第81回皐月賞回顧~胸いっぱいの皐月賞を

2021-04-19 11:16:48 | 血統予想

中山11R 皐月賞
◎9.ラーゴム
○13.タイトルホルダー
▲3.ステラヴェローチェ
△15.グラティアス
×5.ヴィクティファルス
注11.ディープモンスター
4枠2頭は血統どおり東京向きのストライドで走るから、できれば4角までに外に出してストライドロスなく回ってスピードに乗せて直線に向かいたい。ただ人気を背負って内目の枠で他からマークを受け、そんなケイバができるかどうかだ。武史と川田の手腕が問われるが、今年の3歳牡はコントレイルやドゥラメンテのように抜けた資質で二冠三冠というほどの馬はいないし、三冠とも印をガラリと変えていいようなクラシックロードだと思う。どちらもダービーで重い印ということで。アドマイヤハダルはパンパンの高速馬場でこその馬だと思う。
田辺か菱田の逃げでスローか中だるみになりそうで、あまり緩むと8枠2頭が引っかかる心配すらあるが、馬群が密集する可能性もあるし、やはりここはエポカドーロやアルアインが勝った年のように前の組が有利とみる。
ラーゴムの母シュガーショックはファンタジーS(米G3・ダ8.5F)勝ち馬で、母がフォーティナイナーの血を引くマイラーなのはラッキーライラックやエポカドーロと同じ。オルフェーヴル×キャンディライドというのは奥行きだけはタップリある血統で、ペルーサを重厚にしたようなイメージでデビュー当初から馬っぷりも目立っていた。まだ心身とも幼くレースぶりも荒削りで、それでこの戦績だから先々が楽しみだと書いてきた。1戦毎に成長は見られるし、北村友らしく先行馬の直後で折り合えればきさらぎ賞のように抜け出すシーンはあるだろう。底力を秘める馬だから大一番でも◎が打てる。
タイトルホルダーも1戦ごとに良くなっており、今週の調教も良かったから更に上昇気配にありそうだ。ハナには拘らないが、ステイヤー寄りの馬なので緩めのペースをワールドの外番手が理想だろう。これも底力はあるので直線先頭なら頑張ると思う。ステラヴェローチェはバゴ産駒だから粘着力があり道悪が巧いので、みんなが荒れたインを避けて通るだろうからそこをワープする手はある。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説から1~3着馬を

エフフォーリア
ゴーステディやトールハンマーの甥で、アドマイヤムーンやダガーズアラベスクやヴィッテルスバッハのイトコ。母ケイティーズハートはJRA3勝(ダ1700~1800)。エピファネイア×ハーツクライだから長いところ向きの血統だが、母母ケイティーズファーストがパワーマイラーなので全体としてバランスがとれている。長手の体型で重厚かつ豪快なストライドはいかにも東京2400向き。スワーヴリチャードのように内回りのコーナリングには難があるかも。(距離◎スピード○底力◎コース○)



タイトルホルダー
メロディーレーンの半弟で、母メーヴェはJRA5勝のオープン馬。3代母Lora's Guestの全姉に英1000ギニー馬On the Houseがいる。母父Motivatorは英ダービー馬でヴァンドギャルドの母父。母も姉も長いところで強いし、本馬もドゥラメンテ産駒にしてはストライドで弾けるというよりは持続力と地力を感じさせる実直な脚質。弥生賞はスローの逃げ切りで、ハナには拘らないが長いところ向きなので前半ゆったり運ぶレースが合うのだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ステラヴェローチェ
ゴスホークケンやアウェイクの甥。父バゴは凱旋門賞馬でクロノジェネシスやビッグウィークなどの父。バゴ×ディープインパクトはHeight of Fashion≒Burghclereの3/4同血クロス3×4になり、Hyperion的な底力とスタミナと成長力に富む配合といえる。いっぽうで母母はGone West系の軽いマイラーなので全体のバランスも良好。共同通信杯のような上がり特化戦は不向きで、距離は1600よりは2000がベターか。タフなレースなら巻き返し十分。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



昨夏から今日に至るまでの2018年生クラシックロードにおいて、私がよく言うクラシックレースを勝ちきるだけの“ハッとした脚”、そんな脚を見せて勝ったのは、共同通信のエフフォーリアとファンタジーのメイケイエールだけでした

もうそれだけの理由で、全部エフフォーリアとメイケイエールが◎でもいいんですが、あまりにもエピファネイア×ハーツクライの血統のイメージどおりの胴長体型としなるストライドで、圧勝した共同通信を見たときに「スワーヴリチャード爆誕!」と書いてしまったので、その瞬間からダービーはエフフォーリアやけど、皐月賞はどうにかこうにかひねったるでえ~という頭になっていたのはたしかですね(^ ^;)

