唐突ながらだけど、プライベートで、来月のとか、来週のとかといった、先々の約束するのが、行事的なものを除けば、どちらかと言うとあまり得意じゃなかったりする。
そんな中、日頃お世話になっているKさんから先日、前回の 「 酒屋 彌三郎 」 に引き続いて、当日の、しかも夕方になって突然 「 都合が付きそうだったら? 」 と、お誘いを受け、こういったのは大歓迎とばかり、長年 「 杉の井 」 で料理長をなさっていた方が新たに出した店へと、喜んでお付き合いさせてもらったのでありました。
そして当然のことながらご主人とは旧知の仲なので、この日はすべてKさんにおまかせで、ことは進行する中、最初に熱いお茶が出てきて思わずほっと一息。
蒸し暑い今の時期だからこそ、この一杯が身も心も満たしてくれて、心地良いスタート。
素材を生かすべくKさんいうところの限りなく “ 引き算 ” され、ぎりぎりの味付けが印象的だった 「 海ソーメン 」。
続いて出てきた和食で出会うことは珍しい 「 アスパラソバージュ 」 もまた、何とも淡く繊細な味で、違和感なく楽しめました。
そしてこれまた工夫を感じさせてくれた造りに使われたプレート状のヒマラヤ岩塩。
鯛と白カレイといった白身魚との相性もぴったりで、滲み伝わる塩味だけで充分で醤油いらずで味わえます。
さらに京都で30年、杉の井の料理長として9年といった料理人としての、そんな長い経験があってこそと思わせてくれる滋味あふれる 「 万寿貝の吉野仕立て 」。
あっさりしながら奥行きを感じさせる味はさすがです。
そして箸休め的に登場した豆もやしと見紛う千葉産の大粒のピーナッツ。
こんな形で落花生を見たのは初めてという物珍しさに加え、味自体も美味しくてちょっとびっくりでした。
いよいよ金沢・犀川でも16日から解禁され、シーズン到来となる 「 鮎の塩焼き 」 がこの日のメインディッシュ。
どこのものかは聞きそびれたものの、丁寧に処理が施された天然鮎の本来の旨さを存分に楽しめて大満足。
ピーナッツ同様、こんなのもあるんだと思わず不明を恥じてしまった 「 搾菜の塩漬け 」。
中華の味付けされた搾菜とは全く違う別物の美味しさであります。
同じく軽いおつまみ的に出てきた 「 燻りがっこのクリームチーズのせ 」
そして見ただけで美味しさが伝わってくる鼈甲餡がかかった 「 賀茂茄子のウニのせ 」
その意外な組み合わせも、ちゃんと味にまとまりがあり、すこぶる旨し! です。
コウイカと真河豚の白子をそれぞれ使った甘海老の出汁が効いたアヒージョ2種。
これもこれで美味しいけれど、ずっと日本酒を飲み続けていたこともあって、いささか違和感が…。
かつてかの村松友視氏に 「 料亭の膳にいわしのおもしろさ 」 という寄稿文を書かしめた氷見のマイワシを干した 「 ひいわし 」。
これだけで三膳はいけそうな旨さw
そして土鍋で頃合いを見ながら炊かれたご飯は、ローマ法王に献上したことでも知られる羽咋の神子原米が使われていて、このあたりのこだわりもまた今回の食事全体に通じるものを感じさせてくれたのでした。
というわけで、最近さらに加速度的に和食の店が増えるこの街で、新規開店する大変さは覚悟の上、その卓越した料理の腕前をどのように反映させてくれるのか、大いに楽しみな店です。
ちなみに昼、夜のみならず、完全予約制ながら朝も営業するらしいので、そのあたりも含めて機会があれば是非!
菜喰 安心院(さいじき あじむ)
金沢市安江町4 東別院門前
076-231-8123
営業時間や料金などの詳細はホームページを見てください
http://kanazawa-ajimu.com/
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