようはない。
④学長の不正単位認定 甲24号証で示すとおり、本件事件当時の学長吉田俊幸の前任者小暮至元学長は自身の担当ゼミで授業回数が不足しているにもかかわらず、不正に単位を認定していた。この自分自身の不正な単位認定問題と学生の自殺が相次いだことの責任を取って辞任した。大学のトップですら不作為を行い、隠蔽行為を行っていたことは明らかである。
⑤相次ぐ学生の自殺とアカハラ 甲25号証で示すとおり、半年間の間で学生が4人自殺している。2007年1月15日の自殺以外の個々の事情は不明であるが、小規模な大学でこの短期間に4人も自殺者がでることは大学に重大な問題があることに疑いようはない。女子学生をアカハラで自殺に追い込んだ准教授は前任の国立茨城大学でも問題を起こしていたが、これを高崎経済大学では把握していないと公言したことを鑑みると、大学内の審査の杜撰さは疑いようもなく、「教員が欲しい→公募→ろくに調べず採用」との図式は、①ないし③も考慮すると、「(仮に)入学料減免申請→大学職員の予算が減るから自分たちは困る→学生の個別事情をろくに審査せず(行政権力の恣意的な不作為)に申請却下」との図式にも繋がる。
以上、実際に起きていない事象に関して要件事実とは無関係な要素を持ち出して、帰納的に入学料減免採用の蓋然性を評価することは好ましいことではないが、次章で述べるとおり、被告の「たられば」を用いて反論することに対する原告の攻撃防御方法であることを特筆しておく。
第3章 減免措置適用の蓋然性
被告は、仮に原告に対し入学料減免制度を説明しても入学料の減免の適用は困難であっただろうと主張する。
さて、著名な村上ファンド事件の第一審判決において「実現可能性はあれば足り、高低は問題にならない。」(甲26号証)との実務家を唖然させるものがあったが、これを原告が援用すれば、例えば、「原告が高崎経済大学に入っていてならば、卒業後、地方公務員もしくは法を学び法曹の道に進んでいた可能性が少なからずあり、よって、それが実現していればその経済的利益は1億円を下ることはなく、被告高崎市の行為によって、その実現が不可能になったのであるから、原告に1億円支払え。」などの無茶な請求も不自然ではなくなる。原告はこのような請求をしないが、被告が減免措置適用の蓋然性の高低を持ち出すことに違和感を覚える。
例えば、AがBを車で跳ねてBを死に(即死)至らしめた。しかし、実は事故直前にBは余命一か月を宣告されていたことから、Aは、「事故がなくてもBはその後生存する蓋然性が著しく低いので事故がなかったとしてもBは死亡していたのだから私(A)はなんら刑事・民事上責任を負わない。」と主張した。
被告の主張はこれと同値であり、自らの不法行為について認めず蓋然性の低さを持ち出して開き直る。
本件事件においては憲法(教育基本法4条)の解釈が当該蓋然性に因果関係を有する。そして、憲法の存在の下、国は同条の規定を地方公共団体に政策を委ね、その結果被告高崎市においては当該条例が制定され、被告高崎市はその条例を適切に運用すべき義務を負っていたのであって、被告はその配慮義務(説明義務)を怠り更に裁判においても憲法の解釈や条例の配慮義務にも殆ど触れていない。被告は「高崎経済大学授業料等徴収条例、及び同条例施行規則は、高崎市ホームページにおいて公開されており、何人も確認可能な状況であった。」(被告準備書面(2)2ページ)と述べるが、甲2号証のどこにも被告高崎市のホームページの確認を促すような記載は一切無い。
被告の反論は要件事実や法解釈を軽んじ争点を矮小化しているとしか言いようがない。逆に言えば、被告は反論の術がないことの証左とも言える。
原告は原告自身に極めて特段の事情を有し、高崎経済大学授業料等徴収条例施行規則第3条第3項第2号に該当する蓋然性の程度、その他を客観的な証拠を用いて述べることはできるが、「たられば」の議論の前に実際に起きた要件事実に関する法的検討の議論を完結すべきである。減免可否についての議論は裁判官殿の心証(損害の算定における当該議論のウェイトと審理の長期化との衝量)を確認して必要があれば客観的な証拠の提出と共に述べる。
