市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

4月1日にゴミ焼却施設の所長に昇進した途端、死に追いやられた安中市職員の一体なぜ?(続報3)

2013-05-01 22:17:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■4月2日の朝、遺体で発見された碓氷川クリーンセンターの所長は、前日に係長から課長に異例の昇格をしたばかりでした。この重大事件について、安中市の秘書課は、おそらく岡田市長の指示を受けて、直ちにマスコミに情報提供をしました。説明責任を重んじる岡田義弘市長ならではのスピード感あふれる判断でした。

 安中市ではこれまで市職員の飲酒運転など不祥事への対応がもっぱらですが、今回は課長職の職員が職場である施設内で急死するという異常事態なので、さぞかし緊張したことでしょう。

 最近では、市職員の死亡例として次の事例があります。

**********毎日新聞2012年8月27日(月)10時30分
水難事故:安中市職員、長野で水死 /群馬
 8月25日午後2時10分ごろ、長野県上田市小牧の千曲川に男性の遺体が沈んでいるのを釣り人が発見。同県警上田署は、遺体は、安中市安中、同市職員、山崎隆さん(53)と判明したと発表した。同署によると、死因は水死。約95メートル上流の中州に山崎さんの釣りざおが落ちており、近くに深みがあることなどから、アユ釣り中に深みにはまり流されたと見ている。
**********共同通信2012年8月25日22時09分
長野、アユ釣りの男性死亡 千曲川
 8月25日午後2時10分ごろ、長野県上田市小牧の千曲川にかかる常田新橋の橋脚付近で群馬県安中市安中、同市職員の山崎隆さん(53)が溺死しているのを釣りに来た男性が発見し、110番した。
 上田署によると山崎さんは25日、1人でアユ釣りに訪れていた。中州に山崎さんの釣りざおが落ちており、川に流されたとみて調べている。
**********

 上記は週末のプライベート時間で発生した水難事故でしたが、今回は、今回は課長になったばかりの職員が、職場の施設内で死去したわけで、その重大性は比較になりません。ところが当会の疑問に対して、安中市秘書課は、積極的に状況説明をするどころか、歯切れの悪いやりとりに終始しました。今回指摘しておきたい疑問は次の点です。

【疑問2】市からマスコミへの連絡の手際良さと内容の拙速のアンバランス

 4月1~2日の状況はよくわかりませんが、秘書課の曖昧な話と新聞記事をもとに時系列で整理すれば、多分次のとおりだったようです。(  )内は当会の素朴な疑問。

4月1日(月)
朝   本庁で岡田市長から辞令交付される。
夕まで 所長は夕方までいつものとおり勤務していた。(所長としての初日の業務なのに“通常通り”とか“いつもの通り”といえるのか?)
夜   所長は自宅に帰宅しなかった。(中後閑に向かわず、松井田方面に向かった?)(昇格祝いなど、誰か一緒に行動した者はいなかった?)

4月2日(火)
08:30
 始業時間開始とほぼ同時に、クリーンセンターの所長の家族から「前日の晩から帰宅していない」という電話があった。
 その直後に、クリーンセンターから秘書課に所長行方不明の連絡があった。
 クリーンセンターでは、部下の職員らが手分けして、所長の行方を探し始めた。
・08:45 松井田にあるクリーンセンターの、既に埋立を終了していた一般廃棄物最終処分場に捜索に向かった職員が、ゲートの扉を開けて構内に入り、捜索したところ所長の遺体を発見した。
・遺体発見の一報は、ただちに秘書課経由岡田市長に届けられた。
・安中市が遺体発見の届け出を安中署に行なった。
・届け出を受けて安中署が現場を調べた。
・09:30秘書課広報係が、高崎記者クラブ(FAX:027-326-8273)及び加盟各社(朝日、読売、毎日、産経、上毛、東京、群馬TV、NHK)それぞれに「安中市職員の死亡について」と題して「いつもお世話になります。碓氷川クリーンセンター所長■■■■が急死いたしました。詳細につきましては、現段階では把握できておりません。とりあえずお知らせいたします。」という内容でFAXを発信した。
・その後、マスコミから問い合わせの電話がたくさんかかって来た。
・13:30 その後の情報で、状況が次第に分かって来たとして、秘書課広報係が、高崎記者クラブと各社に「「安中市職員の死亡について(続報)」と題して「碓氷川クリーンセンター所長■■■■(51歳)の死亡について現在わかっている情報をお知らせいたします。所長が昨晩から家に帰らないため、家族から連絡があり、職員で心当たりを捜索していたところ、安中・松井田一般廃棄物最終処分場で遺体で発見されました。現在警察で調査中のため、詳細についてはわからない状況です。」という内容でFAXを発信した。
・この時点で、所長の急死に関して安中署の検分がまだ終わらなかったが、マスコミでは独自に安中署などに検分の結果を問い合わせていた。
・安中署などが検分結果について「自殺らしい」とマスコミに対して情報提供した。
・以上の情報に基づき、夕方までに産経、朝日、東京の3社だけがこの事件に関する原稿を書いた。

