写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

24節気・雨水

2019年02月19日 | 季節・自然・植物

 今日19日は24節気の「雨水」で、あたかも天が忖度したかのように早朝から小雨が降っている。空から降るものが雪から雨に変わり、雪が解けて水になるという意味。草木が芽生える頃で、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきた。

 『暦便覧』には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記されている。実際は積雪のピークであり、この時節から寒さも峠を越えて衰退し始め、三寒四温を繰り返しながら春に向かっていく。

 24節気の「雨水」は次の24節気である3月6日の「啓蟄」まで続くが、この期間は72候でさらに3つの候に分かれていて、初候は「土脉潤起」で「つちのしょう うるおいおこる」と読み、冷たい雪が暖かい春の雨に代わり、大地に潤いをあたえる頃という意味。次候は「霞始靆」で「霞初めてたなびく」と読み「霧のため、遠くの山や景色がほのかに現れては消え、山野の情景に趣が加わる頃という意味。

 末候は「草木萠動」で「そうもく めばえいずる」と読み「足もとや庭木の先にほんのりと薄緑に色づく芽が見られる頃」という意味だという。「雨水」の期間は15日間。これが終われば「啓蟄」を迎え本格的な春はもう直ぐとなる。

 そんな雨水の日、今年の冬を振り返ってみた。今年は玄関のアプローチに置いている水瓶に氷が張った日はたったの1日しかない。それも申し訳程度で、厚みは1mmにも及ばない程のものであった。そういえば雪も積もることはなかったが2度降ったような記憶があるばかり。

 1度は、降ったというよりは、舞ってきた風花という方が正しいくらい、注意してみれば雪だったかもしれないというもの。2度目は、確かにこの地方にしては結構激しく雪が降ったが、しばらくして止んだ後、真っ昼間のせいか、あっというまに解けてしまった。

 一昔前のように、10cm以上も積もって雪景色を楽しむという程の雪は降らなくなり、冬の風情も殺風景なものに変わっている。せめて、手元に置いた 暦をめくって都度24節気を確認し、気持ちだけは四季の移り変わりに敏感になっていたいものである。