以上
**********
■準備書面(2)と合わせて、原告の大城さんは、次の文書提出命令申立書も提出しました。
**********【平成25年12月10日 原告による文書提出命令申立書】
平成25年(ワ)第99号 損害賠償請求 慰謝料請求事件
原告 大城 ■■
被告 高崎市(代表者市長 富岡 賢治)
文書提出命令申立書
平成25年12月10日
前橋地方裁判所高崎支部民事部D係 御中
申立人 原告 大城 ■■
申立人(原告)は、次のとおり文書提出命令を申立てる。
1 文書の表示
(1)「平成22年度高崎経済大学一般入試における、入学を希望するが入学手続き期日までの入学料の納付困難な入学許可者から高崎経済大学長あてに示された入学意思の表示及び入学料延納に関する要請に対する対応とその判断に至る経緯等」に関する調査書及び報告文書。それらに付随する一切の添付資料。
(2)「平成22年6月11日10時より、高崎市役所にて、原告・市民オンブズマン群馬の代表及び事務局長の三人で高崎市職員に対し、入学拒否に関する質疑応答を行ったうえで情報開示請求を行った事」に関する報告文書及びその情報開示請求に関する決済文書。それに付随する一切の添付資料。
2 文書の趣旨
平成22年度高崎経済大学一般入試における、入学を希望するが入学手続き期日までの入学料の納付困難な入学許可者から高崎経済大学長あてに示された入学意思の表示及び入学料延納に関する要請について対応とその判断に至る経緯(対象文書(1))と、原告らの被告高崎市職員に対して行った対象文書(1)の内容に準ずる質疑に関する被告の見解及び情報開示請求の可否の判断理由(対象文書(2))が記載されている。
3 文書の所持者
文書(1)ないし(2)について
高崎経済大学 〒370-0801 群馬県高崎市上並榎町1300
高崎市 〒370-8501 群馬県高崎市高松町35-1
4 証すべき事実
被告の原告に対する恣意的な行政裁量権の不行使に関する経緯とその判断に至った経緯(下記①)と、被告高崎市外に住む原告に対する被告高崎市の行政上の対応(下記②)。これらに関する被告高崎市自身の率直な意見や問題点及び改善点。
①強い入学の意思を持っていた原告に対する大学入学の門前払い。
②行政の不作為(①を指す)に対する原告らからの苦情の対応に関する事務処理及び情報開示請求に関する事務処理。
以上が対象文書(1)ないし(2)が存在する場合の証すべき事実である。
●文書提出命令の手続きにおいては文書の存在と所持の認識が前提となって、文書の表示と趣旨を特定する文書の特定手続き(民事訴訟法222条)を行う必要があると解されている。この特定手続きは文書の表示と趣旨を明らかにすることが「著しく困難であるとき」(本申立の場合は文書の表示を明らかにすることが著しく困難)であり、著しい特定困難とは、当事者照会(民事訴訟法163条)等を用いてもなお特定できない場合とまで厳格に解されていないが、原告は平成22年4月14日、同年6月11日にも被告職員と会し、文書の事前の特定の努力に努めたと解されるので、文書の所持と表示が不明であるが(文書が存在するとなれば、文書の趣旨は特定されている)本件文書提出命令を申し立てたのである。
対象文書(1)ないし(2)の文書は、常識的に考えて被告において作成されているはずである。が、訴状8ページのとおり、高崎経済大学においては業務上で文書を残していないようである。本件事件においては甲6号証で示したとおり、新聞沙汰にもなっており、一度は裁判になったのであるから、高崎市が文書を作成していることは疑いようもない。万が一作成していないならば大問題であり、その場合は追加の裁判をすることとなる。以下は、文書が存在しない場合の証すべき事実である。
