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第85回桜花賞回顧~フィリーサイアー×フィリーサイアー、名手の手綱で桜の女王に

2025-04-16 09:38:01 | 血統予想

阪神11R桜花賞
◎16.ナムラクララ
○7.エンブロイダリー
▲2.エリカエクスプレス
△9.アルマヴェローチェ
×6.ビップデイジー
日曜は朝から雨予報で、どうやら道悪は避けられそうもない。馬場が渋った桜花賞というと、最近ではデアリングタクトとレシステンシアで決まった20年(重)と、レーヌミノルとリスグラシューで決まった17年(稍)。ともにダイワメジャー産駒のマイラーが連対しており、いっぽうで底力のある中距離も連対している。
この世代の桜花賞路線において、最も才気ある勝ち方を見せたのはフェアリーSのエリカエクスプレスだろう。底力に富むが気難しい血が多く、レースぶりも危ういのだが、戸崎さんのソフトタッチで抜いて走れれば圧勝まであるのでは。道悪はこなすと思う。
エンブロイダリーはクイーンCをHペースで押し切ったのはダイワメジャーの孫らしいが、ビワハイジ牝系らしい斬れ味も兼備して行っても差してもOK。道悪は巧そうだし、鞍上にモレイラを迎えたとなると、どう転んでも対応できそうで減点材料がほとんどない。
アルマヴェローチェは脚長で大箱向きのストライドで、ナミュールと似たタイプで距離は1800がベストだろう。重の札幌2歳でインからしぶとく差していたし、これも末脚は確実。
ビップデイジーはダンジグのクロスで、ルアーとアグネスデジタルのマイラーっぽさも強い。斬れるタイプではないが、脚元を見ても馬場が渋るのは歓迎だろう。
リンクスティップはキタサン産駒としては配合的にもクリスマスパレードに近く、機動力ある中距離馬。外マイルはレース運びが難しいか。
◎はナムラクララ。父アドマイヤマーズは香港マイルとNHKマイルに勝ったダイワメジャー産駒で、初年度産駒は本馬やエンブロイダリーなど牝がよく走っている。本馬はナムラクレアの妹で牝系は名門。マキャベリアンの全きょうだいクロス4×3も光る。ダイワメジャーらしいパワー型マイラーで姉のような斬れ味勝負ではなく、チューリップ賞やりんどう賞のようにスローの上がりのケイバでは鋭さ負けしてしまう。道悪は姉もこなしたし脚元を見ても巧そうで、時計や上がりがかかるのは大歓迎。1400のHペース経験も頼もしい。西村の負傷で急きょの乗り替わりになったが、折り合いや馬群に不安はなく乗りやすい馬だし、良血好配合がここで開花とみた

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

エンブロイダリー
エーデルブルーメやアーデルリーベの姪で、母ロッテンマイヤーはクイーンC3着。牝祖ビワハイジは現阪神JF勝ち馬で、ブエナビスタ、ジョワドヴィーヴル、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラなどを産んだ名繁殖でもある。父アドマイヤマーズはダイワメジャーの代表産駒で初年度からナムラクララなどを輩出。ダイワメジャー父系×ビワハイジ牝系のマイラーで、パワーと斬れ味兼備で弱点が少ない。差しにも回れるし、モレイラで人気必至だが好走率は高い。(距離◎スピード○底力○コース◎)



アルマヴェローチェ
モンドキャンノやカリボールの姪で、母ラクアミはJRA3勝(芝1400~1600)。母母レイズアンドコールはアイビスサマーダッシュ3着で、子孫にサクラバクシンオーのスピードをよく伝えている。父ハービンジャーはキングジョージ勝ち馬で、ディアドラ、チェルヴィニア、ナミュールなど牝馬の大物も出す。脚長で大箱向きのストライドでナミュールと似たタイプで、距離は1800がベストだろう。時計が速すぎるとどうかだが末脚はたしか。(距離○スピード○底力◎コース◎)



リンクスティップ
デュアルウィルダーの半妹。母の全弟ディヴィシデロはウッドフォードリザーヴターフクラシックS(米G1・芝9F)に勝った。母父キトゥンズジョイは北米リーディングサイアー。父キタサンブラックは年度代表馬でイクイノックス、ソールオリエンス、クロワデュノールなどを出し成功。キタサン産駒としては配合的にもクリスマスパレードに近く、機動力ある中距離馬。きさらぎ賞は先行してしぶとく残ったが、外マイルはレース運びが難しいかも。(距離○スピード○底力○コース○)



「近7年の勝ち馬に共通するのは、チューリップ賞やフィリーズレビューなどいわゆるトライアルを使っていない点。いずれも2月のクイーンCやエルフィンS、1月のシンザン記念、12月のJFからの直行なのだ」

血統解説の導入文ではこのように書きましたが、終わってみれば1~3着の前走はクイーンC1着、阪神JF1着、きさらぎ賞2着で、トライアル組(チューリップ、フィリーズレビュー、アネモネS)は掲示板にも載れませんでした

でもそれは、3月のトライアルに有力馬が集まりにくくなったというだけではなくて、前後半48.0-46.0のチューリップや48.2-47.5のアネモネと比較しても、45.7-46.5のクイーンや45.5-47.3のフェアリーや46.1-12.6-48.3のきさらぎを追走し好走したという、締まったペースの経験値がモノを言ったというべきかもしれません

あと予想コメントにも書きましたが、馬場が渋った桜花賞はダイワメジャー産駒が必ず連対していて、だからアドマイヤマーズ産駒に◎○で、エンブロイダリー以上にパワー型マイラーのナムラクララが重馬場なら食い下がれるのではないか…と期待したのですが、2着は母父ダイワメジャーでした(^ ^;)

