回顧はこれから書きます~
シャンパーニュ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104477/
名牝ファビラスラフインの孫で、ギュスターヴクライの甥でブレイズアトレイルのイトコで、Fabulous Dancer4×3、Kaldoun3×4という大胆なクロスを持つ父母相似配合でもある。梅花賞の追い比べで惜敗した後にバルジューが「怖がって馬の間に入っていかない」とコメントしていたが、チチカス産駒らしいAureole魂も受け継いだスタミナ寄りステイヤー寄りの中距離馬。ベストパフォは逃げてサトノアラジンを寄せつけなかったゆきやなぎ賞で、阿寒湖ではハナは切れなかったが少頭数で揉まれず外々を捲るというセカンドベストな競馬を岩田が選択し、あの形でもギリギリ勝ちきったのは収穫だった。TVhも同じパターンで外から捲りにかかったが、2000mで淀みのないペースでは追走に余裕がなく捲りきれずに4角一杯。やっぱり逃げるにしても捲るにしても2400mぐらいで道中息を入れたいところで、この相手ならなおのことハナを切ってゆきやなぎの再現を狙いたい。
ワンアンドオンリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105072/
ノーリーズンやグレイトジャーニーの近親で、母母サンタムールはGreen Desertと3/4同血で、その母アンブロジンはトワイニングと3/4同血。Courtly Deeにさかのぼるおなじみの名牝系だ。母がNorthern Dancer3×5で自身はHalo3×4、母系にDanzigとミスタープロスペクターとSpecialと「War AdmiralとLa Troienne」が入るのでヌーヴォレコルトとかなり似た配合パターンになっていて、ようするにNorthern DancerやHalo~Hail to Reasonや「HyperionとNasrullahとFair Trial」の組み合わせや「War AdmiralとLa Troienne」の組み合わせのクロスなどをできるrだけ近い世代に生じさせることで、晩成型の多いハーツクライ産駒を3歳春に完成に近づけようとする配合といえる。
母はタイキシャトル×Danzigらしいマイラーだったが、この馬は父の若いころに似た細身で長手の体型。ダービーはノリが勝負を賭けて引っかかるのを覚悟で出していって、実際かかり気味ではあったがでも前で受けたぶんと距離適性のぶん、そして東京で伸び伸びとストライドを伸ばして走れたぶん、イスラボニータについに雪辱したというレースだった。先週のヌーヴォレコルトは腰でグッと踏ん張ってゲートをポンと出て好位に付けて楽々と押し切ったが、本馬は立ち姿や坂路の動きだけみると春から大きく変わった印象はなく、相変わらず細身で後駆にもう少し肉がついてきたら…という体つきではある。外回りの中距離戦はベストだが、今回は菊を見据えるのならばなおのこと、ダービーのように出してくることはないだろう。もちろん差しに回って味がない馬ではないのだが、ついに先行してダービーを勝ちきった後の休み明けのトライアル、そこでジックリ差しに回るとすると、ダービー馬の格に全幅の信頼を置ける状況でもないのでは。
ウインフルブルーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105223/
エルセンタウロのスタミナが入る牝系で、牝祖シャダイアグリーからはサンライズジェガー、スプリングドリュー、クレバートウショウなどそれらしい晩成型やスタミナ派が出ている。そこにノーザンテースト(Lady Angela3×2)、サクラユタカオー(Nasrullah3×4)が配された母ハナノメガミも少しずつジワジワと力をつけていって5歳の秋には準オープンの上位常連に定着、引退間際のターコイズS(オープン,中山芝1800m)では軽量を活かして好位流れ込んで4着と健闘した。そこにサンデーサイレンス×マルゼンスキーのスペシャルウィークが配された本馬はNorthern Dancer5×4。配合的に特に強調すべきところはないが、日本の芝中距離で信用できる血が血統表の2代目3代目にズラリと並ぶ。
母をNijinsky的に胴長にしたような体型だからマイラーではなく中距離馬だと書いてきたが、一方で内回りより外回り向きだろうとも書いてきた。皐月賞は大外から敢然とハナへ、向正で一息入れると、後半5Fを12.1-12.0-11.6-11.7-12.0とジワジワ加速していくロングスパートで、あそこでタメすぎなかったのはこの馬の柔らかく持続力あるストライドを理解していた大知の好プレーというべきだろう。決して4角の加速で突き放したという競馬ではなく、やはり本来は外回りベターの中距離馬という見立てでいいのではないかと思う。シンザン記念でしなりながらストライドを伸ばしてミッキーアイルに迫った脚、あれはスローの阪神外2400mでも再現可能だろう。一週前追いは頼りなかったが、今週の坂路での動きはまずまずに見えた。
サトノアラジン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104063/
