第64回宝塚記念回顧~持続戦の前崩れ、今年もエヴァーグリーンなハイペリオンだった

2023-06-27 09:56:26 | 血統予想

阪神11R宝塚記念
◎5.イクイノックス
○12.アスクビクターモア
▲17.ドゥラエレーデ
△4.ボッケリーニ
×6.スルーセブンシーズ
イクイノックスは有馬のフォトパと比較してみても馬体の充実が目を引く。シャトーブランシュの仔でもともと晩成と言っていい牝系。ドバイも有馬も強かったが、まだまだ強くなる可能性に満ちている。「父中距離×母父マイラー」の配合形だし、さすがに父のように逃げることはないだろうが、完成を迎えつつある今なら阪神内2200で好位受けの横綱相撲がとれるのでは。
土曜の阪神芝は前がよく残っていて、最終週の宝塚ウィークにしてはインが強い。しかも今年はユニコーンの単騎逃げになりそう。そうなると宝塚は前残りかイン差しになりがちで、内回りのコーナリング能力が要求されるレースになりがちだ。ストライドのジャスティンパレスやダノンザキッドやヴェラアズールあたりは下げてみたい。
ラブリーデイの全弟でいつも内回りのコーナリング抜群のボッケリーニと、ドリームジャーニー産駒らしいピッチで中山内回りが鬼のスルーセブンシーズ、この2頭は内枠を活かした立ち回りができそうで印を。
繋ぎが長いアスクビクターモアは柔らかい馬場はイマイチ。ここは待望の良馬場で、番手からしぶとく流れ込む本来のレースで巻き返すとみた。
あとは3歳ドゥラエレーデ。サトノダイヤモンドの甥でオルフェーヴルの肌。これも内回りでこそ底力を発揮するタイプでは。

----------

例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

イクイノックス
ヴァイスメテオールやミスビアンカの半弟で、スタッドリーのイトコ。母シャトーブランシュはマーメイドS勝ち馬。父キタサンブラックは年度代表馬で本馬やソールオリエンスやガイアフォースなどを出し成功。見た目はわりと父似で、この牝系らしいナスペリオン的な強靭かつ持続力あるストライドで走る。内回りより外回り、2000より2400がベターには違いないが、HaloとSir Ivorのクロスで機動力も兼備しているのは有馬を見てのとおり。格でねじ伏せるか。(距離○スピード◎底力◎コース○)



スルーセブンシーズ
パッシングスルーやシェダルの妹で、スルーレートの姪で、ハクサンルドルフやブルミラコロやハイアーレートのイトコ。母マイティースルーはJRA4勝(芝1400~1800)。父ドリームジャーニーはオルフェーヴルの全兄で有馬記念などに勝ち、ヴェルトライゼンデやトゥラヴェスーラを出している。ドリジャ産駒らしい機動力に富む差しで、内回りは[4-2-1-2]。マーメイドSは大外を回るロスがあったし阪神内2200も合う。あとは牡馬一線級との力関係。(距離◎スピード○底力○コース◎)



ジャスティンパレス
母パレスルーマーは優秀な繁殖で、本馬の他にもベルモントS(米G1・ダ12F)勝ちPalace Maliceやアイアンバローズを産んでいる。近親にハリウッドゴールドCのRail Tripなど。母父Royal AnthemはTheatrical産駒で芝10~12FのG1を3勝。この影響が強いNureyev的な野太いストライドは坂コース向きで大箱向き。母系にはRelaunchも入るので、ある程度前々で持続力を活かすレース運びがいいだろう。距離短縮は問題ないが、阪神内よりは京都外がベター。(距離○スピード◎底力◎コース○)



阪神芝は土日通じて逃げた馬が[4-2-3-3]、しかもユニコーンライオンの単騎濃厚となれば、クロノジェネシスの2着に粘り込んだ21年宝塚(前後半60.0-12.4-58.5)に近いイメージで、まずは後傾ラップのイン前有利を想定

しかし外からうなりながらドゥラエレーデがきて、前半3F12.4-10.5-11.1と入りが速くなり、前後半でいうと58.9-12.3-59.9ですか、終わってみれば1~2角12番手以下の馬が1~4着を占め、先行6頭は全て10着以下という持続戦前崩れになりました

