東京11RNHKマイルC
◎2.モリアーナ
○18.ダノンタッチダウン
▲15.カルロヴェローチェ
△6.エエヤン
×3.ウンブライル
×9.ナヴォーナ
×10.オオバンブルマイ
日曜の東京は雨予報だが、NHKマイルはだいたい高速馬場で行われることが多く、2000年以降で馬場が渋ったのはディープスカイが勝った08年(稍)とピンクカメオが勝った07年(稍)だけで、ともに差し追い込みのケイバになっている。今年のNHKマイル路線は朝日杯、ファルコン、NZT、アーリントンCといずれも前傾ラップで、そこで先行した馬たちが集ったとなると、ここもHペースと読むのがふつうだろう。
◎はモリアーナ。サンデーサイレンス4×3など父母相似配合で、ハビタット5×5の影響も強いしなやかなマイラー。ビュンと斬れる脚はここでも屈指で、阪神JFでも◎にしたし、JFや桜花賞の予想コメントでも書いたが、3歳牝で「ハッとした脚」を使ったのはリバティアイランドとシンリョクカとモリアーナだけだ。エンジンのフケが良すぎるので脚の使いどころが難しいが、ノリの手腕に期待した。
ダノンタッチダウンは東京マイルなら稍重ぐらいでも頑張れそうだが、まだ緩くて未完成なのもたしか。カルロヴェローチェは1400でもユタカが押さえるのに苦労していて、それぐらいエンジンはすごい。ただレーンのテン乗りでまた引っかかる可能性も。エエヤンはシルバーステート産駒だから中山向きという気はするが、東京での大敗は1800でガツンと引っかかったもので、直飛でわりときれいにストライドは伸びる。東京でも高性能かも。オオバンブルマイはディープ×アンブライドルズソング×ストームキャットの黄金配合で大箱向きのマイラーだが、ここに入るともう少し馬体に迫力がほしい。
----------
POGとクラブの原稿に追われていて回顧が遅れました…「血統屋」のPOG書籍は昨年と同じ仕様で、ボチボチ発売になると思いますがまた告知します
ではいつものようにNETKEIBAの血統解説から1~3着馬を
シャンパンカラー
クイーンメアリーS(英G2・芝5F)勝ちCeiling Kittyの甥でキーダイヤのイトコ。牝祖バルドウィナはペネロープ賞(仏G3・芝2100m)勝ち馬で、産駒にジュエラーやワンカラットが、孫にワントゥワンやアラタがいる。父ドゥラメンテは二冠馬でタイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランドなどを輩出。母父Reckless AbandonがミドルパークS(英G1・芝6F)に勝ったDanzig系なので、どちらかといえば中山で立ち回る脚質だろう。(距離○スピード○底力○コース○)
ウンブライル
ステルヴィオとステルナティーアの全妹で、ヒシゲッコウやグランパラディーゾの3/4妹で、クランエンブレムの姪。母ラルケットはJRA4勝。牝祖スイートコンコルドはシンボリルドルフの全姉。ロードカナロア×ファルブラヴはミッキーワイルドと同じでNureyev≒Fairy Kingの3/4同血クロス5×3になる。クイーンCは食い足りない内容だったが、NZTはブリンカーが効いたか直線ひと脚使った。全兄に似たナスペリオン的ストライドだし、あれなら東京でも。(距離◎スピード○底力◎コース◎)
オオバンブルマイ
母ピンクガーベラはブランボヌールやエントシャイデンの全きょうだい。母母ルシュクルはファルコンS3着でビアンフェの母。牝祖アジアンミーティアはUnbridled's Songグの全妹でダコールの母。父ディスクリートキャットはエアハリファやコンバスチョンを出すStorm Cat系で、つまり本馬も「ディープインパクト×Storm Cat×Unbridled's Song」の黄金配合。いかにも大箱向きのマイラーで、ここも舞台としては合っている。(距離◎スピード○底力○コース◎)
昨年のNHKマイルを1.32.4で走破し3着だったカワキタレブリーが9R湘南特別を1.33.6で勝ち、そこから更に雨は降りつづいて、今年のNHKマイルCは勝ち時計1.33.8、マイルで時計一つ半はかかる稍重馬場でしたかね
そんな馬場で前後半のラップが46.3-47.5、1~9着まで4角7番手以降の馬が占める完全な前崩れになり、前崩れになったら差してくるだろうなという馬がだいたい差してきたんですが、シャンパンカラーがこの差しケイバを制するとは全く考えてなかったし、そもそもシャンパンカラーが4角13番手から差すとも考えてなかったです(^ ^;)
ウンブライルは爪が小さくて兄たちも道悪はこなしたし、ステルヴィオより脚長で東京向きだと書いてきましたが、武史が大外に持ち出して追うとグイグイ脚を伸ばしてあと一完歩あればという2着
