ハイみなさん、テキスト37ページを開いてください。今日はディープインパクトを使って、ダービー馬や桜花賞馬をつくってみたいと思います。
あのね~、あんまり難しく考えなくていいの。簡単にいいますとね、Never BendとBuckpasserを持つスプリンターかマイラーと配合してください。それでディープよりマッチョな体つきになったら、桜花賞でもオークスでもバーンと弾けちゃいますよ~。
「…先生、それジェンティルドンナとマルセリーナそのまんまやないですか…」
あらら失礼ねえ~、ではイマダくん、37ページの頭から大きな声で読んでちょうだい
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3歳春に大レースを勝ちきったディープインパクト産駒には、以下のような配合的な共通点があります
1.母や母父がマイラー・スプリンターである
ディープブリランテの母ラヴアンドバブルズはクロエ賞(仏G3・芝1800m)勝ち馬で、その父Loup Sauvageはイスパーン賞(仏G1・芝1850m)勝ち馬
ジェンティルドンナの母ドナブリーニはチェヴァリーパークS(英G1・芝6F)勝ち馬で、その父BertoliniはナンソープS(英G1・芝5F)2着のスプリンター
リアルインパクトの母トキオリアリティーは1400m以下で3勝、その父Meadowlakeはアーリントンワシントンフューテュリティ(米G1・ダ6.5F)勝ち馬
マルセリーナの母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1・芝1600m)勝ち馬で、その父MarjuはセントジェイムズパレスS(英G1・芝8F)勝ち馬
2.母系にLa Troienne的パワーが強い
ジェンティルドンナ…Never Bend,Busanda,ジュニアス
ディープブリランテ…Never Bend,Buckpasser
リアルインパクト…Bimelech
マルセリーナ…ラストタイクーン経由でNever BendとBuckpasser
ディープブリランテの母や母父はマイラーというより1800mタイプというべきだし(しかしLoup Sauvageは仏2000ギニー2着がある)、リアルインパクトの母系にはLa Troienneは一本しかないですが(しかしこの母系にはLa Troienneに匹敵するぐらいの北米パワー血脈が豊富)、まあザックリまとめると、「3歳春に大レースを勝ったディープインパクト産駒は、Never BendとBuckpasserを通じてLa Troienne的パワーを受け、マイラーとして活躍した母から生まれており、牡なら500キロ、牝でも450キロは超える馬格を誇る」とはいえるでしょう
このことはオークスやダービーの後にも書いたのですが、「父同様の薄手の体つきでパワーよりもしなやかさと無駄のなさと俊敏さで走る馬が多いディープ産駒が、3歳春にある程度完成の域に達して大レースを勝ちきるために必要なものはまず筋力であり、筋力を伝える母から筋肉を受け継いだもん勝ち、という面はあるのかもしれない」ということではないかと
そして今のところ、つまりリアルインパクトとマルセリーナの二例だけでいうとですが、この手のLa Troienne的筋肉増幅配合は3歳秋以降、それまで以上のパフォーマンスは見せていない…という見方も可能かと
もちろんリアルインパクトの毎日王冠とか、マルセリーナのヴィクトリアマイルとか、ベスト条件で力を出しきったときはさすがG1馬といえるパフォーマンスは見せているのですが、それでも「3歳春の時点と比較して更に強くなった」といえるほどではないでしょう
一方でグルヴェイグ、トーセンレーヴ、スマートロビン、ダノンシャークといった、古馬になって一皮むけてきたディープ産駒は、母がナスキロ的柔らか体質を伝えたり、母が重厚な中長距離型だったりというケースが目立ちます
つまりディープ産駒の場合、ナスキロ柔さやHyperion的スタミナを重視した配合をすると、3歳春の時点では柔らかすぎて緩すぎて、まだ未完成ということが多いのではないかと
秋のトライアルにあたっては、このあたりも頭の隅に置いておくべきかなあ…とも
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「先生!ファイナルフォームができました!」
「まあいいのができましたね~♪ファイナスデスティネーションはNever Bend≒Bold Reason5×3でニュージーランドの1000ギニー勝ち馬ですね。ラストタイクーンを引くパワーマイラーは鉄板ですよ~。それにしても530キロとは大きく出たわねえ」
「先生、私もラストタイクーン使ったんですが、ターゲットマシンができちゃいました…」
「あらあ~これはなんだかグニャグニャしてるわねえ…ディープにMachiavellianはヴィルシーナもそうだけど、柔らかすぎてバーンと弾けないところがあるのよ。あとこの母はMill Reefのクロスですね、これじゃ柔らかくなりすぎです」
※今週の競馬総合チャンネル「血統クリニック」はローズSです
第73回オークス回顧~ムキムキのパワー加速で2400mも圧勝
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/30aa78c0325bab791e1561f49419319b
ディープのLyphardクロスにおいて暗躍する「Northern Dancer+Fair Trial+Never Bend」
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/e39b87d84d22fa9a751400148d2a07a0
皐月賞でも大威張りのBurghclereのニアリークロス
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/08464f0c05e105e5bf092343503ee31c
古馬になるに従い、成長力に富む馬はどんどんキャリアを積んで強くなる。
…のでしょうが、確かにマルセリーナやリアルインパクトは3歳春のベストパフォーマンスを超えるレースを未だにしていません。そうか、さすがにシマントガワ先生、ええとこ見てはるわあ。
ディープとハイペリオンやラトロワンヌは、付き合い始めて熱く恋が燃え上がる春を過ぎてしまうと、秋風で恋が冷めるわけですね。違う違う。
でナスキロちゃんに取って替わられる、と。
この視点で見ていくと、秋競馬は一層面白くなりそうですね。
ローズS、血統クリニック楽しみです。是非ラスヴェンチュラスの熱いコメントが伺いたいです。
母の適距離?やBuckpasser経由のLa Troienneとか今エントリの条件に合ってるかも、と思ったのですが。
母のMiswakiの強いクロスとかが影響したんですかねぇ?
そんなことは横に置いておいて、わかりやすいご説明ありがとうございます。
母の戦績から(1200mカブール賞勝ち)スピードは固定されてると過程しても、産駒はどの血がONになってるかでかなり違うタイプが出るかもしれませんね。
Miswaki以外の部分は、です。