かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

花は盛りに……千鳥ケ淵の桜

2023-03-24 02:12:34 | * 東京とその周辺の散策
 今年2023(令和5)年の東京の桜の開花は3月14日で、例年より9日早い3月22日に満開となった。地球温暖化のせいか、桜の早咲きの傾向が強まっているという。
 桜は一定の期間低温にさらされないと開花しないので、このまま地球温暖化対策をしないでいくと、2100年には4℃気温が上がり、九州では開花しない地域が出てくるという学者もいる。

 花見の季節となれば、靖国神社を出発して皇居お濠沿いの千鳥ケ淵の桜を見て、内堀通りを日比谷まで歩くのが毎年の恒例である。手帳を見ると、去年は3月30日に行っている。
 今年は早い開花ということもあって、天候の様子も見て3月20日に行くことにした。
 千鳥ケ淵の4年ぶりの「さくらまつり」は3月24~4月4日である。それに、この日は日曜日と祝日(春分の日)の谷間の月曜日ということで、濠に花を添えるボートも休止ということで浮かんでいない。
 千鳥ケ淵の通り約700mは、約260本の桜が並木道となっていて、通りに沿った皇居の濠と対岸の皇居の土手に咲く桜とのアンサンブルが絶妙な景色を創り出している。ここの桜は戦後の1955(昭和30)年ごろ、憩いの場所として千鳥ケ淵ボート場が設けられた際、植えられた。であるから、桜はすでに樹齢70年近い老木である。

 この日は天気はよかったが、さすがに少し早かった。
 桜は8分咲きといったところだからか、老木ということもあってか、心なしか例年より華やかさに欠けている気がした。
 いつもは行列を作り人混みのなかを歩くのだが、花見客もさほどではないので、ゆったりと見ることができる。去年までの人混みの隙間から濠に向かって桜を見つめる窮屈な花見を想いおこし、やはり千鳥ケ淵の花見は混雑のなかの方がいいなあという気持ちが湧きあがる。
 人間というものは欲張りで、欲望は複雑だ。
 
 花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは……「徒然草」

 桜に交じって木蓮や椿も咲きほこっている。土手には菜の花も健気に咲いている。
 こういうところに目がいくのも、人が少なく余裕ある花見をしているからだろう。
 土手の足元の草むらには、今まで見なかった雀がチュンチュンと動きまわっている。これも人が多くないおかげなのかもしれない。

 *最後の国立劇場の桜か!

 千鳥ヶ淵を過ぎて内堀通りを歩く。
 半蔵門を過ぎると、右手に国立劇場が見え、その建物の前は桜が満開だ。いろいろな種類の桜を植えてあり、ここもちょっとした桜の名所でもあるのだが、劇場建て替えのため今年の10月で閉場するそうで、この桜も今年で終わりとなりそうだ。
 この国立劇場の景色も見納めとなるのか。
 三宅坂を過ぎると、右手に時計塔が見える。
 去年、あの時計塔の正体を突きとめるために、一帯を散策し、尾崎記念館の「三権分立の時計塔」だと知ったのだった。近くには、「日本水準原点」もある。
 ※ブログ→「国会前庭にある、「日本水準原点」とは?」(2022₋11₋26)
 桜田門を過ぎると、もう日比谷である。ちょうど、日も暮れかかった。
 
 有楽領のJR高架線下の居酒屋風のドイツ料理店で、ソーセージ、ジャーマンポテト、チーズ、ムール貝などを肴にドイツ・ビールを。
 花には酒を……
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