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第55回スプリンターズS&第100回凱旋門賞回顧~Sir Gaylordなモーリス、スプリントの頂点に

2021-10-04 11:51:14 | 血統予想

スプリンターズS
◎11.ジャンダルム
○14.ダノンスマッシュ
▲13.アウィルアウェイ
△16.モズスーパーフレア
今年もモズスーパーとビアンフェが出てくるのでHペース必至。スプリントG1は前傾ラップなら非サンデーが強いというのが持論だが、今年はあえて母父サンデーサイレンスのジャンダルムでいってみたい。
母ビリーヴはスプリンターズと高松宮に勝った短距離女王で、本馬の他にもフィドゥーシア、ファリダット、エリシェヴァとオープン級のスプリンターを産んでいる。その母グレートクリスティーヌは猛烈な父母相似配合で、ダンジグのスプリントを強力に伝える繁殖牝馬。ビリーヴがサンデーサイレンス直仔ながら超前傾ラップの高松宮記念を先行して勝ったのは、ダンジグ的な資質が強い頑強スプリンターだったからに他ならない。
ジャンダルムはPOGでも推奨したようにビリーヴの仔の中で最も配合が良いとほめてきたし、初の1200戦だった春雷Sの完勝を見てのとおり、ここにきて本当に母ソックリのスプリンターに完成してきた。セントウルも出遅れなければ多分勝っていたという内容。またまた出遅れる可能性は覚悟の上で、スプリンターズは出られれば◎だとそのときから決めていた。「1/4サンデーサイレンス」なのだけど「1/2ビリーヴ」なのだから、前傾ラップのスプリンターズでも◎が打てる。
非サンデーで古馬になって頑強さを増してきたダノンスマッシュ、ジャスタウェイ産駒らしく今がピークかという上昇を見せるアウィルアウェイ、そしてビアンフェが早めに引いてくれればモズスーパー、ここまでで。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

ピクシーナイト
母ピクシーホロウはJRA3勝。3代母シンコウエンジェルの産駒にダノンカモン、クィーンズバーン、ワイルドソルジャーが、孫にウキヨノカゼがいる。父モーリスは初年度からルークズネストやシゲルピンクルビーなどを輩出。536キロの大型で、春はシンザン記念を逃げ切るなどマイルの先行でならしたが、ここ2戦は短の差しで連続好走。1分6秒の高速決着にも対応したが、モーリス産駒だし時計や上がりがかかったほうがより差しやすいか。(距離◎スピード○底力○コース◎)



レシステンシア
母マラコスタムブラダはフィルベルトレレナ大賞典(亜G1・芝2200m)勝ち馬で、本馬の他にもグラティアスやミッキーブラックを産んでいる優秀な繁殖だ。3代母プルマは亜2歳女王。2~3歳時はマイルのHペース先行でならしたが、古馬になって体重が30キロ近く増えてパワーアップし短距離にシフトしてきた。今は1400がベスト距離とみるが、好位差しにも回れるし、ここも崩れは考えにくい。1200だと時計はかかったほうがいいだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)



シヴァージ
セプターS(英G3・芝7F)2着Mise En Roseの甥で、母母Buy the BarrelはアレールデュポンディスタフS(米G2・ダ8.5F)勝ち。父First SamuraiはStorm Cat系で北米2歳G1のホープフルSとシャンペンSに勝った。Storm Cat系のスプリンターという体つきで、短距離の差しがすっかり板につき、シルクロードSは外伸び馬場も味方に大外一気で重賞初制覇。スプリンターにしては柔いのでダッシュがつかないが、時計がかかれば圏内に突っ込む。(距離○スピード○底力○コース○)



コメント欄にも書いたように、パドックが一番良かったのはレシステンシアで、馬体の張りなど前走以上でしたね

そしてメイケイエールは相変わらずチーターのようなしなやかな身のこなしで、一頭だけスプリンター然としない歩きで周回してました

「モズスーパーとビアンフェがガンガン行って、今年も超前傾ラップだろう」という大方の予想に反し、レースラップでいうと前後半33.3-33.8

出来がもう一つに見えたビアンフェが無理しなかったのと、松若くんは離して単騎になるとペースを上げないきらいがあるので、1200のG1としてはペースが上がらないまま直線へ

レース上がり2Fが11.3-11.4、このゴール前のラップ11.4はスプリンターズS史上最速で、ダノンスマッシュが伸びない!という悲鳴があちこちから聞こえてきましたが、ほとんどの馬が11.3ぐらいの脚で上がっているので伸びてないように見えるだけで、直線ではみんないい脚使ってるんですよね

こうなると内外の差が大きいので、インの3~5番手をとった3頭がそのまま1~3着で、外差しはかなり苦しかったというべきですが、ピクシーナイトで前後半33.7-33.4、レシステンシアで33.9-33.5とともに後傾ラップですから、1400質のレースになったともいえるでしょう

レースラップ33.9-33.7をレッドファルクスが差し切った17年の7人気3着ワンスインナムーン、34.1-34.0をストレイトガールが差し切った15年の11人気2着サクラゴスペル、京王杯SCや朱鷺Sでペストパフォーマンスを出すような1400馬が後傾ラップで流れ込めるレースだったといえ、だからこの1~3着が阪神Cの結果だといっても全く違和感ないのでは

モズスーパーフレアのベストレースは32.8-34.4で走破した19年スプリンターズS(タワーオブロンドンの2着)やと思っていますが、こういう前傾ラップで6Fを走破して強いのがピュアスプリンターやと常々書いています

