市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報3号)

2013-05-20 22:22:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■市政をただす安中市民の会の会報3号は、第2号の1週間後の平成7年7月2日(日)に発行されました。このころは号を重ねるに連れて1000部、2000部、3000部と発行部数が急増していきました。また、事務局を一本化しました。

元職員タゴが1千万単位で毎週現金を引き出していた金蔵の群馬銀行安中支店。他の自治体では、土地開発公社の支払いは全て口座振替であるにもかかわらず、群銀安中支店では、他の自治体の店舗と異なり、公社職員に現金で支払うことを不思議と思わなかった。いかに、タゴと群銀が癒着していたかが分かる。

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■市政をただす安中市民の会  会報3号(上)
事務局 関口八郎(安中市磯部3-5-10、電話85-6338)  発行日 平成7年7月2日

市民の怒りが渦巻くなか、第3回市民集会開催される!

7月1日(土)午後8時半から定例市民集会に90余名の市民が集まり、今週の経過報告、意見発表、質疑応答、今後の方針など多岐にわたり活発に討議された。まず活動経過報告について事務局から報告。

公開質問状に対し回答拒否書を出した市長の無責任!

既報の通り6月19日の質問状で市長回答を23日迄に求めていたが、須藤助役らは「まだ回答が出ていない」という理由で回答出さず、6月30日迄には回答すると確約。6月29日須藤助役、大塚総務部長、大工原建設部長が事務局に回答書を持参してきた。要約を次に示す。

市政をただす安中市民の会様   回答書   平成7年6月29日
                      安 中 市
 安中市は市民に対し、事件についての見解を6月臨時広報で発表したところである。今後も事件について市の見解は広報をもって公表し、全市民に開かれた情報提供を行うものである。よって特定の団体又は個人に対してのみ市の見解を発表することとは法律に基づく公平の観点から不適当と判断し、次の点を指摘し、回答とする。
1 直接当事者の元職員と銀行が起こした詐欺事件なので、市/土地公社には金銭的被害はない。
2 市/公社は元職員逮捕、事件発生について道義的責任を痛感し、既に元職員懲戒免職、事故対策委員会設置、市幹部の減給処分等具体的かつ迅速な対応を行った。
3 市/公社は、公文書、公印管理について法令規則に基づき適正かつ適切な管理をしていた。
4 貴会の質問書のうち「市政のひずみ」「ゆがんだ市政」の表現は貴会独自の見解で遺憾だ。

上記の通り内容は事実上の回答拒否。市当局は23日「各設問を担当部課に振り分け、23日までに回答を集めるところまできた。しかし、集めた回答を事故対策委員会で調整の段階。設問が多すぎて間に合わなかった」と回答延期の理由説明をしたが、それがウソだったことがはっきりした。明らかに市長の弁護士が書いたと思われる上記回答書は市民を侮辱しており、これ以上小川勝寿市長には市政を任せられない!

特別委員会を市民に非公開とした市議会の怠慢!

6月28日開催の市議会特別委員会第2回会議を前に26日に、広上輝男議長に対し市民の傍聴を認めるよう要求書を提出。しかし、当日8時45分小西委員長から傍聴拒否の通告文を渡された。小西委員長の示した非公開理由は「委員会は条例19条公開原則に該当しない」「委員会の内容は後日、本会議で委員長報告される」「(マスコミや市民など)外部者を意識した発言等で委員会の使命や審査の充実が損なわれる」というもの。会議を取材したいとする新聞記者まで門前払いを受けた。

広報あんなか臨時号での市当局の居直りぶり!

市当局は6月25日発行の広報臨時号で市民からの不安や疑問についての回答として7項目挙げた。この内容は、当会を始め市民各層から出された質問状や問合わせ事項には一切答えず、一方的に市当局の都合に合わせた質疑応答形式となっている。行政責任については「再発防止.と事後処理、市民の不安の解消と信頼回復に努力する」だけで、肝心の事件の真相解明への決意は全く見られない。市民感情と逆行する市当局の態度に、市民の不安と不信はいっそう高まることになった。また、公開質問状の回答期限の6月23日に須藤助役が「まだ回答が出ていない」「30日までには回答する」と発言し、市民は市当局の回答を真剣に期待していた。ところが市当局は広報臨時号を突然26日から配付して回答にすり替え、質問状に対して回答拒否をしてきた。これは市民との約束を踏みにじったもの。

