復刻版「大洋軒の焼き飯」 ＠ 金沢 柿木畠 「ヒッコリー」

昔々、今は跡形もなくなってしまった『香林坊映画街』にかつて近代化されシネマビルが出来たり、大和デパートが今の場所に移る、さらに以前、香林坊は良い意味でいかがわしさを持った繁華街だった。

映画館にしても、スピルバーグの「激突！」を観た『小劇場』や高校生時代に胸をときめかせて忍び込んだ成人映画専門館の『スカラ座』、あるいは「卒業」と「パリは燃えているか？」の２本立てロードショー（思えばこの頃、地方での封切映画は２本立てがお約束だったのでした）を観た『パリー菊水』、さらには『金沢東映』、『松竹座』、『大映』、『日活』などなど数多くの映画館が立ち並んでいて、加えてそれらを取り囲むようにいろんな飲食店や飲み屋が点在したりといった具合に、香林坊はちゃんとしたダウンタウンというか、本当に繁華街らしい繁華街だったのだ。

そんな中、映画を観た後に立ち寄る食べ物屋さんとして、上海料理の「天竜」、足踏みで麺をこねていた「讃岐うどんの店」と並んでよく通っていたのが知る人ぞ知る「太洋軒」だった。



ご夫婦だけでやっていた（他の２店舗同様）カウンターのみの小さな洋食屋「大洋軒」の看板メニューはちょいと脂ギッシュでかつパラっと仕上がったご飯に目玉焼きがのっかった『焼き飯』。
今ほど外食が盛んでない時代に食べたここんちの焼き飯は、かなり病みつきとなり、本当によく食べたものだった。
（思えば焼き飯の上に目玉焼きという今では普通の組み合わせも、中華の炒飯しか食べたことがなかったものには新鮮だったのであります）



そしてその「大洋軒の焼き飯」が二代目である息子さんの指導のもと柿木畠にある喫茶店「ヒッコリー」にて30年振りに復活したと知って、昨日食べに行ってみた。



正直言って30年前の味がそのまま再現されているのかどうかは、はっきり言って不明ながら、塩と胡椒に多分例のもの（笑）がバランス良く効いたあの時の味であるのは間違いないと思う。
ただ、昨日の夜、最後の世代として通っていたというドクターＦくんとも話していたのだけど、あの狭いカウンターでフウフウしながらかき込んで食べる独特なジャンクさが味のスパイスとなっていたわけで、今にして思うに店舗なり、ご夫婦の人柄なりもまた大きな味付けだったんだろうなあ。



とまあ、ついそんなないものねだりをしてしまったりもするのだけど、味そのものは途中で卵の黄身をつぶして味の変化を楽しんだりして普通にちゃんと美味しく、ボリュームも結構あるので、ノスタルジックに食べるかどうかはその人次第、とりあえず機会があれば是非！　なのであります。






ヒッコリー
金沢市片町1-1-11
076-221-0946
10:00～21:00（L.O.）　
日曜定休

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今日の１曲　“ When will see you again ” : The Three Degrees 　

タイトルもちょうど良いかなということで、のちにいろんな映画に使われることとなった、そんな頃に流行っていたスリーディグリーズのこの曲を。