スプリンターはスプリンターらしいレースをすべきで、スプリンターらしいラップを刻むべきで、テン乗りのルメールが32.3-34.8で楽々と逃げ切った19年オーシャンSもベストレースのひとつ

そんなわけで1400質のレースになり、好位インをとった1400型が上位を独占したわけですが、どう見てもスプリンター体質ではないメイケイエールが外差し勢最先着の4着と好走したのも、もちろん池添が何とかなだめて巧く乗ったのが大きいのですが、キーンランドCよりも1400質のレースになったからというのもあるでしょう

ピクシーナイトの福永祐一はフワッと出すと、内に速い馬がいないので思惑どおりイン3番手に寄せていき、直線はスルスルと抜け出して後続に2馬身差の完勝も完勝

デビュー戦からずっと手綱を取りつづけ、マイルの逃げ馬だったのを距離短縮を進言して差しを覚えさせ、何でもできる馬に仕上げて迎えた大一番でパーフェクトな騎乗ですから、しかも母父がキングヘイローですから会心すぎるでしょう

父モーリスは初年度産駒からG1勝ち馬を輩出、それがスプリンターズSになるとは思いませんでしたが、母父キングヘイローは高松宮記念勝ち、母母父サクラバクシンオーは歴史的名スプリンターで名スプリント種牡馬、母母母父オジジアンはDamascus系の突進型でエイシンワシントンの父、母方には優秀なスプリンターを出せる血が流れています



キングヘイローはDrone≒Halo≒Sir Ivorのニアリークロス3×2・3で、90年代においては最先端といえる才気溢れるスピードの持ち主で、その才気を短距離でもマイルでも2000でも見せつけましたが、才気が溢れすぎてダービーでは暴走気味に逃げてしまい、若き福永祐一の苦い思い出として何度も語られてきたレースですね

そんなスピード豊かな母ピクシーホロウですが、そのスピードの質がキングヘイローもサクラバクシンオーも軟質で、それがRoberto系パワーマイラーのモーリスの相手としてよかったのだろうと思います



今のところJRA重賞を勝っているモーリス産駒はピクシーナイト、シゲルピンクルビー、ルークズネストの3頭ですが、シゲルピンクルビーとルークズネストはどちらも母系にSadler's WellsとGrand LodgeとShirley Heightsをもつというかなり似た配合パターンで、Grand LodgeはSecretariat≒Sir Gaylord3×3なんですよね

Grand LodgeはセントジェイムズパレスSなどに勝った名マイラーですが、Roberto×Sadler's Wellsのパワーマイラーのモーリスは、Sir Gaylord≒Secretariatのクロスをもつしなやかマイラーの血を引く繁殖との配合で成功しており、またRiverman≒Mill Reef(Shirley Heightsの父)やRiverman≒Gonfalon(オジジアンの母)のニアリークロスを施すことでも成功しています

ようはモーリスを、スピードを落とさず、ナスキロ柔くした配合が成功しているといえるのではないかと

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凱旋門賞
◎15.スノーフォール
○11.ハリケーンレーン
▲7.クロノジェネシス
△1.トルカータータッソ
△2.ディープボンド
クロノジェネシスは凱旋門賞馬バゴの産駒だし、父譲りのハイペリオン的な持続力と頑強さに溢れる走りでロンシャンの道悪でも楽しみだが、12Fよりは10Fの馬だと思うので、あまりヘビーな馬場になると12Fベストで道悪の鬼のような欧州馬にやられてしまう心配も。ディープボンドはサーアイヴァー的なしなやかさで走るだけに、ロンシャンの道悪は苦にするかもしれない。スノーフォールは小さなディープ牝駒だが、ヴェルメイユの負け方をみると上がり特化よりはタフなレースになったほうが末脚の持続力が活きるタイプか。道悪になったここ2年の凱旋門は、ヴァルドガイストにインスウープとドイツ血脈を引く馬大駆けしている。ハリケーンレーン(母父シロッコ)は見た目に道悪は巧そうだし、トルカッタータッソは何といってもアレグレッタの全姉妹クロス3×4が圧巻。アレグレッタは生粋のドイツ血統で、娘のアーバンシーは重の凱旋門を勝ちガリレオやシーザスターズを産んだ名繁殖。日本馬の応援も込めて、この5頭で組んでみたい。



凱旋門は勝ち馬Torquator Tassoの素晴らしい血統表、Alya=Allegrettaの全姉妹クロス3×4について少し

Allegrettaは重の凱旋門賞を大穴で勝ったUrban Seaと英2000ギニーのキングズベストを産んだ名繁殖で、Urban SeaはGalileoとSea the Starsを産んだスーパー名繁殖ですが、Allegretta自身がAralia≒Almyra3×2で、AraliaはMorganetteの牝馬クロス5・5×5・5、MorganetteはArd Patrick(英ダービー,独名種牡馬)とGaltee More(英三冠)を出した名繁殖



笠シショーの配合史的考えにおいて、全きょうだいクロスや3/4同血クロスをふつうのクロスよりも評価するのは、優れた全きょうだいクロスや3/4同血クロスが生じてしまうほどに優れた名牝名繁殖の血を含んでいるからに他ならないのだ
といういつもの台詞で締めたいと思います


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-10-04 21:49:09
Torquator Tassoの母父、Toylsomeは面白いですね。Tudor Minstrel系のチャンピオンスプリンターですが、このクラスの種をAllegretta の孫に付けたのには先を睨んだ繁殖採りの意図を感じます。

Toylsomeの母がThe Minstrel≒Nijinskyの1×3で、自身は内圧がかかっているけど、勝ち馬の血統表で見れば名血緩和の役目を担わせているようで、凝ってます。
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