第81回オークス回顧~名牝の証明、トップジョッキーへの扉

2020-05-25 12:26:38 | 血統予想

東京11R オークス
◎4.デアリングタクト
○18.サンクテュエール
▲11.リリーピュアハート
△1.デゼル
△3.アブレイズ
デアリングタクトは桜花賞の一週前追いをコースで併せでやったらひっかかり、当週は坂路で単走にしたらうまくいった。オークスは一週前のコースも当週の坂路も単走でいずれも動き◎。桜花賞のスタート後も馬群の中でかかり気味で、鞍上がなだめているうちにポジションが下がって馬群の切れ目のところで落ち着いて走れた。
エピファ産駒らしい臆病な気性で、おそらく周りに馬がいると怖がってかかり気味になるのだろう。最も辛いのは内枠を引いてスローで馬群の中で身動きがとれないまま折り合いを欠くパターンで、スマイルカナのペースと後続の動き次第だがその可能性も低くはない。道中我慢できて直線外に出せれば脚が違うと思うが、デアリングが馬群に沈んだときの馬券も一考したい。
サンクテュエールはマイラーではなく1800タイプで、スローの上がりのケイバでは新馬戦もアルテミスも好走しているから、スロー想定で拾うならこれとデゼル。ダルシャーンの斬れ味はスローでタメきったときに最も映える。
流れて持続戦になったときは、ヴァンキッシュランの全妹でいかにも長いところ向きの体つきとスピードの乗りのリリーピュアハートと、母父ジャングルポケットらしい粘着二枚腰をみせるアブレイズ、これを一枚持っておきたい。印にするとこうなるが、◎からの馬単と○△と▲△のワイドという変則買いで。

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まずはNETKEIBAのオークス展望記事を再掲

デアリングタクトの死角は距離より枠順
今年は別路線組に注意

春の牝馬クラシック、桜花賞とオークスを連勝した例は、最近では女傑アーモンドアイだけだ。桜花賞組のオークス最先着は、19年はクロノジェネシス(桜花賞3着→オークス3着)、18年はアーモンド以外ではリリーノーブル(3着→2着)、17年はソウルスターリング(3着→1着)、16年はシンハライト(2着→1着)、15年はクルミナル(2着→3着)、14年はヌーヴォレコルト(3着→1着)。能力の高さで桜花賞も3着ぐらいに好走するが、父や母が2400mOKの中距離型で、体型や体質もマイラーではなく中距離、という馬を狙うのがオークス予想の王道といえる

しかし今年の桜花賞上位入線の顔ぶれをみると、東京2400になって最もプラスがありそうなのはエピファネイア産駒のデアリングタクトだろう。ハーツクライ産駒のクラヴァシュドールなんかはオークス向きの匂いもするが、母方のパワーマイラーっぽさも強い体型体質だから、デアリングを逆転できるほどのイメージはわいてこない

となると、ラヴズオンリーユーやカレンブーケドールのような別路線組をデアリングの相手にとるか、あるいは逆転まである◎とするか、今のところはそんな考えでいる

ただデアリングタクトにも死角がないわけではない。エピファネイアは母父スペシャルウィークから臆病な性格を受け継ぎ、それを産駒にもよく伝えている。デアリングも桜花賞の序盤は馬群の中で落ち着いて走れないようなところを垣間見せていた。内枠を引いてしまったが、いつどこで外に持ち出せるか、そこはシミュレートしたい

つづいてはいつものように、NETKEIBAの全頭血統解説よりリード文と1~3着馬を

近5年の勝ち馬のうち、ラヴズオンリーユー(母母母父Nureyev)、アーモンドアイ(Nureyev5×3)、ミッキークイーン(母父Gold Away)はNureyevの血を引き、ソウルスターリング(父Frankel)とシンハライト(母父Singspiel)はNureyevと3/4同血のSadler's Wellsの血を引く。取り上げたなかでNureyev≒Sadler's Wellsをもつのはアブレイズ、インターミッション、サンクテュエール、デアリングタクト、デゼル、ホウオウピースフル、マジックキャッスル、マルターズディオサ

デアリングタクト
母母デアリングハートはEcton Parkやピットファイターのきょうだいで、府中牝馬Sに勝ちNHKマイル2着桜花賞3着。エピファネイア×キンカメ×サンデーはスカイグルーヴと同じで走るパターンだ。本馬は母系にDanzigが入るので、後駆がパンとして加速が俊敏なのも光る。エピファ産駒だから馬群で揉まれ込んだときが心配だが、マイラーというより1800~2000の馬だから距離延長は問題ない。(距離○スピード◎底力◎コース○)