新馬を勝った時点ではステルヴィオよりいい馬に見えたほどで、そこから思わぬ足踏みがつづいてブリンカーを着けたNZTから復調したというのは、やっぱり気性面の問題が大きかったということですかね
ロードカナロア×ラルケット(ステルヴィオ、ウンブライル、ステルナティーア)もルーラーシップ×ラルケット(ヒシゲッコウ、グランパラディーゾ)もハズレなしで、ラルケットが優秀な繁殖なのはもちろんですが、Nureyev≒Fairy Kingの3/4同血クロスの威力を毎年噛み締めさせられます(ちなみにラルケットの2歳はレイデオロの牡、1歳はサートゥルナーリアの牡、当歳はリオンディーズ)
オオバンブルマイは「ディープ×Unbridled's Song×Storm Cat」の黄金配合で、大箱をストライドで差すマイラーに出たのは狙いどおりといえるのですが、マイルで大きいところを勝ちきるにはもう少し馬格が欲しいところで、そこは420キロのカワキタレブリー(ドレフォン×ディープインパクト)の3着と重なるところでもあり、今後の成長に期待ですね
ダノンタッチダウンは結果的にはワンテンポ仕掛けが早かったというべきですが、皐月賞よりはずいぶん馬が良くなっていたとはいえ相変わらず緩さが目立ち、サトノアラジンが3歳時に中距離を走ってたようなイメージで、マイラーとしての完成度はまだまだ低いというべきで、ゴール前はもう一杯でした
モリアーナは展開はハマっていたしノリがユタカの後ろから追い出したんですが、繋ぎが長くてビョンビョン弾む系なので、ちょっと馬場が柔らかくなりすぎてしまったですかね…NZTのシャンパンカラーやウンブライルとの着差が更に開いてしまったのはそういうことかと
エエヤンは誰が乗っても引っかかる馬ですが、このHペースでも前半うなってしまったし、前に馬を置いてなだめていたら直線前が開かずで、NZT組のワンツーやったのに不完全燃焼に終わってしまいましたが、でもいつも言うようにG1でかかる馬は、G1のペースでもかかれるぐらいのエンジンを搭載しているということでもある
シャンパンカラーの母メモリアルライフは英国産で、日本に輸入されたものの未出走で繁殖入り、初仔のスリーエクセレント(父ヴィクトワールピサ)、2番仔のシャンパンカラーとも青山洋一オーナーの所有です
青山氏はバルドウィナの仔ジュエラー、ワンカラット、ワントゥワンなどのオーナーとして知られ、メモリアルライフの兄ワールドウォッチや姉ヴァンゴーゴーの仔(キーダイヤなど)も所有されていて牝系への熱の入れようがわかりますが、シャンパンカラー(馬名由来:最高級のダイヤモンド)とダイヤの勝負服がゴール前で輝いた23年マイルCでした
レース後にくりがしらさんが「メモリアルライフがもつWiener Wald≒Tale of the Cat4×2が面白い」とつぶやいていて、メテオさんから「この馬場でもStorm Catのワンツースリーかいな」、りろんちさんから「Cadmus≒Mixed Marriageみたいなもんかな」とラインが入ってましたが、メモリアルライフはChapel of Dreams≒Storm Catの3/4同血クロス5×3、ウンブライルはNureyev≒Fairy Kingの5×3
Northern DancerもHail to ReasonもMr.ProspectorもNasrullahも何ももたないアウトサイダー血脈バルドウィナをまさに1/4異系とし、そこにNorthern Dancer3×5のTale of the Cat、Northern Dancer3・6×5のReckless Abandonと短距離で活躍したスピード種牡馬を配して、自身はWiener Wald≒Tale of the Cat4×2で締めるという、こうしてみるとメモリアルライフはなかなかの好配合ですな
とはいえ、シャンパンカラーのベコニア賞の勝ち方は力馬っぽくて、後にマイルCを勝つ馬になるとはとても思えなかったのですが(^ ^;)、出遅れて差しに回ったのは結果オーライ、加えて馬場が渋ったのがよかったとみるべきですかね
それにしても種牡馬ドゥラメンテの打点の高さには驚かされるばかりで、泳ぎながら片手で放り込んでしまう大谷の比喩をよく三輪さんとするんですが、自分のゾーンにボールがきたらグシャッと詰まった音がしてもスタンドまで届いてしまうというね、そういう怖さがドゥラメンテ産駒にはあります
20年近くダイヤを探し続けた青山オーナーの物語でしたか。04年NHKマイルC2番人気7着シーキングザダイヤ(1着は1番人気キングカメハメハ)。
小さな体で2つも重賞を勝っているのは高いセンスの現れで、ああそうかコントレイル配合かと気付かされたのは最近の話で、今後も気にかけていきたい馬です。