市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大間々町13区不正会計で被告に和解を勧め実質敗訴に導いた弁護士の信頼を問う異議申出で日弁連が審査開始

2013-07-12 23:40:00 | 不良弁護士問題
■数千人の住民が属するみどり市大間々町13区の区長らが不正会計をしていた事件で、区長らが不正を指摘した住民らを相手取り名誉棄損による損害賠償請求を提起したところ、不正会計が事実であったことが裁判で明らかになり、敗訴しそうになった区長側が、被告住民らに、互いの弁護士同士を通じて和解を持ちかけました。

日弁連から届いた異議申出審査開始通知書の入った封筒。

 本来であれば不正会計を根拠に反訴をすれば、被告住民らが勝訴できた可能性が強かったのに、住民らが信頼を寄せていた訴訟代理人の弁護士は、「区長の不正会計が明らかになったのだから、区長は辞めるはずだから和解に応じよう」と住民らを説得しました。

 裁判所も和解にすれば判決文を書かなくて済むため、原告の和解提案にのり被告に和解を勧めました。裁判所が、不正会計があったことを前提に、今後は民主的な区の運営を実現することを原告・被告双方に課すことを条件として和解条項を示したため、被告住民らは、弁護士や裁判所の言葉を信じて和解に踏み切りました。

 ところが原告区長は、当初からの作戦だったとみえて、和解後、手のひらを返すように、「裁判所が和解を認めたので不正会計は免罪となった」と勝手に主張し、引き続き区長に居座ったのでした。

 県議当時、区長から謝礼をもらっていたこともあるみどり市の石原市長は区長の言い分に加担し、区長の委嘱状を継続して交付したため、不正会計を働いた区長にお墨付きを与える結果となりました。被告住民らが抗議しても市長は聞く耳を持とうとしてくれません。

 しかも区長は、裁判で不正会計を裁判所に認めさせた被告住民らを逆恨み、被告住民らから区費も徴収せず、広報等の回覧板も回さず(現在は広報は班長から回してもらえるようになった)、村八分状態にしてしまいました。しかも、被告住民らが区の民主的な運営の実現を願って、多額の着手金や経費を支払った弁護士は結果責任まで面倒を見ないため、思い余った被告住民らはオンブズマンに相談してきたのでした。

 日本が法治国家でないことを証する典型的な一例ですが、市長も市長なら、弁護士も弁護士です。法の専門家であり、依頼者の信頼に応えて最善を尽くすことによって報酬を得る職業ですが、問題なのは弁護士同士、また裁判官との間で、同じ司法試験をパスしたエリート意識を共有し、依頼者よりも司法修習生の先輩後輩関係のほうを優先しがちです。

 そのため、市民オンブズマン群馬として看過することができなかったため、代表者名で群馬弁護士会に対して当該弁護士の懲戒請求をしたところ、8か月余り綱紀委員会で審査に時間を費やした挙句、懲戒処分に値しないという結果をオンブズマンに通知してきました。

 そこで平成25年7月4日に異議申出を日弁連にしたところ、7月9日付でオンブズマン代表に対して、日弁連の綱紀委員会で審査を開始した旨、通知がありました。

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                  平成25年7月9日
異議申出人 小川賢 殿
                日本弁護士連合会
                 会 長   山 岸  憲 司
          審 査 開 始 通 知 書
 貴殿申出の異議(弁護士会の対象弁護士等を懲戒しない旨の決定に対する異議)について,綱紀委員会に審査を求めたので通知します,本件は,綱紀委員会第1部会で審査されます。
         本件事案番号:   平成25年綱第1209号
         審査開始日 :   平成25年7月8日
         対象弁護士 :   廣田 繁雄


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■異議申出の場合は、申出人に対する意見陳述の機会はありません。追加資料の提出もないし、審尋なども一切行われません。相手方の弁護士の日弁連綱紀委員会への答弁書も通常は申出人に送られてきません。相手方の答弁書の内容を確認したいときは、閲覧謄写申請をすることになります。こうして異議申出をすると、原則として、日弁連の綱紀委員会での内部審査を経て、結果が通知されます。しかしその通知までに要する時期も明確な期限が有るわけではありません。

 巷間情報では、各都道府県の単位弁護士会が懲戒請求の申立を受けて弁護士を懲戒する割合は、平均で申立件数の僅か2.3%に過ぎず、懲戒委員会そのものが申立人から提訴された例も複数あします。

 日本弁護士連合会(日弁連)は、単位弁護士会が懲戒請求申立を却下したとき、同議決に対する異議申立を受理しますが、ここで再審査に至る割合はさらに少なく、平均してたった1.2%です。今回の異議申出の結果がどうなるのか注目したいと思います。

■なお、異議申出(ただし弁護士会の懲戒委員会の審査に付された事案および相当の期間内に懲戒の手続を終えないことについての異議の申出を除く)を、日本弁護士連合会が却下または棄却する決定をした場合に、さらに綱紀審査を申し出ることができる制度があります。

 当会はまだこの綱紀審査申出をしたことがありませんが、綱紀審査を申し出ることができるのは、異議申出をした者に限られています。この綱紀審査申出書は、日本弁護士連合会から異議の申出を却下または棄却する決定の通知を受けた日の翌日から起算して30日以内に、郵便、信書便または持参により提出しなければならいません。

 日弁連のホームページによれば、綱紀審査は、学識経験者(弁護士、裁判官、検察官およびそれらの経験者を除く)である委員のみで構成される綱紀審査会において行われます。この制度の趣旨は、懲戒の手続に国民の意見が反映されることにより懲戒の手続の適正さを一層確保することにあるとされています。

 一度司法試験に合格してしまえば、よほどのことがない限り弁護士としてのステータスを一生維持することができます。当初は崇高な精神を保持していた者も、やがて「センセイ」と呼ばれるうちに初心を忘れ、違法不当な行為に手を染めたり、依頼者の立場にたった最善の対応をとることを怠り、法律用語や訴訟手続きなどしらない依頼者を煙に巻き、法外な手数料だけはきちんとせしめる、という不良或は怠慢弁護士がはびこらないように、お仲間クラブ的な弁護士会にさせないように、今回の自治会の不良会計問題の和解を巡る弁護士の対応を検証していきます。

【市民オンブズマン群馬からの報告】

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