ラキシスの全弟で、母マジックストームはモンマスBCオークス(米G2・ダ9F)勝ち馬。ディープ×Storm Catはキズナやアユサンやヒラボクディープなどと同じ。この配合は母母のところでパワーを補わないと(Eight Thirtyのニアリークロスがベスト)Sir Gaylord≒Secretariatのクロスの柔さが勝ちすぎて、いわゆる“緩い”馬、動きが緩慢で力強さに欠けるタイプに出やすいのだが、本馬も春先はそんなところはあった。とはいえ母母父Fappianoはミスプロ系でもパワーに定評がある血だし、母はStorm Bird≒Nijinsky2×3の北米ダ重賞勝ち馬だから母方そのものはパワー型と言ってよく、全姉がそうであったように本馬も少しずつつくべきところに肉がついてパワーアップをはかってきた印象。渋った馬場の小倉でバッドボーイをエッチラオッチラ捲ってねじ伏せるなんて芸当は、春のこの馬では難しかったはずで、もうラキシスと同格扱いでもいいのではないか。Nijinskyの影響も強い長手の体型で、阪神外回りならもっとレースは楽だ。
ハギノハイブリッド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104344/
サイレントメロディの甥で、母母サイレントハピネスはローズS勝ち馬で、その全妹に阪神JFのスティンガーがいる。タニノギムレット×トニービンはクリスタルパレスとKalamounを通じる「Grey SovereignとPrince Bio」の組み合わせのクロスになるが、本馬以外に目立った活躍馬は出ていない。牝祖Real DelightはBull Lea×Blue LarkspurだからRobertoの母母Rareleaと3/4同血で、本馬はHail to Reason4×5とRarelea≒Real Delight5×7によりRoberto血脈を増幅していて(だから飛節のつくりなどはRoberto的Bull Lea的)、近親の菊2着フローテーション(スペシャルウィーク×リアルシャダイ×レガシーオブストレングス)や同父の京都新聞杯勝ち馬クレスコグランド(タニノギムレット×サンデーサイレンス)とイメージが重なるようなRobertoっぽいステイヤーにみえる。京都新聞杯も鋭く斬れたというよりは持続力でジワジワ抜け出してきたという勝ち方で、菊花賞で狙ってみたくなる馬だ(ここまでダービーとほぼ同文)。ダービーは押せ押せローテで疲れもあったようだが、リフレッシュしたここは2200m以上[2.1.0.1](着外はダービー)の手堅さを評価して連下に。
ヴォルシェーブ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103789/
リルダヴァルの3/4弟で、母母はディープインパクトなどを産んだ名繁殖ウインドインハーヘア。「ネオユニヴァース×ウインドインハーヘア牝系」の組み合わせは、Halo≒Sir Ivorのニアリークロスと同時に、ポインテッドパスとBurghclereのところでCrepelloやHyperionやFair TrialやWild Riskなど重厚な欧血をクロスする。この組み合わせには他にトーセンソレイユ=モンドシャルナ姉弟などがいるが、どちらも馬格のなさに泣いている現状(ネオユニらしく捲るにはある程度の馬格が必要)と比較すると、本馬は母父にサンダーガルチのパワーが入ることと母がNorthern Dancerのクロスを持つことで、上記2頭より馬格に恵まれたのは大きい。
とはいえあまり父には似ておらず、リルダヴァルよりも胴も脚も長くて「サンデー×ミスプロ」の組み合わせ特有のしなやかさもあって、東京の直線で追って斬れるところはネオユニ産駒らしくない。ただしネオユニ×ウインドインハーヘアで粘りと機動力で走りたいのに東京でも斬れてしまうというのは、オープンまでくるとどっちつかずな脚質になってしまわないか…という見立てもできる(このあたりはサウンズオブオースと通じるものもある)。セントポーリア勝ちはクラリティシチーが直線追えずに脚を余したことを考慮すれば、現状はG3なら勝ち負けの地力、という評価でいいのでは。
キネオペガサス
http://db.netkeiba.com/horse/2011104433/
ベルシャザールの半弟で、母マルカキャンディは府中牝馬S勝ち。その母ジーナロマンティカはなかなか凝った配合をしていて、母WayaはLocust Time≒Blue Denim2×3(Balladier≒Blue LarkspurとJudy o'Grady)、父セクレトはNearco3×5・5、セクレトの母Betty's SecretがPrincequillo3×3にNasrullah≒Royal Charger3×3、ジーナロマンティカ自身はPrincequillo5・5×4を持つ。このように代々活力ある配合をしていて、そこにサンデーサイレンスをもってきて緩和したのがマルカキャンディで、そこにNorthern Dancer4×4・6のキングカメハメハをもってきたのがベルシャザール。ベルシャザール自身も面白いクロスを複数持っているが、緊張→緩和→緊張の手順とメリハリが絶妙な配合なのだ。