■そして、3社が翌日の朝刊に掲載した記事は次の通りでした。

**********産経新聞 4月3日(水)7時55分配信

ごみ焼却施設の所長 最終処分場で自殺か 群馬
 安中市は2日、同市原市のごみ焼却処理施設「碓氷川クリーンセンター」所長(51)が急死したと発表した。自殺の可能性が高いとしている。
 秘書課によると、所長は1日付で同センターの係長から所長に昇格し、同日はいつも通り仕事をしていたという。しかし、夜になっても帰宅せず、家族が市に連絡していた。
 2日朝、市職員が同市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で所長の遺体を発見した。
**********朝日新聞2013年4月3日朝刊群馬版

安中市内の幹部職員 市施設内で自殺か
 安中市は4月2日、安中・松井田一般廃棄物最終処分場(安中市松井田町松井田)の施設内で、市の幹部職員の碓氷川クリーンセンター所長(51)が死亡しているのを職員が見つけたと発表した。届け出を受けて調べた安中署などによると、自殺とみられるという。市によると、1日夕まで通常通り勤務していたが帰宅せず、職員が捜していたという。
**********東京新聞2013年4月3日朝刊群馬版

安中市職員 遺体で発見 署「事件性なし」
 二日午前八時四十五分ごろ、安中市松井田町の安中・松井田一般廃棄物最終処分場で、同市課長職の男性職員(51)が遺体で発見された。安中署によると事件性は無いとしている。
 男性は前日の晩から帰宅しないため、家族からの連絡で市職員が捜索していた。男性は一日に課長職に昇任する辞令交付を受けたばかりだった。
**********

■3社とも、死因について自殺の可能性を示唆しています。ただし、東京新聞だけは自殺とは書かず「事件性は無い」という表現を用いています。

 朝日新聞は「安中署などによると」という表現で複数の情報源を示唆していますが、東京新聞は「安中署によると」と断定しています。「自殺の可能性が高い」と書いた産経新聞は情報源を明記しておらず、前後の文章から安中市(秘書課)が情報源という印象を読者に与えています

 疑問なのは、その他のマスコミがなぜこのニュースを取り上げなかったのかということです。とりわけ不思議なのは、なぜか地元の上毛新聞が記事として掲載しなかったことです。安中市役所のすぐそばに事務所を構えている上毛新聞記者が、今回の事件について関心を持たないはずはなく、なぜ地元なのに記事として掲載しなかったのか、首をかしげる市民は当会ばかりではありません。

 また、安中市秘書課はなぜこの情報を高崎記者クラブ内の「安中記者クラブ会員」のみに限定して、いちはやく提供したのでしょうか。もし、会員を特定せずに配信していれば、共同通信や時事通信も取り上げたかもしれないからです。

 共同通信は冒頭に示したように昨年8月25日に発生した市職員の水難による死亡事故をNEWS47として全国に配信し、全国各地の地方新聞社が掲載しましたが、今回はニュース性がその時よりも遥かに重大なのに、配信しなかったようです。

■もう一つ不思議なのは、東京新聞です。東京新聞も市役所のすぐ近くに記者がおり、県内で沼田市と同様に比較的読者数の多い安中市の関係記事の掲載に熱心だからです。この記者は、以前、多年にわたり岡田市長に政治献金をしており、岡田市長の提灯記事を書くことでも有名です。当会は、東京新聞本社に「ジャーナリストとして不適切なので是正してほしい」と要請していますが、新聞販売店主でもある記者の行状に口出しできない様子で、現在に至っています。

 東京新聞の場合、かならず記事を執筆した記者の名前が最後に記されています。ところが、今回の事件では、記者の氏名が入っていません。他の記事にはちゃんと記者名があるのに、この記事だけ無記名なので、東京新聞に問い合わせてみました。すると「執筆した記者はいるが、自分ではない。誰だか知っているが名前は明かせない」というのです。

 東京新聞は、この事件を掲載した3紙の中で唯一、遺体発見の時間を「二日午前八時四十五分ごろ」と特定しており、事件の背景についても「安中署によると事件性は無いとしている」とはっきりと断定しています。これは、実際に遺体を発見したと思われるクリーンセンターなど市の関係者もしくは、現場を検視した警察関係者に取材をしたことをうかがわせます。

 当会は、この点についてしつこく質問しましたが、応対した記者は「取材源も明かすことはできない」との一点張りでした。

■安中市は、マスコミに対して情報管理を一元化するために秘書課広報係(正確には広報広聴係)を窓口にしており、「FAXで2回マスコミに通知した情報以外は一切しゃべっていない」と述べています。

 しかし、実際には、朝日新聞では「市によると、1日夕まで通常通り勤務していた」としており、産経新聞は「同日はいつも通り仕事をしていたという」と報じています。マスコミからの取材攻勢に対して秘書課或はその他の部署(クリーンセンターか)が追加説明をしたことがうかがえます。

 こうしてみると、4月2日の朝、遺体発見の知らせをクリーンセンターからもらい、僅か40分程度しか経過していないうちに、マスコミに一報を入れた安中市の手際の良さと、その反面、最小限の情報提供に留まり、安中市は、警察の事件検分結果さえも入手していなかったという2つの側面が浮き彫りになりました。

 安中市の対応はすべて岡田市長が指示を出しているはずです。「情報公開で説明責任を果たしスピード感あふれる市政」を標榜する一方、都合の悪い情報は一切外に出さないという岡田市長のやりかたが、今回の事件での対応にも表れていると言えるでしょう。

 当会では引き続き、この事件を掘り下げていきたいと考えています。

【ひらく会情報部・公務員労働環境調査班】

コメント
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