参加市民による自由発言と討議事項

市民感情からおよそかけ離れた市長の回答拒否書について参加市民から次のような痛烈な意見が出された。
●「特定の団体に対して市の見解を公表するのは不公平だ」という市の判断は、市民を侮辱している!市民団体が特定団体というなら、市が各種補助金を出している社会教育文化福祉諸団体はいったい何の団体というのか?農協や区長会や商工会は特定団体ではないか?ハッキリ市長の説明を聞きたい!
●「市や公社には被害がない」なら、市長はなぜ弁護士に1千万円もの公費を着手金として払ったのか?
●「事件発生に道義的責任を痛感する」という意味が不明。容疑者をクビにしたから、道義的責任を果たしたというのでは、無責任も甚だしい!真相を市民に明らかにして正しく責任を取れ!
●「公文書管理、公印管浬に落ち度はなかった」というなら、なぜ37億円もの大事件が起きたのか?
●『安中市政のひずみ』『ゆがんだ市政』を認めないのは安中市当局独自の見解であり、一般市民の感情と余りにもかけ離れた市当局の認識こそ、こうした大事件を生んだ原因そのものだ!
●回答書には「安中市」とあるだけで市長名も市長印もない。市民を侮辱し市長の無責任ぶりを示すもの!
●市民の知りたいことを知らせようとしない市当局に対して、再度公開質問状を突きつけるべきだ!

次に、市民に傍聴させない小西勝二委員長の不可思議な態度についても、意見が沸騰した。
◆傍聴の取扱いについて安中市議会委員会条例19条第1項は「委員会は議員の他、委員長の許可を得たものが傍聴することができる」とハッキリ定めている。委員会は傍聴原則なのに、「前例がない」として市民に傍聴を許可しない小西委員長の非常識には、あいた口がふさがらない!
◆委員の中には、次回会議には市民の傍聴を考慮してはどうかという意見もあった。再度、文書で傍聴要求を市議会に申し入れるべきだ!
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この会報に対する賛否のご意見は、実名でお聞かせ下さい。紙面上の匿名は希望に応じます
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■市政をただす安中市民の会  会報3号(下)

土地公社事業報告書に関する市民専門家の分析結果

6月23日に県から開示された土地開発公社に開する資料は、市民専門家の手によって内容分析作業が進められてきた。その結果次のような点が明らかになった。
★やはり容疑者は裏口座で利息を回していた為、これらの資料からは容疑者の裏□座のカネの使途は不明。従って、事件の全貌解明には容疑者の裏口座に関する公社の内部資料の人手が不可欠。
★開発公社にも話を聞きに行ったが、黙っていて判らない。銀行側も黙ったまま。真相を明らかにする姿勢が全く欠けている。これだけの大事件。何かあるはず。
★現在は、警察も市も、本件は群銀と容疑者との刑事問題としているが、いずれ遠からず容疑者の裏口座の借入金返済期限がくれば、群銀は安中市に返済を求めてくる。そこではじめて民事の訴訟問題となる。市広報臨時号では、市に損害はないと書いてあるが、銀行に対して100%勝訴すると約束できるのか?
★平成4年度は赤字なのに、監事の意見でこの点についてまったく触れていない!問題だ。
★今年3月31日現在の公社の借入金総額は19億円強、昨年の支払利息が6251万円。公社保有土地簿価が19億円強、純資産が、4億円弱。預金は群銀約1億7千万円。群馬信組1億円、以下東和、JA。

