ジョンジャ、ヨンヒ、シンジャの平均年齢65歳の3人は、銀行強盗の被害にあい、夢にみていたハワイ旅行を実現させるための貯金を奪われてしまう。3人はお金を取り戻すため、今度は自分たちが銀行強盗になることを決める。3人の老婦人が銀行を襲おうと悪戦苦闘する姿を、笑いや涙を交えて描く。「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のティル・シュバイガーが製作したドイツ映画「ヤンババ! ばばぁ強盗団がやって来る!」(2000/日本未公開)の韓国リメイク。監督は「花嫁はギャングスター」の脚本家カン・ヒョジン。(映画.comより)
少し前の映画です。「本当におもしろい」と評判を聞いていたのですが、見逃してしまい残念に思っていました。しかし、いざ見てみると、おばちゃん3人組がスカッと爽快な冒険を繰り広げるのかと思いきや、案外シリアスな設定でしんみりしてしまいました。
どこの国でもそうでしょうが、まだまだ女性、それも中年以降となると、社会的地位は本当に低いです。道を歩いているだけで「おばはんは端っこ歩け」みたいな。どこかの元知事も「社会の諸問題の一番の原因は、おばはんの存在だ」とのたまってましたね。「おばはんは早々に死ねばいい」と。
この映画でも、主人公たち3人は、一人を除き離婚してるのですが、夫に本当にひどい目にあわされてます。こんなこと、日本でもあるんだろうか、と思うほど(いや、なかなかないと思いますね)。そして、そのうちの1人は娘になにかと罵られています。残る一人は死別しているのですが、どうやらひどい夫だった模様。その上、息子の仕打ちときたら!韓国は儒教の国で、親も大切にするのかと思っていたのですが・・・。せつなかったですねぇ・・・。
年輩のおばさんになんか、社会は最も冷たいもの。せっかく銀行まで振り込みに行ったのに、銀行強盗に盗られた上、最終的な振り込み印(銀行の印)が押してなかったから、銀行のせいではないし保証もできないと、盗られなかった小銭だけを返してくれます。
おかしいですねぇ。我々の感覚だと、銀行内で起きたことなんだから銀行のせいだと思いますけどね。案外、日本でもそうなのかしら。
「あんまりだ」と弁護士に相談に行けば、ふんぞり返ったまま、あからさまにバカにした態度。「もうええわ。帰る」と言うと、法外なお金の請求。「10分しかしゃべってないのに」と言えば、「ええ、10分でその値段です」と、美人受付嬢のイヤミな説明。「しゃ、社長を出せ!」と言うと「社長は1.5倍の料金ですが」と平然と答える。この踏んだり蹴ったりの展開、同じおばさんの私にはつらかったです。胸が痛みました。あぁ、社会って冷たい。
そこから、自分たちのお金を奪った犯人の手掛かりを思い出す・その手がかりから犯人を見つける・ところが彼も仲間に持ち逃げされていたのでお金は全然なかった・仕方がないから彼に特訓を受けて自分たちが強盗することにする・警察の仲間も実は一人噛んでいた・・・などと、話はあり得ない展開をみせます。
この辺は笑えます。人情も出て来ますし、おばちゃんたちのパワーも炸裂です。
でも彼女たちは、どうしてもハワイに行かなければならない理由があったのです。単にリゾート気分で行きたいわけではないのです。
最終的に本当に銀行強盗するも、そこは素人。うまくは展開しません。彼女たちのあまりな身の上話に、人質たちは同情し、彼女たちに協力するも、警察の追跡は執拗です。
あぁなんとか逃げ切って・・・という我々の(?)願いも虚しく、やっぱり捕まってしまいます。見ている方は「えぇっ・・・」と絶句。なんとか一人だけでも、特例とか、そういう措置を・・・と期待もしますが、やっぱり世間は甘くない。彼女たちのハワイ行きは間に合いませんでした。
そして出所のシーン。悲しいですね。
一番ラストのシーンは明るく締めてます。ん?この人たちが一緒にいるの?と合点がいかないまま笑って終わり、そんな感じです。
底抜けに笑える話かと思っていたのですが、個人的にはリアルでシリアスでした。なんか、心にずっしり重い(笑)。でも、いい話です。
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