対象文書が存在しない場合、被告の原告に対する不作為は著しいものであり、原告の教育を受ける権利の侵害のみならず、原告の存在を否定するかの如き対応は原告の受けた無形の損害額算出の要素となる。
以上より、文書が存在しようとなかろうと証すべき事実が存在するので裁判所はこれを踏まえた訴訟指揮を行うべきであると解する。
5 文書提出義務の原因
上記(1)ないし(5)の各文書は、民事訴訟法220条4号イないしハに掲げる文書のいずれにも該当しない文書であり、所持者には提出義務がある。
以上
**********
■第3回弁論には、被告の高崎市から訴訟代理人の渡辺明男弁護士のほか、5人の職員がやってきました。原告は大城さんと市民オンブズマン群馬代表の2名です。
10分前に2号法廷の鍵があけられ、傍聴席に入りました。法廷内の原告席では大城さんが、被告側の席には渡辺弁護士と職員1名が座りました。
すると、事務官から原告に対して「甲19号証がダブっている」との指摘があり、原告が後日郵送で甲27号証として再提出することになりました。
■まもなく11時になり、裁判官が入廷してきました。全員起立して礼をして着席しました。
最初に、被告から提出された10月31日付け準備書面(2)を陳述しました。次に、原告から12月10日付け準備書面(2)を陳述しました。書証の提出については、被告から乙2号証ないし6号証の提出が行われ、原本2号証と6号証の確認が行われました。
次いで、原告から甲19号証ないし26号証の提出が行われましたが、事前に事務官からの指摘により、19号証がだぶっているため、募集要項の甲19号証を甲27号証として再度次回までに証拠説明書付きで、提出する旨原告から説明がありました。
それから裁判官は「原告から12月10日付けの文書提出命令申立が出たので、被告のほうから意見書を出すように」と訴訟指揮がありました。被告の弁護士からは「申立書の1の文書の表示のうち、(1)の文書は不存在で、(2)についてはそれらしいものがある」という説明がありました。裁判官は「文書が存在しない場合は、その理由を書面で出すように」と指揮をしました。
次に裁判官は被告の高崎市に対して、「原告としては減免制度があったことについて適切な説明が受けられなかったということ主張しているが、入学料の減免については、条例と施行規則がある。そこで、減免について、高崎市に事務処理要領など、内部的な事務取扱いに関する文書があれば、提出するように」との指揮をしました。これに対して、被告の渡辺弁護士から「相談してみたい」と返事がありました。裁判官は「その減免についての必要な資料というものがあるはずだが、どういうものがあるのかを示してほしい」と重ねて指揮をしました。
続いて裁判官は「被告と原告とから準備書面が提出された。原告の純部署面では詳しく触れられていないが、今回、入学料が期限までに払えなかった事情について明らかにしてもらいたい」と今後は原告に対して指揮をしました。これに対して原告は「そのことを第三者にわかるように、理論的に説明するにあたって、相当な書証の作成に必要な時間が必要になる」と申し述べました。
裁判官は「そんなに特殊な事情があるのか?」と原告に確認すると、原告は「そうです」と頷きました。
裁判官は「原告のほうに意識してもらいたいのは、減免を受けられなかったとして慰謝料を請求するからには、減免を受けられたという事情が必要になる。まだ、被告から、条例の施行規則に具体的な記述がないので、減免に必要な要件の詳細は不明だが、その要件があって、特殊な事情があるはずなので、その要件に当たるんだ、ということを、記述するときに意識してほしい。事情があれば、それが減免になるという形で書いてもらいたい」と伝えました。原告は「その事情説明には2カ月くらいかかる」と述べました。
