優先順位
「子どもの声を聴かなければ」「子どもの姿を見つめなければ」と思い過ぎて、子どもの作品ばかり見ていた時期があった。子どもの作品を通じて、見ているだけでは気づけなかった「その子の姿」に触れることは、重要なことだと思う。でも、そっちに時間をかけすぎて、肝心の「目の前にいる子ども」との触れ合いをおろそかにしていたことに、後々気がついた。
今ならば、「優先順位を間違えた」と笑い話にできるのだけれど、その当時は一生懸命だったのだ。一生懸命「子どもの姿」を見ているつもりでいた。子どもの実態から出発する方法は、きっと多様に存在していて、そのときその状況によって、最適解は異なる。ひとつの方法に固執すると、かえって子どもが見えなくなるな、と思った。
「子どもの実態から出発する」という言葉に反対する人はきっといない。でも、この言葉を実現することって、なんて難しいんだろう。この難しさを学校づくりの枠組みの中でどう実現するか。それが腹ペコの研究課題である。