写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

打ち止め

2014年08月06日 | 木工・細工・DIY

 2か月前にDIYで作り、玄関のアプローチに置いている「額縁プランター」は、訪ねてくれた人だけでなく道行く人にも「かわいいプランターですね」と、思いのほか評判がいい。

 広島からやってきた嫁が「お父さん、私にもこんなの作ってください」と最初の注文が入った。ブログを読んだ義妹も「こんなものが欲しかったんですよ。作ってもらえませんか?」と、年甲斐もなく猫なで声で電話してきた。

 年齢にかかわらず、美しい人かどうかにもかかわらず、女性から頼まれると「いや」と言えない性格は、若いころからの私の持病。今まで何度「はい、いいですよ」と安請け合いをやってきたことか。それでも後悔なんかしていない。そのたびに、感謝もされたし、うわべだけの甘い言葉も頂いてきた。

 そんなある日、やはりブログにアップした写真を見て「あの額縁プランターが欲しいのですが……。友人のNさんも欲しいといっています」と、なんと一度に2台もの依頼があった。お陰で何の予定もない私の退屈な時間を、DIYをすることによって楽しくつぶすことが出来る。

 資材を調達し、ガレージの下に電動工具を置いて作業を開始した。数えてみると4台目と5台目を作ることになる。設計図面はすでにあるので、機械的に板をカットしていけばいい。勝手知ったる作業というものは効率がよい。順調に組み立ても進んだが、今までの仕事ぶりより少し雑になっていることに気づく。

 「カントリー雑貨というものは、家具を作っている訳ではないので、精巧ではなくラフに作ってある方がいい」などと、誰からか咎められたわけでもないのに、一人つぶやきながら作り終えた。買い置いているオールドグリーンのペンキを塗り終えて椅子に腰をおろし、時折吹いてくる湿っぽい雨風で汗を乾かす。

 作り終えた2台を眺めていたとき、知り合いの女性が通りかかった。「私、シャドウボックスといって、紙の切り抜きを貼って立体的な絵を作っているんですが、こんな額が欲しいんです」という。ひょっとすると、6台目を又作らされる羽目になりそうだ。