アメリカの司法制度での陪審制は、刑事訴訟・民事訴訟において事実認定を行う。特に刑事訴訟が映画やドラマで取り上げられる。陪審員12人を選ぶために予備審問が行われるが、検察側・弁護側双方が慎重に自分たちに有利な陪審員を選ぶ。その過程で「理由なし忌避」が認められていて、そこにいわゆる専門家と言われる人たちが介入する。
このドラマはまさにその専門家をドラマティックに描く。日本の裁判員制度では、とてもじゃないがこういうエンターテイメント性は望めない。
さて、ドクター・ブルと言われるジェイソン・ブルが人間的な側面もあらわにしながら、問題を解決していく。
そのジェイソン・ブルに「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」で人気のマイケル・ウェザリーが演じる。女性捜査官ジヴァ・ダヴィード(コート・デ・パブロ)とロマンティックな関係を演じたのも印象に残る。ドクター・ブルは、TAC社(トライアル・アナリシス・コーポレーション)の代表でもある。ドクター・ブルは、あくまでも心理学者で弁護士資格がないため、義兄弟のベニー・コロン(フレディ・ロドリゲス)が弁護活動を行う。
このフレディ・ロドリゲスは、葬儀社を舞台にしたドラマ「シックス・フィート・アンダー」で遺体修復師を演じていて印象に残った。「ブル」でもいつもスリー・ピースのスーツで予備審問の陪審員選びに鋭い質問を浴びせる。元検事という経歴。
TACのスタッフに元国土安全保障省マリッサ・モーガン(ジェニーヴァ・カー)、チャンク・パーマー(クリストファー・ジャクソン)スタイリスト、スタイリストがここにいる理由は何だろう。推測でしかないが、被告人が法廷に出るときの髪型や衣服の助言かもしれない。ダニー・ジェイムズ(ジェイミー・リー・カーシュナー)元FBI捜査官、調査を担当している。テイラー・レンツェル(マッケンジー・ミーアン)。
チーム・ワークで乗り切ってきたTACであるが、最終話「愛か裏切りか」で対立が生まれる。ベニー・コロンの姉イザベラ夫婦が離婚問題を抱えている。その原因がイザベラ(ヤラ・マツティネス)とブルが成り行きのセックスと知ったコロンが激怒。とはいってもかつては、ブルとイザベルは夫婦だった。コロンは怒っているが、法廷での勝利の後、裁判所前の社用車にイザベルが待ち構えていてブルに激しいキス。さて、この行方も気になるシーズン4ではある。
フロリダ州フロリダキーズの真っ白な砂浜を持つリゾートホテルを経営するのはロバート(サム・シェパード)とサリー(シシー・スペイセク)夫妻のレイバーン家。創業以来45年を迎え記念パーティーの日、問題児の長男ダニー(ベン・メンデルソーン)が帰ってくる。
地元では名家と知られるレイバーン家には、地元警察の刑事次男ジョン(カイル・チャンドラー)、大型ボートメンテナンス業を営む三男ケヴィン(ノーバート・レオ・バッツ)、弁護士のメグ(リンダ・カーデリーニ)がいる。
定職も持たず実家から出て何をしているか分からないダニー。父ロバートはメグに命じて遺産相続からダニーを外している。まだ先のことと思われていた父ロバートの死。
これを機にダニーは、家族を支配し始める。不肖の息子ほど可愛いといわれるが、その母サリーはダニーの意見に微笑みながら承諾していく。それを快く思わないジョンをはじめとした兄妹たちとダニーの間に不穏な空気が漂う。
人の気配の少ない海岸でダニーとジョンが話し合う。話し合いはエスカレート、波打ち際の殴り合いに発展する。ダニーより一回り大きいジョンの力が勝りダニーを水中に押し付けて溺死させる。呆然とするジョンではあるが、ケヴィンとメグを呼び死体の処理を相談する。
この事件をきっかけにレイバーン家の秘密が明らかになり没落が始まる。ちょっとくどいなと思わせるが、ドラマとしては飽きさせず観て損はないだろう。
企画したのは、異色の女優グレン・クローズが好演した2007年「ダメージ」、1999年「ザ・ソプラノス哀愁のマフィア」を制作した脚本家・プロデューサーのトッド・A・ケスラー。ニューヨーク生まれのデトロイト育ち。加えてグレン・ケスラー、ダニエル・ぜルマンも参画。
キャスト
カイル・チャンドラー1965年9月ニューヨーク州バッファロー生まれ。
ベン・メンデルソーン1969年4月オーストラリア、メルボルン生まれ。
リンダ・カーデリーニ1975年6月カリフォルニア州レッドウッド生まれ。
ノーバート・レオ・バッツ1967年1月ミズーリ州セントルイス生まれ。
サム・シェパード1943年11月イリノイ州フォート・シェリダン生まれ。2017年没。
シシー・スペイセク1949年12月テキサス州生まれ。
ハーラン・コーベン1962年1月ニュージャージー州生まれ。
リチャード・アーミティッジ1971年8月イギリス、イングランド生まれ。