市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

これでいいのか群馬県環境行政・・・27年目に高崎市に設置許可させ拍車がかかる高崎西部丘陵の産廃銀座化

2012-11-08 22:46:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■既に1ヶ月以上経過してしまいましたが、高崎市吉井町の上奥平で設置が計画されていた二光産業の安定型サンパイ処分場に対して、高崎市が9月24日付で設置許可証を交付してしまいました。これにより、観音山丘陵から安中市の岩野谷丘陵にかけて、「サンパイ銀座化」に一層拍車がかかることになってしまいました。まことに憂慮すべき深刻な事態です。岩野谷地区の環境資源㈱をはじめとするいくつものサンパイ場計画も、相変わらず群馬県の環境行政のせいで、留まるところをしりません。富岡市のアスベスト中間処理施設の設置許可申請手続のほうも、気がかりです。

高崎市西部の観音山丘陵地帯。高崎観音の後背地をサンパイ場だらけにしたバチアタリな群馬県の環境行政を象徴している。観音様の顔色が優れないのはそのためか。
 まずは、高崎市吉井町の上奥平の二光産業のサンパイ場設置申請にゴーサインが出された件について1ヶ月半前の報道記事をみてみましょう。

**********2012年9月25日毎日新聞地方版
高崎の産廃処分場:建設計画27年、市が許可 市民団体「他も進行心配」 /群馬
 高崎市は9月24日、同市吉井町上奥平地域に設置申請されていた産業廃棄物最終処分場について、同日付で二光産業処理(高崎市)に設置許可証を交付したと発表した。同処分場計画は85年に県へ事前協議書が提出されて始まり住民の反対で凍結状態になっていたが、高崎市との合併(09年4月)の直前に当時の吉井町長が保留していた意見回答を行い、行政手続きが進んだ。
 計画によると、敷地面積4万3245平方メートル、埋め立て容量約44万立方メートルで、安定5品目(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・コンクリート・陶器くず、がれき類)を処理するとしている。市は、(1)地元住民の調査への立ち会い(2)関係書類の公表−−などを内容とする覚書を、同社との間で締結した。
 凍結状態の計画が進みだしたのは当時の町長が合併1週間前に「県に判断をお願いする」と意見回答したのがきっかけ。県は11年3月に事前協議を終了、同25日に設置許可が申請された。同年4月の中核市移行に伴い高崎市に審査業務が引き継がれた。市は、冬と夏の2回にわたり改めて生活環境影響調査を実施し、「環境への影響はない」と判断したという。
**********2012年9月26日高崎新聞
吉井町上奥平・産廃処分場を設置許可 住民不安で覚書を締結
 高崎市は、長期懸案事項として審査を行ってきた、吉井町上奥平の産業廃棄物処分場建設計画について、妥当なものと判断し、9月24日付で設置許可証を交付した。
 この計画は、昭和60年に寺尾町の産廃処理業者、二光産業処理有限会社から群馬県に事前協議書が提出され、高崎市との合併直前の平成21年5月に吉井町から群馬県に意見書が提出されていたことが明らかになったことで、問題が浮上した。
 高崎市では、この産廃計画によって、生活環境に不安を感じている地域住民の意見を尊重する姿勢を示していたが、高崎市が中核市となり、産廃処分場の設置許可が高崎市の権限となったことから、この計画も、県から高崎市に引き継がれた。
 高崎市では、生活環境に与える影響について、独自の調査を行い、専門家の意見を聞くなど、慎重な審査を行った結果、法令に基づき許可が妥当と判断した。
 この処分場の今後の運営について、高崎市では住民の不安を払拭するため、事業者との間で覚書を締結し、地元住民が調査に立ち会うことや、関係書類を公表することなどを決めた。
 計画施設は安定型の最終処分場で、処理する廃棄物は、廃プラスチック、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶器くず、がれき類。規模は敷地面積4万3245㎡、埋め立て面積2万9861㎡、埋め立て容量44万9519立方m。
**********

 このサンパイ処分場計画は、当会のブログでも紹介したとおり、昭和60年に設置申請のための事前協議書が出され、吉井町が高崎市に合併する直前のドサクサまぎれに当時の吉井町長が業者の立場を慮って意見書を提出した為、サンパイ業者を支援する群馬県の環境行政が手続を進めてしまい、結局、吉井町長の意見書が県に提出された後、僅か3年半で、設置許可が出されてしまいました。

■吉井町の上奥平地区とそれに隣接する安中市岩野谷地区では、当会のブログでも報告しているように、サンパイ場や一般廃棄物(イッパイ)処分場が目白押しです。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/279.html#readmore
ちなみに、今回の二光産業によるサンパイ場計画は、この地図の「N」とある場所だと思われます。http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1259429163.jpg

 吉井町が平成21年6月1日から高崎市と合併する直前の同年5月25日に、当時の吉井町の町長が、群馬県にこのサンパイ場計画に対して、町としての意見書を出していたことが発覚したことを契機に、一層のサンパイ銀座化が憂慮されてきました。群馬県では行政とサンパイ業者とが政治家を介して癒着する度合が全国でももっとも酷いところだからです。

