写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

前決め運賃

2017年08月09日 | 生活・ニュース

 東京都内で、タクシーの目的地と運賃を事前に確定する「前決め運賃」の実証実験が始まった。タクシーを降りるまで、いくらかかるか分からないという利用者の不安を解消するものである。今回の実験対象は迎車料金を含め3千円以上の利用に限られるという。

 タクシー利用者はスマホで「配車アプリ」を開き、行き先を指定すると金額と所要時間が表示され、「配車依頼ボタン」を押すと、数分後に指定場所にタクシーがやってくる。予め金額が決めてあるので、運転手としては渋滞しているときでも金額を気にせず最も早いルートを選べる。利用客としては道を間違えたり、ごまかされたりで遠回りされて金額が跳ね上がったりする不安が解消される。

 私が子供のころは、どこに出かけるにもタクシーに乗るような時代ではなかった。「タクシーは高い乗り物」というイメージが強く、社会人になっても私用でタクシーを利用することは滅多になかった。そんなことからだろうか、時にタクシーを利用するようになってからも、タクシーメーターが気になってしょうがない。

 「あっ、ここで降ろしてください」といった後、車が止まる寸前に「ガチャッ」とメーターが上がったような時には、歯がゆい思いでタクシー代を払っていた。しかし、こんな「前決め」ができるようになると、外の景色を見ながら安心してタクシーに乗っていることができる。

 スマホを使っての長距離高額の利用者だけでなく、流しのタクシーにまでこんなシステムが広げられていけば、近年、利用者が減っているというタクシー業界は、現状からの脱却が大いに期待できそうである。気の小さな利用者としても、大いに期待しているところである。