さてどこにひねるかということで、月曜あたりは予報が下り坂なので「重ならバゴの巻き返しがオモロイけど、2週連続で隼人&須貝があるかな?」、水曜は「タイトルホルダーの調教がいいよ! 更に上昇してるから、ゆったり先行できるなら粘れるかも」

でもタイトルホルダーはドゥラメンテ×Motivator×Shirley Heights×Be My Guestで中距離×中距離×中距離×中距離ですから、母メーヴェも姉メロディーレーンも牝馬なのにステイヤーとして鳴らすような母系ですからね

日曜は晴れるので良まで乾くとすると、どこかでマイラーっぽい脚で爆発しないと勝ちきれないのが皐月賞なのだというイメージからすると、好走は間違いないけど勝つまでは…ということで○が決定したのが金曜午後14時ぐらい

当日も雨なら振り出しに戻ってステラヴェローチェでもいいんですが、けっきょくこの二択で決められずに、大器ラーゴムの大一番での覚醒に着地したのが土曜13時かな

その大器はパドックではキョロキョロ落ち着かず、レースではやはり少し行きたがり、祐一が田辺に並びかけてペースが上がってからは折り合いがつき、相変わらず馬っぷりは抜群ですがまだ幼い…という以外に何の爪痕も残せずに沈んでいきました(^ ^;)

でもパドックでラーゴムを見るたびに思い出すのがペルーサで、こんなはずじゃなかったペルーサの夢のつづきを見せてくれるんじゃないかと、いつ完成するかとか何のレースを勝つだろうとか、そんなことはよくわからんのですが、ラーゴムの来年、再来年を楽しみに毎日生きていきたいです

タイトルホルダーの1戦ごとの着実な成長は直前の追い切りからも実感でき、Mahmoudさんがタイトルホルダーとダノンザキッドの成長曲線の比較のような話をしていましたが、共同通信の頃から急上昇して二冠をぶっこ抜いたドゥラメンテと、ハーツ産駒らしく3歳時はいったん停滞し古馬になって大覚醒し世界を制したジャスタウェイ、ダノンザキッドのトニービンが、Hyperionが本当に覚醒するのはまだ先なのか

ステラヴェローチェの直前の追い切りが軽いと心配する声は多かったですが、3/25に坂路で自己ベスト、もう出来ているのでテンションを上げすぎないよう終い重点という調教に見えたし、当日のパドックでもステラが一番良いと書いておきました

エフフォーリアはエピファネイア×ハーツクライ、ステラヴェローチェはバゴ×ディープインパクト、どちらも中距離×中距離、12F×12Fで、ハーツの緩さやディープの柔さが出すぎると3歳春には完成しないのでは…という心配もある配合です

いっぽうでエフフォーリアの母母ケイティーズファーストはKrisの娘でRelance=ポリック4×3でゴーステディやトールハンマーの母、ステラヴェローチェの母母オールザウェイベイビーはGrand Slamの娘でゴスホークケンの母

エピファネイア×キングカメハメハのデアリングタクトも母母デアリングハートがNHKマイル2着のマイラーで、サンデー系中距離血脈に必ずついて回る緩さや非力さ、これを締めてビルドアップして3歳春にある程度完成の域に達するためには、「1/4マイラー」の注入が必要なのだということを、エフフォーリアやデアリングタクトは教えてくれます



あと一言コメントのエントリでも書いたように、今年の皐月賞はSharpen UpやGone Westに入る名繁殖Mixed Marriageの血がキーとなっていて、ドゥラメンテ×Sharpen Upが高確率で走っていることは以前にも書きましたが、エフフォーリアは母がトニービンとSharpen Up、タイトルホルダーはトニービンとSharpen UpとGone West、ステラヴェローチェはHeight of Fashion≒Burghclereの3/4同血クロスとGone West

いずれもMixed MarriageにトニービンやBurghclereを合わせることで、Hyperion、Fair Trial~Lady Juror、Aloe、Pretty Polly=Mirandaの組み合わせを増幅しているんですよね







「Gone Westはスピードはハイアベレージだがちょっと軽すぎて底力に欠ける」と一時期よく書いてたんですが、インティはTamerett~Mixed Marriageの継続クロス、ケイアイノーテックはBurghclereとMixed Marriage、タワーオブロンドンはTehranのクロス、G1を勝つほどのGone WestはMixed Marriageの底力を活かした配合をしています

