チョウ・ユンファが演じる曹操を主役に、正史「三国志」や小説「三国志演義」でも記述されている曹操暗殺計画を大胆なアレンジも加えて描いた歴史ドラマ。赤壁の戦いから8年後、樊城の戦いで劉備と関羽を打ち破った曹操は魏王と呼ばれ、自らの宮殿である銅雀台で専断政治を行っていた。曹操に実権を握られた献帝は曹操の暗殺を企て、密勅を下す。関中では、馬超・韓遂の騎馬隊によって連れ去られ、牢獄で刺客としての訓練を受けていた者たちの中から、穆順と霊雎が曹操暗殺の密命を受け、穆順は宦官として、霊雎は侍女として銅雀台に潜りこみ、曹操の暗殺を狙う。主演のチョウ・ユンファのほか、中国のリウ・イーファイ、日本の玉木宏、台湾のアレック・スーら、アジア各国からキャストが集結。スタッフにも種田陽平(美術)、梅林茂(音楽)ら日本人が参加している。監督はCMディレクター出身で本作が初長編作となるチャオ・シャオティン。(映画.comより)
いやはや、よかったです。若い頃に「三国志」(吉川栄治作)を読んで虜になったはずなのに、いつしかその内容を忘れてしまい、アイドル集合の「レッドクリフ」を見る頃は何が何だか、恥ずかしいほど記憶が薄れていました。結局「金城君はさすがにカッコよかったなぁ」とか「トニー・レオンも良かったけれど、奥さんのリン・リーチンのなんと美しかったことよ」とか、アホ限りない感想を持ったのみで、物語上で「赤壁の戦い」はどの辺に位置するのかもわからずに、見た気になっていました。
そして今回。懲りずに「曹操暗殺」を見たわけです。これを見ると伝えたときに、主人に「曹操は暗殺されてないよ」と言われ、「失敗するんじゃないの?」などとわかったような口をききながら、実は「そうだったっけ・・・」とか思っていた私。
実際に映画を見て、自分の記憶がいかに失われているかを思い知らされ、とにかく復習する気になったわけです。
「レッドクリフ」では、敵対する孫権と劉備が、曹操を倒すという目的のために手を組み、それぞれの名将のおかげもあって勝利するのですが、逃げた曹操は命を得て生き伸びています。それは、その昔わけあって劉備から曹操に仕えることになった関羽が、その義理堅さを認められ、劉備の元に返してもらった恩義が曹操にあったため、逃げる曹操を見逃したとされているからです。「レッドクリフ」はこの辺までだったでしょうか。
そしてその後8年。劉備軍を打ち破った曹操は魏王となっています。朝廷の献帝を一応立ててはいますが、実権は魏王が握っています。孫権は、魏王にかなわないと思ったか、関羽の首を献上したようです。このへんはセリフだけですが、映画の冒頭に言及されます。(実際はこんなものを献上されて迷惑だったようです)
しかし、広い中国。一人の男が実権を握ろうとすると、必ずそれを狙う奴が存在します。かくして関中では、親のない子など子供をさらって暗殺者にすべく密かに訓練してている組織が存在しました。そこにある少年と少女が同時にさらわれ、鍛えられているのですが、これが後に主人公となるリウ・イーフェンと玉木宏です。優秀であった彼らは、それぞれ側室と宦官として魏王の元に送りこまれ、虎視眈眈と魏王の命を狙うことになるのです。
また、道化に徹している献帝も、実は実権を握りたいと思っています。そんなそれぞれの思惑が入り乱れ、常に都はピリピリ。曹操はもとより、誰もが安眠できません。
そんな中、狙うべき魏王の人となりに魅了されるもの、美しいリウ・イーフェンの、曹操をも絡めた生い立ちなど、いろいろなことが明らかになってゆき、壮大な(言葉が陳腐ですが)物語が展開します。
個人的には、非常にわかりやすく仕上がっていると思いました。非難を覚悟で言うと、「レッドクリフ」よりもわかりやすかったかも。そして、すべてが史実ではないとわかっていても、ドラマとして大変よく出来ていたと思います。権力者の悲しみ・孤独。そして若い人たちの、想像を越える悲恋まで。いや~、よかったですね。
それにしても、権力を巡る男たちの争いの残酷・熾烈なこと。ここまでして、なにを欲するのかと思うほどです。それと、我らが玉木宏。よくがんばっていたとはいえ、セリフはきれいに中国語に吹き替わり、ここは玉木氏である必要があったのかな、と疑問に思うところでした。
あと、びっくりしたのが伊能静。ず~~っと若い頃に何かの台湾映画(だったと思う)で見たっきり。その頃は、日本でもどこかの靴のブランドのCMに出てたと記憶しているのですが、あんまり時が経ち過ぎてわかりませんでした。皇后だったようです。
お勧めです。
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