クラシックの蹄音が聞こえてくると「今年のハッとする脚は何ですか? 私のパンツは○○です」みたいなことを毎年みんな言ってくるのですが、この世代のパンツレースとなるとやっぱりエリカエクスプレスのフェアリーSに最も才気を感じたし、とはいえお尻プリプリ太腿ムチムチのマイラーのパンツには見えなかったので、う~んどうしたもんかなあ…というのが正直なところ

当日のパドックを見ても「馬っぷりはエリカだが、マイラーとして素晴らしい馬ではない」「エンブロイダリーは道悪OKの脚元」とコメントしておきました

ビュンビュン逃げるような短距離馬が見当たらないので、エリカが抜いて走れれば1800質の後傾ラップで走破できる可能性はあり、実際好発を決めて労せずハナに立ったので、中盤に12秒台二つ入れられるぐらいには抜いて走れていたし、そこはさすがソフトタッチ戸崎さんやったんですが、結果は46.6-47.6で走破して5着でした

見るからに中距離馬っぽいラインと体質で、シーザリオとAnabaaを経由するAureoleのクロスで周りに馬がいると力んでしまう気性で、抜群のスタートを決めたようにHabitatとAnabaaのマイラーとしてのしなやか俊敏さも受け継いでいて、才気と狂気としなやかな身のこなしがまさにエピファとAnabaaのイメージ

AnabaaといえばTreveやクイーンズリングの母父でもあり、フィリーズレビューをうなりながら大外一気で差し切ったクイーンズリングは古馬になってエリ女を勝ち有馬2着で引退しましたが、名うてのエピファ使い杉山晴師がそんな中距離馬に完成させられるかどうかが見もの

中盤緩んだので馬群が固まり、望来アルマヴェローチェに張り付かれていたエンブロイダリーは4角で外に出せそうもなく、一瞬内に1頭ぶんだけスペースができたその瞬間にスルリと通してアルマとの追い比べに持ち込んだのは超絶で、モレイラだから超絶に見えないですがあそこが今年の桜花賞のハイライトでした

リンクステップは前傾ラップのきさらぎ賞を先行して2着に踏ん張った馬ですが、今日は出遅れカマして最後方ポツン、でもそこでミルコは腹を決め、この馬の中距離馬としての追走に徹することができたのは結果オーライだった部分もあったかと

「1キロ重い斤量で、ダノンキングリーと東京1800で叩き合った共同通信杯。これこそがアドマイヤマーズのベストレースで、東京1800なら世代最強のダノンキングリーと互角なのだから、アドマイヤマーズも東京1800最強なのだ」と言いつづけてきて、皐月賞も◎にしたぐらいで、その後ダノンキングリーもアドマイヤマーズもマイルG1に勝ちましたが、東京1800最強説が揺らぐことはなかったですね

アドマイヤマーズが走ったマイル戦で最も内容が良かったのは、たぶん4歳時のマイルCS、グランアレグリアとインディチャンプに最後差されたけれど僅差の3着に食い下がったレースで、あれがレースラップ46.9-45.1の後傾でマーズ自身もそれぐらいの配分で走破しています(ちなみに19年香港マイル勝ちはレースラップ48.0-45.25)

エンブロイダリーの配合のポイントは、父アドマイヤマーズがもつHalo3×5・5をサンデーサイレンス3×4と継続し、父がもつノーザンテースト≒Storm Birdのニアリークロス3×4にVice Regent(Northern Dancer+Windfields)とNijinsky(Northern Dancer+Bull Page)を合わせ、あとアドマイヤマーズの4代母Salvinaxiaとアグネスタキオンの母母アグネスレディーの組成が似ている(Alcide、Palestine、Tenerani、Abernant≒Owen Tudorなどが共通)、主にこの3つですかね

エンブロイダリーはクロフネのパワーとビワハイジのマイラー資質で父を少しパワー寄りマイル寄りにしたイメージで、アドマイヤマーズよりはダイワメジャーっぽいという言い方もできると思いますが、いずれにしてもクイーンCで前傾ラップのマイル戦を経験していたことは大きかった

アドマイヤマーズ産駒はここまで芝[21-11-7-101]ダ[4-5-6-48]で、連対時平均距離は牡1629m牝1550m、そして以下のように2勝以上をあげているのは全て牝



22年産のJRAリーディング20位までではAEIは最も高く(2位キタサンブラックを凌ぐ2.68)、勝ち馬率でもナダルとドレフォンに次ぐ3位(36.7%)で、JRA出走49頭中20頭がノーザンファーム産というバックボーンはあったにせよ、アベレージの高いフィリーサイアーとして認知されてきました

フィリーサイアーといえば、クロフネもG1を勝った産駒9頭(ソダシf、カレンチャンf、ママコチャf、ホエールキャプチャf、アエロリットf、スリープレスナイトf、ホワイトフーガf、フサイチリシャール、クラリティスカイ)のうち7頭が牝という猛烈なフィリーサイアー

クロフネは母父としても、クロノジェネシスf、ヴェラアズール、ノームコアf、スタニングローズf、レイパパレf、アマンテビアンコ、ノーヴァレンダといったG1馬を出しており、エンブロイダリーfで8頭目ということになりますが、8頭のうち5頭が牝です


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Unknown (松崎しげらない)
2025-04-16 22:10:54
パドックでエリカエクスプレスの馬体を見て、大きな腹袋で締まりがなく、ボテっとして見栄えしないのはデアリングタクトも同じだったよなと感じました。レース後にXのTLで距離が延びた方が良いか悪いかと意見が分かれてましたが、クイーンズリングのように考えたら良いでしょうね。
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