「エフフォーリアが勝つなら4角で外にスライドするドゥラメンテパターンで、さて武史がそんなヤンチャに乗れるのかと思ってましたが、いやはや無人の野を切り裂くインプッシュとは、恐れ入りましたとしか言葉が出ませんね」

石塚さんがレース後にこうつぶやいてましたが、ああそうや、俺が言いたかったのもまずそこやのに全然言葉が出てこなかったなあ…とビールを呑みながら反省したのが日曜21時

タイトルホルダーのMahmoudラップ=12.5-11.8-12.2-11.9-12.0-11.3-11.9-12.4-12.3-12.8、祐一がかかったときにつられたダノンザキッドとアサマノイタズラがバタバタになったのを見ても、タイトルのスタミナや地力は評価できますが、そのタイトルの直後を武史が狙いすましたかのようにとったのも圧巻でした(タイトルの弥生賞は武史の手綱)

それに応えたエフフォーリアも強いの一語で、私は今年の牡クラシックは傑出馬不在で三冠とも勝ち馬が変わるんじゃないかとみていたんですが、ドゥラメンテやコントレイルのような傑出度で制した皐月賞やったと思います

アンチャンの頃から見てる田辺と隼人が今や37歳の立派な中堅で、どちらも気を吐くレースぶりでルメールの人気馬に先着、そして22歳の横山武史が、まさにその次の時代を切り開くべくインを切り裂いて先頭に躍り出て、そこからはいろんな想いで胸がいっぱいになって「参りました!おめでとうございます!」としか言葉が出てこなかった

年はとりたくないもんで、こういう瞬間にポンと言葉が出てこなくなってきて、ただただ胸いっぱいになってしまうんでどうしようもないですが(^ ^;)、年寄りが見た胸いっぱいの皐月賞を月曜11時に綴りました


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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-04-19 12:49:48
土曜に馬群に沈んだジュリオもシーザリオのAureoleとLe Fabuleuxに母方のネオユニとトニービンですからやってることは大枠同じなんですよねぇ…
そこをいじってあの勝ち方をされたらもうお手上げですね、土曜のアレが最後の一押しになってエフフォーリアを消した身としては…(^_^;)
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Unknown (Unknown)
2021-04-19 14:15:50
いつもレース回顧楽しみにしています。有難うございます。
皐月賞、素晴らしいレースでした。馬券を超えた面白さがありますよね、競馬は。長生きしたいですw
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皐月賞 (ミスターシービー2号)
2021-04-19 14:38:31
クラシックを初めて競馬場で生観戦したのが昭和58年中山のミスターシービーが勝った雨の`昭和の馬場`の皐月賞でした。この時パドックで見たインターリニアルの複勝を的中してから複勝派、今のワイド総流しに繋がっています。
騎手・安田隆行がトウカイテイオーで勝った(2着はシャコ-グレイド!)のが30年前、一昨年はサートゥルナーリアをパドックで観て勝利を確信しました。
昨日はTV観戦でしたが、武史の度胸の良さは天晴れ!人馬共に見事な勝ちっぷりでした。パドックもレースも生で観たかった。大観衆の歓声の中でG1レースを観戦出来る日が一日も早く来る事を祈ります。
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Unknown (ゆのまね)
2021-04-19 17:49:49
重賞を勝つたびに武史、凄いね!といつも思ってましたが、騎乗技術とあの度胸は騎手を志ざした時から培ったものなんですね!年季が違うよな。

去年からルメール・キラーとして、名を馳せてましたがここに来て漸く同じ土俵に立てたのではないでしょうか。

今が最成期といえる川田や松山と共に、日本競馬を引っ張っていただきたい!
また、川田騎手とダノンザキッドもダービーでの巻き返しを期待しています。

エフフォーリア、TVでのパドックは一寸、背ったれ気味で僕は良く観えなかったんですが、ジャンポケさんはもっと目立ってたのにダービー快勝でしたから、余り関係ないのかもしれないなあ〜
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Unknown (Unknown)
2021-04-19 19:05:36
× ルメールの人気馬に先着
〇 ルメール人気の馬に先着
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Unknown (Unknown)
2021-04-20 22:09:29
【皐月賞回顧】「ヨーロッパの騎手を見ているよう」横山武史騎手の簡単に下げないレーススタイル/佐藤哲三

https://news.yahoo.co.jp/articles/d35c1ab9984df67a1d9ca551340d0a88cfa999ca
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Unknown (Unknown)
2021-04-21 09:32:53
サトノレイナスはダービーですかそうですか
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Unknown (MJ)
2021-04-21 10:13:29
「アカイトリモノリマスヨ(・∀・)」
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