写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ケヤキからの贈り物

2016年12月27日 | 季節・自然・植物

 28年前、家を新築したとき、東側の道路に面した中庭に細い背丈ほどのケヤキを植えておいた。1年後に転勤して10年後に帰ってくると、直径が15cm、背丈は3mくらいに大きく成長していた。その後も少しずつ大きくなり、今では直径が20cm、枝の先は4mを越えるくらいになっている。

 ケヤキは落葉樹なので、夏の午前中は繁った葉で強い日差しを遮ってくれるが、冬は温かい陽を取り込んでくれて重宝している。秋の終わりにはすっかり葉を落とすので、毎年11月の半ばからは、小規模なものであるがイルミネーションを木に巻き付けて楽しんだりしている。

 そんなケヤキであるが、一つ苦労していることがある。幹の高さは2.5mくらいのところで芯を止めているが、毎年夏場に向けて数え切れないほど沢山の枝が出てきて長く伸び、家の外壁に当たったり、道路にはみ出したりする。都度その枝を高枝バサミで切り落とすのが夏場の仕事になっている。

 そんなことをしながら秋を迎えると美しい紅葉を見せてくれるが、その後は葉を落とし始め、その量は半端ではない。中庭はまさに葉っぱを敷き詰めたようになるが、見て見ぬふりをしていた。しかし、家の外から葉を落としたケヤキを見ると、太い幹の上部から、あたかも竹ぼうきを逆さまにしたように四方八方に長い枝を伸ばしているので見苦しい。

 脚立を伸ばして上がり、電動ジグソーで枝を切り取っていくが、2日がかりでやっとすべてを切りり落とした。これで仕事が終わったわけではない。長いものでは2mくらいもある枝を、太いものはまた電動ジグソーで、細いものは押し切りという昔使った農機具を取り出して短く切っていった。葉っぱは燃えるゴミとして出すために袋詰めにしていく。

 ここまでの作業に3日かかった。さて、この短く切った枝をどうするかである。1か月ばかり中庭に放置しておけば、私が楽しみにしているロケットストーブの貴重な燃料となってくれる。これこそ循環型のエコ生活に貢献してくれようというものだ。面倒なだけだと思っていたケヤキの木が、このところ急に愛おしく見えるようになってきた。