このほか次のような意見が参加市民から寄せられた。
◆6月28日の朝、安中駅と磯部駅で用意した会報2号計900部を配った。市民の関心の強さをひしひしと感じた。ぜひ会報3号もこうして配付して欲しいと言う人がたくさんいた。
◆議会での市長答弁で、長期配置は専門性が必要だからだと言っておきながら、平成7年4月になって容疑者を突然異動させたのは明らかに矛盾行為だ。しかも多胡容疑者は異動先の教委内部で同僚に「俺はこの秋に公社のしかるべき役職に異動する」と明言していた。関連人事について真相を調べる必要がある。
◆広報臨時号も触れているが、4月18日に銀行から公社に対して借入額についての照会があった。これは銀行からの下相談のはず。そうでなければ容疑者が教委に異動後5月18日まで事件がわからないことはない。銀行から公社に照会のあった時は市長選のさなか。何か事情があったのでは?
◆容疑者の後任が銀行へ挨拶に回ったのが4月19日。広報臨時号によると銀行から借入額の照会があった翌日に公社職員が金額を書いたメモを渡したという。4月19日に銀行へ挨拶に行った公社職員はその際にメモも渡したのか?広報臨時号は公社と銀行とのやりとりで日付を明確に示していない。何故か?
◆今回容疑者の起訴状によると、3月23日に群銀から正規の金額961万2千円を借入れる際、借入額を2億5961万2千円に水増しし借入依頼書を偽造、3月31日群銀に水増し分2億5千万円を裏口座に振り込ませた。水増し分を別口座に移す場合には銀行に対して理事長印のある依頼書が必要な筈。4月1日付けで異動になる者が、最後の日になぜそんなことをしたのか?何か変だ。
◆市長は5月18日に事件を知り、19日に弁護士を呼んで、21日に容疑者とゴルフに出かけ、29日に内部調査報告を受け、31日に容疑者を懲戒免職にし、6月2日に警察に届けている。なぜ容疑者をクビにしてから警察に届けなければならなかったのか?順番が逆てはないのか?
◆容疑者は異動後の5月8日にも1485万円を引き出した。3月末に2億5千万円振り込まれた口座が5月末で口座の残金は2億円だから、この間に少なくとも3500万円を何かに便ったことになる!

続いて、参加した市民から次のような情報が寄せられた。
*6月14日の市議会一般質問で原田議員がこの事件で質問中、半田議員が横やりを入れた時、いちばんはしゃいでいた早川議員に関心をいだき、関係する会社を調べてみた。すると、会社の目的の中に「不動産の売買など」という記述がありオヤッと思った。驚いたのは役員に関する事項である。既に調べた多胡容疑者の親戚の運輸会社の役員の中にも全く同姓同名の人物の名前が書いてあったからだ。また、やはりこの運輸会社の目的にも「不動産の売買など」と記されていた。偶然のいたずらなのだろうか?
*「不動産の売買」というのは市議のひとつのステータスらしい。公社の理事を併任する市議の関係すると言われる会社にも「不動産の売買」とその目的に書いてある。公社の定款の12条には営利を目的とする団体の役員など兼職の禁止が定められている。もっとも任命権者である安中市長の許可を受ければよいとある。いずれにしても公社の定款が空文化しているからこうした事件の温床になったのでは?
*最近の報道では、市当局も群銀も互いに責任のなすりあいで肝心の真相解明への積極姿勢が見られない。そこで6月30日に群銀の頭取に会って直に話を聞こうと本店に行ってみた。頭取に会いたいというと、しばらくして総務部の担当者2名が恐い顔で現れた。どうも総会屋か政治ゴロと間違われたらしい。37億事件で聞きたいと言うと、現在警察で調査中なので何もコメントできない、と安中市と同じ答が返ってきた。我々安中市民は事件の真相について何も知らされず蚊帳の外だが、結局37億円のツケだけ払わされるのではと市民は深刻に不安を感じている。ぜひ市民に情報を開示して欲しいと、27項目の公開質問状を提出したところ、受理された。7月7日までに回答を求めた。終始群銀はピリピリしていた。

最後に、今後の運動方針として下記の活動項目が満場一致で合意された。

==========今後の運動展開方針==========
◎市役所玄関で抗議のための市民アピールを7月3日から毎朝行う。(月~金 7:50~8:40)
◎広報活動として7月4日から1ヵ月間宣伝カーで各地区を巡回する。(参加希望者多数)
◎市長からの「回答拒否書」に対して、再質問状を市長あてに提出し、真相解明のために内部書類の公開を強く求める。(市長あてに再質問状と情報開示要求書を提出する)
◎市議会に対して委員会条例19条に基づき公開の原則による傍聴を許可するよう強く要求する。(小西委員長あて要求書を提出する)
◎市議会議員全員に事件について緊急アンケートを求める。アンケートの内容:37億円の責任の所在、真相解明へ向けた百条委員会設置、98条特別委員会の市民傍聴など。(来週早々郵送する)
◎37億円事件に関する座談会を各地区で開催する。(来週から再来週にかけて各地区で開催する)

第1弾めに 後閑地区座談会開催 7月7日(金)午後7時30分~ 於:後閑公民館

◎市民の会の事務所を設置する(事務局で検討)

次回会合予定日 7月8日(土)午後8時半~ 於:安中公民館

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【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】



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