波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

「日本のデザイン -美意識がつくる未来」

2013年03月01日 | 読書

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 「日本のデザイン -美意識がつくる未来」(原研哉著:岩波新書)で、この国に必要な資源としての美意識について、「もの」でなく「こと」をつくるデザイナーとして解き明かす一冊。人々の心や感情の奥底に届けたり浸透させるのが「こと」のデザインだという。目に見える「物」としてのデザインは、志す「事」の一端だとも言う。その「こと」を説明する上で、パリ発のフアッション戦略、日本の家や観光の価値、新しい素材の話が、一貫して「もの」と「ひと」なのがおもしろい。

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 学校づくりだとか、地域づくり、人づくりなんかを生業にしてきた立男には新鮮で感動物。ポスターやロゴ、キャッチコピー、出版物…なぜ学校づくりでデザインなのかを教えてもらった感じ。著者の言説は、デザインに興味関心あるなしに関係無く面白い。こういう志の立て方、持続の仕方、実現方法もあるのか。抽象的な内容を実に的確な言葉を使って表現できることに、「こと」を為すデザイナーの凄さを感じた。繰り返すが、「〇〇づくり」に挑戦されている方の大きなヒントになると思うヨ。

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日本の風景をつくりなおせ」(梅原真著)→「梅原デザインはまっすぐだ! 【日本の風景をつくりなおせ】副読本」(梅原真・原研哉)→「日本のデザイン」(本書)の順で読んできた。実践→対談→理論という感じ「俳句で綴る 変哲半世紀」(小沢昭一著:岩波書店)合間合間に読んでいる。昭和40年~平成24年まで、40年間分の句集。何とも形容しがたいあの小沢昭一的心が濃縮されたような。後書きに、「遊び半分」(の俳句)のおかげで、嘘にもイノチかかっている俳優稼業が続けられたとあり、最後に「まだ生きている一服や春隣」の一句立男の読書遍歴は「波風文庫」で本棚に陳列中。

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