俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

目黒考二の中年授業

2006年08月16日 23時15分15秒 | 時系列でご覧ください
目黒 考二(めぐろ こうじ、1946年10月9日 - )は、日本の小説家・評論家。2001年まで本の雑誌の元発行人を務めていた。釜焚きの達人でもある。読書に関する本を数冊上梓している。明治大学文学部卒業。
極度の活字中毒で、その生態は椎名誠著の『もだえ苦しむ活字中毒者 地獄の味噌蔵』(本の雑誌社、角川文庫刊)で明かされている。斯の書によれば、「連続性視覚刺激過多抑制欠乏症」であるとされる。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


それにしてもウィキペディアに紹介されちゃう目黒さんは凄いというか、目黒さんを紹介してしまうウィキペディアって凄いというか、まあそんなことはどうでもいいとして、昔々から椎名誠の陰に隠れ大人していた目黒さんの文章が好きだった。

そして「 WEB 本の雑誌」の中で『目黒孝二の中年授業』なるコラムを時々読むたびに、取り上げる本のチョイスも半分くらい重なっていることもあって、なるほどなあと思いが伝わってくることがどんどん多くなってきている。

元々このコラム、第1回目のときの文章を引用すると

小説の評価とはいっさい関係ない話を書く。ミステリー、時代小説、恋愛小説、青春小説など、私が読むのはエンターテインメントが中心だが、それがどんな小説であっても、評価とは関係なく、物語のあちこちで立ち止まることが少なくない。たとえば複数の愛人を持つ主人公が、そのうちの一人と部屋で会っているときに、もう一人の愛人が訪ねてきたりすると、どうしてこの女は他人の部屋を訪ねるときに連絡してから来ようとしないのかと怒り出すシーンがあったとする。具体的な書名はあえて書かないが、本当にこういうシーンがあるのだ。愛人同士がかち合うのを心配するより前に、訪ねてきた愛人に、こいつは自分勝手なやつだと怒るのである。こういう箇所にさしかかると、私は途端に「お前、それはないだろ」と言いたくなる。ようするに、テレビを見ながら、ぶつぶつ言うのと同じですね。私はテレビをほとんど見ないから、テレビの前では呟かないが、その代わりに本を読みながら呟いているのである。いや、実際に言葉に出すわけではないが、思わず呟きたくなるのだ。

こんな文章を読むだけでその人となりが充分伝わってくるけれど、そうした本筋から離れたところに引っかかり、ああでもないこうでもないと独りごち、青春時代のちょっといい話を思い出したり、お子さんや奥さんのことを考えてみたりするというのが、毎回の基本的なスタンス。

そしてこれまた引用だけど

 この連載が『新・中年授業』と題して単行本になり、その書評が某誌に載った。大変ありがたいことである。小出版社の場合は宣伝にかける費用を捻出できないので、こうして紹介していただけると嬉しい。ところがその紹介の中に、次の一節があったことが気になる。
「なぜか、その多くは濡れ場であるというのは気になるが、これが中年の最大の関心事かと思えば妙に納得もする」
 ようするに、私が本を読んで立ち止まるのは、濡れ場が多いとの指摘である。そういう意識がなかったので、本当かよと驚いてしまった。そうかなあ、多いかなあ。


と、自分で書きながらデイヴィッド・ハンドラー『ブルー・ブラッド』の紹介(http://www.webdokusho.com/rensai/meguro_c/cyunen84.htm)の中でも延々と濡れ場を語る可笑しさ。
好きだなあ。
とにかく中年の秘めた(ってことはないか)思いに興味がある人には、是非オススメのコラムであります。

それにしても吉田修一の『初恋温泉』を取り上げた最新の第87回目のコラム(http://www.webdokusho.com/rensai/meguro_c/cyunen87.htm)、濡れ場は決して出てこないけれど(笑)、相変わらず物事の本質をちゃんと語っている本当に上手な文章で、こんな文章が書けたらどんなに楽しいかとついつい感心させられました。
中年って本当はどういうことなのかが見事に言い当ててあって、いいんだなー、これが。機会があったら是非。



今日の1曲 “ We're All Alone ” : Boz Scaggs

「本の雑誌」が創刊された76年、ちょうどその頃もてはやされていた音楽に「A.O.R.(Adult Oriented Rock)」というジャンルがありました。
そんなくくりの中で、最もヒットし「AOR史を築いた記念碑的作品」とまで言われたアルバムそれがこの76年リリースのボズ・スキャッグスのアルバム“ Silk Degrees ”。
ロックをダメにするとか、軟弱すぎるとか言いつつ、当時よく聴いたものです。ちなみにこのアルバムに収められている知る人ぞ知る名曲「ハーバーライト」から実際に同じ名前の飲み屋をやり始めた友達もいましたっけ。
そんなアルバムの中から数多くのミュージシャンがカヴァーしているこの曲を。
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