写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

長崎は今日は晴れだった

2012年06月26日 | 旅・スポット・行事

 先週の金曜日のことである。朝起きて見ると、これぞ梅雨の中休みというのだろう、明るい青空であった。思えば今年は色々あってどこにも出かけていない。時計を見ると8時。「よしっ、行ってみよう。長崎へ」。30分もあれば旅支度は終わった。消防車が出動するまでの時間とは言わないが、早いスピードで支度を終えて家を出た。

 ナビを見ると長崎までは400km弱。無手勝流のドライブであるが、その日の宿泊地は雲仙と決めた。なぜ長崎・雲仙なのか? 独身時代に仲間と行ったことがあるが、前々からもう一度行ってみたいと思っていた場所である。見たいポイントはグラバー邸から眺める長崎の街と、湯煙り立つ雲仙地獄・普賢岳そして阿蘇である。

 ひたすら走ること5時間、無時に長崎に着いた。ナビが忠実にグラバー邸に導いてくれる。あんな急斜面に建っていたのかと再認識するほどの傾斜地に建っている。貿易商のグラバーが住んでいた住居で、日本最古・1863年に建築された木造洋風建築だという。趣ある邸の庭のベンチに座り、眼下に広がる長崎の街を堪能する。見物の後は、園内のカフェで水出しコーヒーでひと休みした後、長崎での次の目的地「眼鏡橋」に向かった。

 眼鏡橋とは、中島川という街の真ん中を流れる幅わずか20m足らずの川にかかっている橋である。1634年に造られた日本初の石造りアーチ橋で、国の重要文化財に指定されている。川面に映る2連の姿から「めがね橋」と呼ばれ親しまれてきた。川の両岸には遊歩道が設けられ、きれいに整備してあるが、残念ながら流れる水は清流とはいえない。しかし、橋自体は街に溶け込んでいて、石組の構造もよく分り風情ある石橋ではある。

 注文が一つある。せっかくの文化財だ。構造物の石橋に負けない清流をぜひ取り戻してほしい。これに比べるとわが郷土の錦帯橋が架かる錦川は名実ともに清流だ。流域住民の努力の賜物であろうが、改めて誇らしく感じた。時計を見るともう3時半。長崎を少しかじっただけでその夜の宿・雲仙に向けてハンドルを切った。