「ブレックファスト・クラブ」「レポマン」などで知られる俳優で、「ボビー」「星の旅人たち」など映画監督としても活動するエミリオ・エステベスが製作、監督、脚本、主演を務めたヒューマンドラマ。オハイオ州シンシナティの公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波の影響により、市の緊急シェルターがいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまったのだ。彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。しかし、政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。エステベスが主人公のスチュアート役を演じるほか、アレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレイター、ジェフリー・ライト、ジェナ・マローン、テイラー・シリングらが顔をそろえる。(映画.comより)
エミリオ・エステベス!久しぶりです。元気にしてらしたのですね。この作品は、都会で単館上映のところ、作品がないのか田舎に早々に降りてきたもの。最近、田舎住まいの私にも、こんなラッキーなことが起きているのです。以前なら考えられなかった珍しい作品が早々に降りてくる(作品によっては同時期に公開しているものも!)ことが多くなりました。作品を確保しなければならない経営者は大変でしょうが、実はうれしい悲鳴を上げています。
さて、今回エミリオは公共図書館の中間管理職。アメリカに詳しくないのですが、シンシナティの街はそこそこ都会なのか、図書館はいつも賑わっています。なかでも、ホームレスの人たちにとっては憩いの場。仲間には会えるし、中は暖かいし、いつも開館と同時に入場し、トイレで歯磨きと洗顔です。しかも、いつでも本は読み放題で知識も得れる。こんないい人生はないような気がします(笑)。もちろん、係員さんたちに大目に見てもらっているのはわかっているので、それなりに気を遣ってのやり取りです。
しかし、今年の冬は大寒波。シェルターはいつも一杯で、あぶれた人々が昨日も一人、今日もまた一人、といった具合に亡くなってゆく事態に。思い余ったホームレスの人々が、図書館に「一晩泊めてくれ」と助けを求める、そんなお話です。しかし、あくまで公共の建物ですから、いろいろ制限があり、そう簡単にはいきません。また、今でこそ真面目に働いているエミリオですが、過去には人生を踏み外したこともあり、そもそも対人関係を築くのも苦手なのです。普通に自己主張することが難しい。そんな中、事態が大きくなるにつれて、目立ってナンボと言うキャスターや政治家が自分だけの正義を振りかざしてしゃしゃり出て来るものだから、大混乱。エミリオの過去までさらされて「前科があるのですか」とか、あるまじき個人攻撃まで始まります。何なのかと思いました。
しかし、世の中には炎上させて喜ぶ人もいれば、良識ある人たちも存在します。また、実績のある警視(アレック・ボールドウィン)が実は息子と意思疎通できず居場所を探しているとか、一見成功しているように見える人が痛みのわかる人だったりします。いや誰しも、痛みの一つや二つは経験しているでしょうが、これはかなり深そうな溝でしたね。結果的に解決してなかったし。
そうそう。一度、素っ裸で歌を歌う兄さんを図書館員が注意する場面があり、ウケました。図書館の中ですよ!それなのに大声で歌い出すのです、素っ裸で。おもしろすぎるでしょう。
悪役の設定が単純でわかりやすく、よくある話といってしまえばそれまでなのですが、ホームレスのおっちゃん、兄さんたちは、やっぱり味のある人が多く「あ~私、そこにいたらきっと協力する」と思ってしまいました。単純ですみません。ラストは映画「プレタポルテ」みたいなオチ(古い!)なのですが、安心して見れる映画に仕上がっています。おすすめです。
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