ウインマリリン
ウインマーレライ、マイネヒメル、イペルラーニオの半妹。母父Fusaichi Pegasusはケンタッキーダービー馬で、サトノゴールドやサージェントバッジやロードレガリスなどの母父。スクリーンヒーロー産駒でDanzigのクロスはジェネラーレウーノと同じ。いかにも中山向きの血統だが、意外にしなやかさもあって前走は東京の直線でしっかり伸びきれた。上がりがかかればここも食い下がれる。(距離◎スピード○底力○コース○)



ウインマイティー
母アオバコリンはTCK女王杯3着など交流重賞で活躍。近親に愛1000ギニー2着Julie La Rousseなどがいる。父ゴールドシップは初年度からブラックホールやサトノゴールドを輩出。母父がAlydar系のカコイーシーズだから、ステイゴールド×カコイーシーズのナカヤマナイトと似た配合で、道悪巧者で中山で捲るような脚質も似ている。高速上がりになると分が悪いから、ここも馬場が渋ってほしい。(距離○スピード○底力○コース○)



桜花賞のときにも書きましたが、今年の牝馬クラシックロードにおいて“ハッとする脚”を見せたのはデアリングタクトとレシステンシアだけで、オークスの前哨戦が終わってもそこにデゼルが加わっただけでしたかね

デゼルの前走の脚は見た目に凄かったんですが、いつも書くようにDarshaanの牝馬の斬れってのは本当に末脚特化で、デンコウアンジュとかシゲルピンクダイヤとかエイシンデネブが典型ですが、勝負を捨てたかのような追い込みに徹すると目が覚めるような脚を使うけれど、自力で動いたり勝ちにいくと案外頼りないところがある

スイートピーはドスローの後方一気だからこそハマりにハマったという面もあるのではないかと思うし、今回はデアリングを負かすのはデゼルしかいないという期待を集める対抗馬ですから、あそこまで末脚特化に徹することができるのだろうか…というあたりが難しかったです

クラヴァシュドールはハーツ産駒にしては筋トレ大好き女子みたいな体つきと肉付きで、Storm BirdやGulchのパワーマイラーっぽさが強い印象が拭えなかったし、ミヤマザクラはディープ×クロフネ牝系らしい弱点が少ない中距離馬ですが、こうなったらG1でも突き抜けるという一芸はないんじゃないかというのが現状のイメージ

となると、桜花賞上位組は着順を上げるのは難しいのではないかということで、別路線組から3頭と桜花賞6着のサンクテュエールを相手にとってみたのですが、結果は別路線組と桜花賞着外組が上位を占めたのにカスリもしませんでした(^ ^;)

スマイルカナが中盤を12.7-13.0-12.6とかなり中だるみさせて逃げ、レース上がりが12.1-11.2-11.2-11.8、ほとんどの馬が33.9~34.1ぐらいの同じような脚色で上がり、こうなると今の高速馬場で外差しは厳しい

先行したウイン2騎がバテることなく同じ脚で流れ込むところを、一頭だけ別次元の脚で馬群を割ったデアリングタクトが突き抜けたところがゴールでした

道中はルメールのサンクテュエールに外に張りつかれ、周りにはキャロやシルクの勝負服が「外には出させないよ」と言わんばかりにたむろしていて、それでも直線は外を狙ったんですがやっぱり出せず、腹を決めて馬群を割った瞬間、デビュー戦からコンビを組んできたデアリングタクトを信じて、頼む割ってくれと内に突っ込んだあの瞬間が2020年オークスのハイライト

地道に腕を磨き信用を勝ち得てきた12年目の松山弘平が、一本かぶりの人気を背負って執拗なマークを跳ね返して、真のトップジョッキーへの扉をこじ開けた瞬間やったと思うし、こちらが心配したよりも人馬ともに精神的にタフで、その点でもみごとと言うしかない勝利でした

デアリングタクトの配合については何度も書いてきたので桜花賞の回顧を読んでいただきたいですが、父エピファと比較するとちょっとゴツゴツして見える歩様で、そのぶんTom Fool的な脚捌きで俊敏さは上で、レイデオロっぽいとテノリオさんが言ってましたが、エピファとアパパネの仔みたいなイメージで、気性の問題を別にすれば実にオールラウンドな中距離馬やと思います

