俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「カンバセーションズ」 CONVERSATIONS WITH OTHER WOMEN

2007年03月14日 23時35分17秒 | 時系列でご覧ください
舞台はマンハッタンのクラシカルなホテル。
ウエディングパーティの行われているバンケット・ルームで10年ぶりに再会したかつての恋人同士が、互いにぎこちない会話を重ねるうちにやがて若い頃の感情を甦らせていくさまを、男と女の違いを浮き立たせつつ描く一夜だけの再会物語。

翌朝飛行機に乗るまでといった時間限定の設定、しかもリアルな会話中心の演出とくれば、どうしたって「ビフォア・サンライズ」、「ビフォア・サンセット」を思い出さずにはいられず、結構期待もしていたのだけど、正直言ってなんなんだかなー的居心地の悪さを感じ、今ひとつ物語の中に入り込むことが出来なかった。



「男はズルいロマンチスト、女は罪なリアリスト」というのがこの映画のキャッチコピーらしいけれど、つまるところ
「男はチョロいロマンチスト、女はずるくて罪なリアリスト」といった印象。

ちょっとした会話やしぐさ、そしてディテール描写には少なからず心当たりを覚え、何とも気恥ずかしさを感じる(苦笑)のはさておき、いろいろと話題となっている『デュアル・フレーム』が何とも興ざめ。

「アニーホール」でウディ・アレンもアクセントでやっていた画面を二分割する方法をそんな風に呼ぶそうなんだけど、全編それで押し通すだけの効果があったとは到底思えず、話そのものも人様に見せるほどのものでもなく、だらだらと時が過ぎていったという印象大。



妙に生々しい二人の弛緩した肉体を見てしまったこともあってか、他人のプライベートを覗き見してしまったような、決して爽やかではない苦々しさみたいなものを感じてしまったのだ。
ただ、この夜のことを決して振り返ることのない女に比べ、多分引きずっていくだろう男の情けなさに関しては、それなりに感じ入ってしまったのだけどね。

それにしても男の情けない魂胆を手玉に取りつつ自ら部屋に誘い、思い通りの展開に導き、挙句の果てに(多分、確信犯的に)男の携帯電話にも出てしまうヘレナ・ボナム=カーター 。うー、こわ。であります。



今日の1曲 “ Quelqu'un m'a dit ” : Carla Bruni

エンディングに流れるのがイタリア生まれのフランス育ちの元スーパーモデルであるカーラ・ブルーニが歌うこの曲。
ノラ・ジョーンズのメランコリーとレナード・コーエンの内省、ジョルジュ・ブラッサンスの自由さ、そしてセルジュ・ゲンスブールの孤独といったものがエロティックに、ゆるやかに織り合わされ、淡い色の夢想が描き出されている --- と紹介されているように、全体に漂っているおしゃれ感が確かにこの映画と通底していると言えるかもしれません。うーむ。
そんな彼女の動画はこちら


最新の画像もっと見る

コメントを投稿