キネオペガサスの場合は父がMill Reef≒Hopespringseternal≒Riverman4・4×4のコンデュイットだから、ベルシャザールほどではないが緊張→緩和→緊張のメリハリはきいている。わりとサンデーが強い体型だが、DarshaanとIrish Riverとセクレトのナスキロ柔さが出た体質で、プリンシパルでは直線追い出されてからの走りがよくベルキャニオンに食い下がった。あれをみるとデビュー2戦目からずっと中山を使われてきたが東京のほうが合っているように思えるし、また使われつつ馬も良くなっていたのだろう。阪神外2400mもいい条件だと思うが、ベルキャニオンに着差以上の完敗となると、ここで勝ち負けまで持ち込むには夏の間の著しい成長が必要。
サウンズオブアース
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104377/
ブルーグラスS(米G1・AW9F)のDominicanの半弟。母ファーストバイオリンはChris Evertにさかのぼる名牝系で、Dixieland Band×Secretariat×Hoist the Flagと母系に入っていい種牡馬が代々配されており、繁殖牝馬としてはなかなか期待大の血脈構成をしている。ネオユニ×Dixieland Bandだからパワーと粘りで中山内回りを捲りたい血統で、ネオユニ産駒らしい曲飛節の持ち主でもあるが、一方でSecretariatからナスキロ柔い体質を受け継いだのでパワー粘着型に特化できず、ミカエルビスティーのような何とも微妙なストライドで差してくる。このパワーにも斬れにも特化しきれないキャラの曖昧さが、阪神内2000mでも京都外2200mでも相手ナリに好走するが少し詰めが甘い、という成績とリンクしているというべきだろう。ここも大崩れは考えにくいが馬券圏内まではどうか。
トーホウジャッカル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100482/
トーホウアマポーラの3/4弟で、Quiet AmericanやFappianoやオジジアンなどが出るファミリー。母父Unbridled's SongはFappianoの父系なので、母トーホウガイアはCequillo6×4の牝馬クロスを持つ。姉はフジキセキのIn Reality的な側面が強く出たスプリンターだが、こちらはフサイチパンドラをサンデー×ミスプロ的に柔緩慢にしたような中距離馬。長手の体型と緩慢なストライドは外回り向きだが、良馬場でオープン馬を相手にするとちょっと鋭さが足りない印象も。
ダンディーズムーン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103559/
母アドマイヤダンサーはアロンダイトやクリソプレーズ(クリソライトやマリアライトなどの母)の全姉にあたり、Bold Reason≒Never Bend5×3、Ribot7×3のクロス。アドマイヤムーンにパワーとスタミナを補った配合といえるが、胴長の体型や重厚な走りはフォーティナイナー系というよりはサドラー系と言ったほうがシックリくる。同条件のアザレア賞がなかなかしぶとい勝ち方で、あのしぶとさを活かすにはもっと積極的に運んだほうがいいだろう。ただスピード的にある程度無理して出していかないとこの距離でも先行するのは難しそうで、そこまで思い切った騎乗がテン乗りの康太にできるかとなると印は回らない。
ペンタトニック
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104056/
ポップロックやスピードリッパーの半弟で父がジャングルポケット。ジャンポケ×サンデーは母か母母にスピードの血の強いクロスがあったほうがいいが、本馬は母母ポップシンガーがNasrullah3×5で、その母Icy PopがNearctic≒Indian Hemp2×3(NearcoとHyperionとSister Sarah)。ポップロックの弟で父がジャンポケというイメージどおりのHyperion的な持続力を感じさせるストライドで、ベストパフォはダンディーズムーンと叩き合って惜敗した阪神外2400mの未勝利戦だろう。距離もコースも合っているが、もう少し斬れ味に鋭さが出てこないと、ダンディーズムーンは差せるかもしれないがオープン級はなかなか差せないのでは。
ヤマノウィザード
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104843/
オウケンサクラの半弟で、母ランフォザドリームは朝日CCとマーメイドS勝ち、その母ミルフォードスルーはシンザン記念勝ちで、ロジータでおなじみのスピードキヨフジにさかのぼる牝系。ディープにSeattle Slewだから体質はナスキロ柔いが、走りは半分Roberto的で、ニューダイナスティのように内回りを捲れるし外回りでもソコソコ斬れるが、ちょっとどっちつかずという脚質でもあるか。外2400mのスローは青葉3着に梅花勝ちとオール好走だから侮れないところはあるが、青葉賞よりも相手は揃っている。
