Kris S.は母の父がPrincequilloで、いわゆる「ナスキロ」配合になるので、父としてシンボリクリスエスやマチカネアレグロ、母父としてエイシンドーバーやスムースバリトンなどを出しているように、Roberto系にしては東京向きの斬れ味も兼備した血脈です
シンボリクリスエス(以下SK)の場合は母父がSeattle Slew系なのでナスキロクロスになり、主にSeattle Slew譲りの胴長体型とストライド走法で走る中距離馬でした
だから産駒も「ナスキロ」を継続クロスすると柔らかなストライド走法に出ることが多く、サンカルロ(Secretariat)、ダンツキッスイ(Caerleon、Sir Gaylord)、ラドラーダ(Sir Gaylord)、マイネルエルフ(ボールドアンドエイブル)など、芝オープン級は母系にナスキロ血脈を引くことが多いです
一昨年のダイヤモンドSをレコ勝ちしたモンテクリスエスも、母系にMill ReefとBold Bidderという二つの「ナスキロ」を持っています
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103133/
母系にMill Reefを引くSK産駒には、消耗戦となった紫苑Sでジワジワ伸びたダイアナバローズや、ダート長丁場で先行粘るチャイコフスキーなどがいますが、Seattle SlewにMill Reefを合わせるとNasrullah、Princequillo、La Troienneの組み合わせのクロスになるので、両者の中距離のジワッとした斬れが伝わるようで、SK産駒としても距離適性は長めにシフトする傾向がみられます
┌Round Table─Princequillo
Poker
│┌Nasrullah
└Glamour
└△─△─La Troienne
┌Nasrullah
┌Never Bend─Nasrullah
│└Lalun─△─○─La Troienne
Mill Reef
└Milan Mill─Princequillo
┌Nasrullah
┌Never Bend─Nasrullah
│└Lalun─△─○─La Troienne
Riverman
└River Lady─Prince John─Princequillo
Mill Reefの近似血脈Rivermanを持つ場合でも、母がRiverman+Sir Gaylord4×4アプレザンレーヴは毎日杯では届かず青葉賞でやっと届いたし、Rivermanを引きMy Charmerをクロスするミッキーペトラは(母がヘクター×Lomondというマイラー配合ながらも)弥生賞で2着に残りました
アリゼオは母スクエアアウェイがMillicent≒Mill Reef4×3で、ヒルノダムールとミカエルビスティーをナデ斬った新馬戦を見ての通り東京で斬れる脚が使えるのは間違いなく、それが圧倒的人気を集めた根拠の一つだったことも疑いありません
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103034/
┌Cornish Prince─Bold Ruler─Nasrullah
Millicent
└Milan Mill─Princequillo
┌Never Bend─Nasrullah
Mill Reef
└Milan Mill─Princequillo
スマートギアなどが出るシャダイチャッター牝系で、母父がフジキセキですからモンテクリスエスほどズブいタイプではないのですが、上にあげたような例からしても1800mよりは2000mがベターで、となると1800mのスローでマイラー寄りの俊敏さが要求される質のレースになったときに、小さな落とし穴がありはしないか…とも考えられました
マンカフェにマイラーっぽいスピードを入れた配合で、現実に中山マイルを勝ってきたハンソデバンドのほうが、素質というより適性で上回ったという結果だったと思います
仮に青葉賞に出たら、アリゼオはアプレザンレーヴぐらいのパフォーマンスは出せる馬だと思いますよ~
ダノンシャンティはフジキセキ×Mark of EsteemですからこれもMillicent≒Mill Reef4×5ですが、体型や走法は主にHalo3×3のほうがONになっていますね
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105709/
Halo的な無駄のない脚捌きだけでなく、ナスキロ的な斬れ味も、ハイインロー的な持続力も兼備した良血で、ナスキロだけをドーンと配合のメインにしたアリゼオやアプレザンレーヴがトンカツ弁当なら、トンカツもハンバーグも唐揚げも入ったダノンシャンティは特選幕の内弁当といったところ
2000m前後なら展開ペース馬場不問で何でもできるし、いつもレース内容はハイレベルなのに際立った特長がないので惜敗が多い…というのは、なんだか伯父のSingspielに似たイメージでもあります
モノサシ馬が多い今年の牡クラシック路線ですが、最も正確なモノサシはこの馬かもしれないですね~
ダノンシャンティはどこに出ても2着って感じがする