波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

『星々の悲しみ』を読む。

2020年05月08日 | 読書

30歳の時に読んだ宮本輝著『星々の悲しみ』。内容はほとんど忘れ、青春、友情、死、みたいなことに触れることがあったら、題名だけを思い出す短編小説。最近、それが何度か浮かんだのはコロナ禍のせい。印象的な表紙絵(佐藤忠良)の文庫初版は字も小さく黄ばんでしまったから、新装版で読む。小説というのは、こんなに気持ちよいものだったんだ。『川三部作』に驚き、30歳前半は宮本輝をずーっと読んでいた。

備校生3人が喫茶店に掛けてあった百号の油絵を盗み出すことが小説の重要な要素だが、その絵は読者の想像に任されている。小説には「ある不思議な切なさが、その明るい色調の底に沈んでいる・・・・少年がひとり眠っていた。少年は麦わら帽子を顔に載せ両手を腹のところにおいて眠りこけていた・・・・初夏の昼下がりらしい陽光がまわりを照らしている・・・・題〈星々の悲しみ〉作者享年20歳」とある。
画像は、画集(鳥海青児)にある『メキシコ人の昼寝』。この小説を最初に読んだ時にすぐ浮かんだ油絵。今回、画集を開き「そうだよ、これだよ」とスキャンした。


子どもはわかってあげない 上下』(田嶋列島作:講談社)読む。急がず騒がず、感情の丁寧な表現 波風立男氏の本棚』を1年ぶりに更新。昨年春からブログにUPしたもの。気が向けば感想書いておきたい。読書交流「ほんのおつきあい」の記録も、このアプリでやればいいかもなあ。

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