トーセンスターダム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103748/
トーセンジョーダンの甥で、ディープインパクト×ノーザンテースト×クラフティワイフはトーセンホマレボシやヒストリカルと同じ。こちらは母父にエンドスウィープが入ったので母がMr.Prospector3×4となるが、同時にエンドスウィープからTom Rolfeが入ってその母Pocahontasのクロス5×6にもなり、前駆のつくりがTom Rolfe的で掻き込んで走るところはベールドインパクト(Pocahontas5×7)やゲシュタルト(Tom Rolfe6×5)などと似ている。同じディープ×エンドスウィープのアルティシムスも掻き込む走りで小回りや道悪が巧いが、この3頭に通じる掻き込み走法・内回り指向・道悪巧者ぶりはまさにTom Rolfe的と言えるものだ。
前駆が勝った肉付きでわりと前輪駆動というか前の掻き込みの強さで走っていて、スタートが悪くゲートを飛び上るように出るのも頭が高いのも腰が甘いからだろう。その意味では3角からの下りでジンワリ惰性をつけていける京都は合っているのだろうし、きさらぎ賞は渋った馬場もプラスだったはず。まとめると「ミスプロとナスキロが多いぶんしなやかだが、腰が甘く前駆に頼っているベールドインパクト」、これが現時点での私の見立て。体型のわりにストライドは伸びないので機動力はあるほうで、むしろ斬れ味や俊敏さがG1レベルなのか、そこに少し疑問が残る。それと中山の急坂は現状割り引きかもしれない。もともとこの牝系は晩成だし、腰がパンとしてきたときが飛躍のときではないか(ここまで皐月賞と同じ)。春と比べると少しトモに肉がついた印象もあるが、とりあえず阪神より京都で買いたい馬という評価は変えずに秋初戦を見守る。
スズカデヴィアス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105898/
母スズカローランはスズカフェニックスと3/4同血で、その母母ローズオブスズカの全兄にシンコウキング、半兄にドクターデヴィアスがいる。キンカメ×サンデー×Seattle Slewという累代は脚長で柔らかなストレッチランナーに出そうだが、一方でNureyev≒Fairy King4×4の機動力やPasadoble≒Alleged4×5(Ribot,Princequillo,Flower Bowl≒Determine,Count Fleet)のパワーも増幅して二兎や三兎を追ってしまった玉虫配合。すみれは超スローを好位のイン、上がり11.4-11.4-12.1で抜け出しかかったワールドインパクトを差し切り、というと斬れたイメージだが、斬れもパワーも機動力も粘着力も兼備してなるほど弱点が少ないが、何か一つ突出した武器はないというやっぱり玉虫な脚質にも見えた(ここまで皐月賞とほぼ同じ)。急坂コースのほうが狙いやすい馬だが、坂路をピッチで駆け上がってくる姿をみるとトゥザワールドを力馬に寄せたタイプというあたりが落としどころかなあ…という印象で外2400mで大きく狙う気はしない。
トップボンバー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011100398/
父ジャングルポケットがHyperion4・6・6×6・6・7・7・7・8、母母スプラッシュクインがHyperion4・6・6×5・6・6で、この2頭を通じるトニービン2×3。一方は母父スペシャルウィークはサンデー×マルゼンスキーと米血中心で、「3/4Hyperion,1/4米」という配合形の良さによって強いクロスが活きた。とはいえややHyperion的すぎる体質でしなやかさに欠ける走り。芝でも洋芝や道悪の内回りなら狙ってみたいところはあるのだが、外2400mの良ではたとえハナを切っても押し切るのは難しそうだ。
クロニクルスカイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011101724/
ワイキューブやキングズクエストの下で、セイウンワンダーのイトコにあたる。母エレガントフライはHyperion4・5×5・7だから粘り強い中距離馬に出たが、ノーザンテーストとRobertoの影響を感じさせる曲飛で、外回りの斬れ勝負よりは内回りを平均ペースでダラッと流れ込むレースに合っている馬だと思う。
マッチボックス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102871/
母がチーフベアハート×ジャッジアンジェルーチでBold Ruler4・5×5、そこにダンスインザダークで自身はNorthern Dancer4×5にRibotの継続クロス6×5・7。父を機動力寄りにしたような中距離馬だが、とはいってもスタミナも機動力も特筆すべきほどではなく、ここに入ると行っても差しても厳しいだろう。