そこで裁判官は「被告にさきほど言った文書要領等の文書を、1ヶ月程度で出してもらい、その間に原告の事情は事情として書いてもらい、それから被告から出てくるのでそれを踏まえて原告側から文書を出してもらいたい」と丁寧に原告に説明しました。
最後に、それから次回の弁論期日について、裁判官から、「2月18日ではどうか」と提案がありました。原告から「今日から2ヵ月後に文書を出したい」と希望が述べられると、裁判官は「それを斟酌して、2月はじめごろに次回期日を予定したい。祝日があるのでその前の週で間に合うか?2月4日火曜日では?」と再度打診をしてきました。原告は「火曜日だけだとなると(2月)25日しかない。2月4日は早すぎ、同18日は差しつかえる」と述べました。
そのため、裁判官は「では2月25日(火)10時15分でどうか?」と言うと、被告側もこれを了承しました。こうして、2月25日(火)10時15分に第4回目の口頭弁論期日が決まりました。
裁判官は被告に対して、「先ほどの文書は1月10日の年明けの2週目の金曜日でどうか?」と提出期限の確認があり、被告高崎市もこれを了承しました。
こうして、第3回口頭弁論は、11時14分に終了しました。
■高崎経済大学では、平成19年に学生の自殺が相次ぎ、このうち、宿題をめぐる強圧的指導で、経済学部2年生だった女子学生(当時20)を自殺に追いやったとして、同学部の男性准教授(当時38)が同年4月9日付で懲戒免職処分を受けました。この事件は、准教授が平成18年度後期、2年生のゼミナール「基礎演習」を担当し、平成18年7月ごろ、受講した3人の学生に日本経済新聞の社説の要約や経済学の演習問題計5題を宿題として課した際に、准教授は女子学生に対し「提出が遅れれば、留年させる」とメールで通告したことがあったとされています。提出期限の平成19年1月15日になっても女子学生は宿題のすべてを提出することができず、同日午後7時45分ごろ、群馬県みどり市の渡良瀬川で入水自殺をしました。自殺直前、准教授にメールで「留年することは分かっています。人生もやめます」と伝えていました。
准教授や同級生らから事情を聴いていた同大調査委員会は「自殺の一要因に准教授の留年通告がある」と断定し、「宿題を提出しなければ留年というのは強圧的で教育としてまともなものとは言えない。女子学生の両親に対する謝罪もなく、教師としての適格性に問題がある」としました。
そして、高崎経済大学の木暮至学長(当時64)は平成19年5月9日、学内最高決定機関の評議会で、7月末をめどに辞任する考えを表明したのです。自ら担当する2、3年生のゼミの授業回数が大幅に不足しているのに単位を認定したことが4月初めに分かり、学内から批判が出ていたからです。木暮学長は「学長の仕事が忙しく、授業と両立できなかった」とし、教職員や学生に大変迷惑をかけたと謝罪しました。辞任する7月末までに、同大で昨年秋から相次いでいた学生の自殺問題に取り組み、学生環境の改善の総仕上げをしたいということも語りました。
一方、平成19年に相次いだ不祥事に対して、高崎経済大学は同年6月28日付で「かん口令」を敷いていたことが判明しました。これは、不祥事が相次いだ高崎市立高崎経済大学が木暮至学長名で、教職員に対し、今後、教授会などでの内部情報が漏洩した場合には調査委員会を設置し、漏洩者に対し処罰も辞さないなどとする文書を配布していたことが発覚したのでした。当時、学内からも、「問題を起こした人が悪いのであって、もともと問題がなければ不利益な情報もないはず」などと困惑の声が上がりました。
このように、同大学は、本質的に情報隠匿体質が特徴となってきたため、今回の入学拒否問題についても、そうした秘密体質が見え隠れしています。
我らが群馬県の誇る最高学府で起きた問題だけに、二度と同じような被害者が出ないように、裁判の行方を注意深く見守っていきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬からの報告・この項おわり】