エピファネイアは種牡馬として成功する、中でもエピカメサンデーで成功すると予言してきましたが、今週のダービー血統解説のリード文でも書いたように、中距離×中距離×中距離という配合はなかなか3歳春には完成しきれないことも多く、スカイグルーヴが素質を垣間見せながらも春は未完で終わったように、エピカメサンデーの場合も母母がマイラーっぽいほうが、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯)よりもデアリングハート(桜花賞2着)のほうが、クラシックには間に合いやすいという言い方はできるかもですね

ウインマリリンもウインマイティーもなかなかしぶとい中距離馬ですが、東京の高速上がりでパフォーマンスを更に上げるイメージがなくて、実際他馬と比較して際立った脚で上がっているわけではないのですが、東京でも上がり3Fのダッシュになると中山向きの小脚が活きるというのもよくあることで、マジックキャッスルやチェーンオブラブも中山マイルで好走歴があり小脚がきくタイプです

ウインの最近の重賞勝ちといえば、ウインブライト、ウインテンダネス、ウインガニオン、ウインプリメーラなどだいたい先行か好位捲りの脚質で、血統的にみても高速馬場の斬れ勝負でノーザン産馬と渡り合うのは分が悪いと言わざるをえず、活路を見出すには前々で運んで踏ん張るしかないわけで、マリリンもマイティーもそんなレースを4戦5戦と積み重ねてきた経験値が大一番で活きた

ノーザン産馬が勝てないと言われる今春のクラシックですが、桜花賞のスマイルカナ、皐月賞のウインカーネリアン、そしてオークスのウインマリリンとウインマイティー、ビッグレッド系の馬たちが先行策積極策で大舞台をわかせているのは、高速馬場での斬れや最高速度を追求することで揺るぎないトップブリーダーにのぼりつめたノーザンに対するアンチテーゼとして面白いし、日高のキズナ産駒も気合十分に先行する馬が多いですよね

エピファネイアは初年度から無敗の二冠牝馬を輩出、ゴールドシップもオークス3着馬を出し、キズナは重賞勝ち馬をバンバン出して次代のリーディングサイアーかと目されています

他でもリアルインパクトはいきなりNHKマイルのラウダシオンを出し、マジェスティックウォリアーやワールドエースなども有能なところを見せており、ディープインパクトとキングカメハメハの二大巨星が消えてハーツクライも晩年を迎え、そのタイミングで空前の新種牡馬当たり年がやってきて、勢力図も一気に様変わりしていくのでしょう


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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-05-25 14:31:11
今年のオークスは超高速馬場を考えると凡戦と言わざるを得ないですね。勝ち馬は直線馬群がバラけてから流石の切れ味でしたが、他馬が弱すぎましたね。強い先行馬が何頭からいたら3着もなかったのでは?。内回りの秋華賞でまた内枠ならかなり危険な人気馬になりそうな気がします。
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Unknown (Unknown)
2020-05-25 18:06:16
レースのレベルが低かったと切って捨てるよりノーザン育成馬や従来超高速馬場に強いとされてる血統が一頭も馬券内に突っ込んでこなかったのをよく考慮すべきではないでしょうか
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Unknown (Unknown)
2020-05-25 18:10:57
レースレベルが低いというかそもそも戦前からして低調なメンバーだったのは否めないですけどね
考慮も糞もたまたまこの世代はノーザンが不調だったというそれだけの話だと思いますけど
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Unknown (Unknown)
2020-05-25 18:39:16
2着馬3着馬は3勝していて桜花賞組以外だとオークスに絡みやすいとされるステップレースの勝ち馬でノーザンの良血クラシック向け血統に勝って出てきてるわけで見方を変えると別に変な事が起こった訳ではないんですよね
ただみんなこの馬場で来やすい血統じゃなかった上に岡田家絡みだったというだけで
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Unknown (Unknown)
2020-05-25 18:53:19
ラップ的にも最後は上がり勝負になってなってたのはいろいろ興味深い
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Unknown (MJ)
2020-05-25 19:09:41
オークス女子高を受験するために中距離を先行してしぶとく粘る問題ばかりを解いてきたウイン学習塾の生徒にとっては、まさにヤマが当たった試験問題が出た、ということでいいんじゃないですかねー
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