■この二光産業のサンパイ施設についても、地元の住民の皆さんが、高崎市西部の丘陵地帯をこれ以上のサンパイ銀座化を阻止しようと、行政に働きかけをしてきました。

 2010年11月12日には、地元住民の皆さんが群馬県庁に赴き、大澤知事あてに上奥平産廃建設に反対する申し入れ書を提出しました。サンパイ業者と癒着している群馬県の環境行政は、住民の要望を受け入れることなく、従来の事前協議規定が有効だとして、住民らの申し入れを突っぱねてきたからです。

**********
            申し入れ書
群馬県知事                 2010年11月12日
大澤 正明 殿
 高崎市吉井町上奥平地区産業廃棄物最終処分場建設に反対する要請書
                上奥平、産廃処分場建設に反対する会
 貴職の日頃からの活動に、心より敬意を表します。
 さて現在、高崎市吉井町上奥平地区に計画されている、二光産業処理有限会社による産業廃棄物最終処分場建設は、面積3万平方メートル、埋め立て容量41万立方メートル、産廃の種類は安定型で、廃プラスチック、金属くず、ガラス、陶磁器くず、瓦礫などで、有機性汚濁の原因となる物質の含有や有害化学物質の付着、混入、拡散する可能性があると指摘されているものです。
 こうした状況の中で、高崎市は産廃建設現地の上奥平地区、寺尾地区で住民の意見聴取を行いましたが、発言者の全ての住民が建設反対を訴えました。
 その結果、本事案に対して高崎市は、群馬県の事前協議規定を昭和56年に規定された旧規定ではなく、平成11年に改正された新しい事前協議規定を適用し、住民や高崎市との合意形成を事実上やり直すことを県に要望しました。
 しかし群馬県は、この高崎市の要望を受け入れることなく、形式的な行政手続きで本事案の処理を進めようとしています。
 11月7日に行われた業者による寺尾地区の説明会では、寺尾地区として建設に反対することが表明されました。
 上奥平地区も含め、地元住民の建設に向けての合意は不可能となっています。さらに産廃建設の問題点としては、
①すでに上奥平地区には、2つの産廃最終処分場と一般廃棄物最終処分場、計3つの最終処分場が稼働している。
②4つ目の産廃最終処分場が許可されれば、さらに隣接地に新たに最終処分場建設される可能性がある。
③産廃最終処分場建設予定地は、高崎市の自然保護の象徴である観音山丘陵の中にあります。建設予定地の直下には雁行川が流れ、ホタルやカジカガエルの生息地域となっており、オオタカの生息も確認されています。建設が強行されれば自然環境に大きな負荷がかかります。
以上のように、様々な問題点が指摘されています。
高崎市は、来年(2011年)4月に中核市に移行し、産廃許可権限が群馬県から高崎市に移譲されます。群馬県は高崎市と緊密に連携をとりつつ、住民の意向に従って、産廃建設不許可の決断を行うことを強く要請します。
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 このように、寺尾地区で平成22年11月8日に開かれた建設業者主催の説明会は、すぐ近くに住みサンパイ場の影響を受ける寺尾町から出席した住民全員が建設反対の意見を述べたにもかかわらず、群馬県はその後も粛々と本申請の手続を進めました。

 この過程で、群馬県が許可要件の大きな柱としている建設予定地300m以内の居住者の5分の4(つまり8割)の合意が必要という条件について、サンパイ場設置予定地から300m以内に隣接する「のぞみの園」の居住者が100名も居るのに、カヤの外に置かれる始末です。一旦業者が県に提出した合意書は、時効にもかからず、ずっと有効として扱われているようです。

■そして、群馬県は2011年3月に事前協議を終了させて、待ってましたとばかりに業者は同3月25日に設置許可を本申請したのでした。さらに、群馬県は、既成事実の積み上げが完了したとして、2011年4月1日に高崎市が中核市に移行するタイミングを計って、本申請の審査業務をバトンタッチしたのでした。

 これでは、いくら高崎市が住民の意見を汲み入れようとしても、事前協議が終わってしまった為、本申請の手続をストップさせると業者から訴えられかねません。

 こうした住民無視で、業者本位のサンパイ処分場設置の為にシナリオづくりは群馬県環境行政がもっとも得意とするところです。

 バトンタッチされた高崎市は、2011年冬と2012年夏の2回にわたり生活環境影響調査を実施したとしていますが、県の敷いたレールを覆すには至らず、「環境への影響はない」との最終判断をもって、とうとう2012年9月24日に建設許可のゴーサインを出したのでした。

 この間、2012年3月27日までに高崎市への住民の生活環境保全上の見地からの意見書提出が締め切られました。これが住民に与えられた最後の意見陳述の機会でしたが、結局、業者と行政に対してなんの役にも立たなかったことになります。

■この二光産業処理有限会社の上奥平地区安定型サンパイ最終処分場設置許可が引き金になったのかどうか、すぐ隣の岩野谷地区の環境資源を初めとする複数のサンパイ処分場計画もあわただしい動きを見せています。現在調査中ですが、あらたな情報がわかれば報告する予定です。

【ひらく会情報部】

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