このマイル戦のような入りにイクイノックスはついていけずにあのポジション、ルメールは腹をくくってジャスティンパレスやジェラルディーナを前に見ながら差すケイバで、ジャスティンの3~4角の手応えがよくないのでその更に外をグルッと回して、実に長くいい脚を使いつづけて差し切ったという勝ち方でした

「有馬のときよりも馬が硬く見える」という見方も散見されましたが、父がキタサンで母がシャトーブランシュで母母がブランシェリーですから、古馬になったらHyperion的な資質がより発現してくることは容易に想像でき、たとえばクロノジェネシスが年齢を重ねるごとに頑強になっていったのと近いイメージで見ればいいのではないかと

そのぶん秋天をディープ産駒のような斬れ味でナデ斬った頃よりは、もっと持続的な末脚になってきたようにも見えるし、またドバイや有馬の完勝をみても12Fの馬に完成しつつあるのかなと、そんな勝ち方やったように思います

スルーセブンシーズは中山内回りが鬼のドリームジャーニー産駒ですから阪神内2200も合うとは考えられましたが、それにしても直線切り返すロスがあって際どく食い下がるとは、凱旋門賞登録はダテではなかったんやなあ~という力走

ドリームジャーニーもその全弟オルフェーヴルも5歳有馬が最強で、ノーザンテースト(Lady Angela3×2)4×3譲りの成長力は共通するところで、ウシュバテソーロ、マルシュロレーヌ、ショウナンナデシコが5歳時に初G1制覇を成し遂げたように、種牡馬オルフェーヴルも晩成型の代表格として知られます

そしてドリームジャーニー産駒も、ヴェルトライゼンデは2年近い長期休養からみごとに立ち直ったし、ミライヘノツバサがダイヤモンドを勝ったのは7歳、トゥラヴェスーラは7歳の今春も高松宮で力走し、アルメリアブルームやエスティタートはクラブ馬なので6歳で引退しましたが引退間際の重賞2着がベストパフォーマンスで、代表産駒はみんな晩成と言っていいかと

あとクロノジェネシス、ノームコア、レイパパレ、スタニングローズと、クロフネ肌の牝馬も大物が多く、極めて優秀なフィリーサイアーでありフィリーブルードメアサイアーでもありますね

ジャスティンパレスは菊は3~4角で前が詰まるシーン、有馬は荒れたインを走って3~4角手応えが悪く、勝った阪神大賞典ですら4角の加速はイマイチで、Nureyev的なナタのストライドでズドーンズドーンと差すので、本質的には大箱で直線の長いコースのほうが合っているとみてます

ジェラルディーナは捲りで勝ちにいったぶん最後苦しくなりましたが、モーリス×ドナブリーニの機動力とディープインパクトの斬れ味を両方を受け継いで、何でもできるけれど斬れ勝負にも持続力勝負にも振りきれない玉虫色脚質の中距離馬で、内回りの外差し戦が一番ハマりやすいイメージがあります

ボッケリーニは器用な小脚を使うので、この枠ならインを狙いたくなるのは理解できますが、先行馬がまとめて下がってきたので捌ききれないシーンがありました

「生産馬(ディープボンド)の応援に行ってましたが、どの肌馬につけようか、すでに種牡馬目線でイクイノックスを見てました(^ ^;)」と村田康彰さんは仰ってましたが、名うてのキングヘイロー使い、ダンシングブレーヴ使いがイクイノックスをどんな繁殖に配するのかも今から興味深いですな(・∀・)


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日曜のボツ予想~Aureole魂疑... | トップ | 6/24,25の血統屋コンテンツ推... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (TM)
2023-06-27 18:28:55
ディープ=ブラックタイドの全兄弟クロス、どんな効果を見せるのか今から楽しみです
返信する
Unknown (Unknown)
2023-06-27 20:25:32
イクイノックスのお相手はエイシンキルデアが本命でしょうか?今年の2歳にキタサンとの仔もいますし
返信する
Unknown ()
2023-06-29 16:25:54
お疲れ様です。阪神はクロフネ肌がよう走りますね
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

血統予想」カテゴリの最新記事