ルンルンピアノ

ピアノ教室の子どもたちとの楽しい毎日。。。。。。

624      昇段の翌日

2007-03-21 00:23:12 | Weblog
※本日のケンかの発端となったミモザ。
クリック♪


昇段通知の興奮から一夜明けたきょう・・・
先週、西宮北口の楽器店へ忘れていた書類を取りに行くため、Nと一緒に外出する。
北口駅前アピタのジュンク堂でNに待っていてもらい、その間に1人で楽器店へ行って忘れ物を受け取り、再びトンボ返りで書店へ戻る。
最近ずっと気になっていた 『次郎物語』 を、上中下3冊まとめて買う。
「えーっ! ムリやでそれ、ムチャクチャ長いんやでぇ!」
「でも結構オモシロそうだけどな・・・読んだ事あるの?」
「いや、昔ラジオでやってたから。 ずいぶん長い間やってたで、いつになっても終わらんし・・結局最後まで終わらんやったんと違うかな」
「へえ、ラジオかぁ・・なんだかすごい古いね」
「とにかくムリやと思うで」

ムリムリって・・・私ってそんなに飽きっぽい女かなぁ。

その後クルマに乗り込んでアピタを出る。
昇段記念のドライブだ
アテのないまま走るうち、Nが突然 「ゼロ戦墓地に行こうか」 と言い出す。
あそこは去年私1人で行った場所なので、じゃあ2人で一緒に行こうという事に決まった。

宝塚南口を山側にグングン上がり、ほどなく 「聖天さん」 に到着。
緑青色のコマ犬のそばを抜けて境内に入る。
そのすぐ奥へ続く墓地に出ると、去年と同じく、小さな戦争資料館の上に置かれたレプリカのゼロ戦が姿を現した。
うっすらと曇った空の下、墓地には私たちの他には誰もいない。
そばの立て札に色々と細かく注意書きが書かれている。
読んでみると・・・関係者とお墓参り以外の人はここへ立ち入らないように、特に墓地への夜間の入り込みは禁止・・・などという事が書かれてあった。
以前にも書いたが、ここは心霊スポットマニアにはちょっと有名な場所らしく、そのせいでお寺側も色々とメイワクをこうむっているのだろう。
立て札の注意書きからはそんな事情が読みとれたので、きょうは特に慎重に目立たないように歩くことに決めた。

資料館そばでゼロ戦を撮ったあと、階段状になっている墓地の脇を登るNの後をついて行く。
濃いピンクのヤマツツジの向こうにミモザの大木が何本も茂っており、泡立つように黄色い花を咲かせていた。
近づいたり離れたりしながら何枚も写真を撮る。
こんな見事なミモザを見るのは生まれて初めてだった

その後、ヤマツツジに招かれるように墓地を登っていく。
すると、いきなり右手に旧式の団地が現れた。
洗濯物の干されたベランダはひどく静かで、まるで無人の舞台セットのようにシーンと静まり返っている。
あまりの静かさにハッと振り返れば一面の古い墓地。
(アレ、そういえばNはどこに行ったんだろう)

耳を澄ますが、それらしき気配はまったく感じない。
「N~」 と呼んでみるが返事は無い。
「Nーっ Nーっ!!」
今度はもっと大きな声で2,3度立て続けに呼んでみたが、ウンともスンとも返事は聞こえない。
(・・・・・・・・)

急いで墓地を降りる。
よそのお墓の中を通る時、(すみません・・) と心の中で丁寧に詫びながら通り抜けた。

ゼロ戦の辺りに出て辺りを見回すが、Nの姿は何処にも見当たらない。
Nーーーーっ!!  Nーーーーーーーーっ!!!

まるで空気が固まってしまったようにシンと静まり返っている。

急に恐ろしくなってきた。
(ゼロ戦墓地なんて来ちゃイケナカッタんだ・・遊び半分のふざけた気持ちの私たちにバチが当たったんだきっと)
(愛媛のお母さんに何て言い訳しよう・・‘エミコさんがついていながら’ ってきっと言われるだろうなぁ)

再び団地そばまで戻って叫んでみるがやっぱり気配は無し。
さっきからお腹が痛くてたまらない。
泣きたい気持ちで再びゼロ戦そばへ降り、「N~~~~っ」 と叫ぶと、あちらの方でザワザワと音がした。
ホッとした安堵の気持ちと怒りが入り混じり、思わず大声を出そうとした次の瞬間、私の視界に入ったのは、ヨロヨロと杖をついて藪の中から姿を現したおばさんだった。

・・・・・・・・・・

ゼロ戦の乗っかる小さな資料館へ目を向けると、一人のおじいさんが小さなベンチに腰掛けている姿が見えた。
どこを見るともなく、わずかに猫背ぎみにジッと座っている。

ますます不安になり、本当にもうどうしていいか解からなくなってきた。
お腹はますます痛くなり、(とりあえずトイレを探してそのあと考えよう) と下に向かって足を踏み出した瞬間

「おーい、何してんのォ」

間違いない、今度こそNだ。
紺色の上着を着て10メートルほど先で手を振っている。

近づいてゆく私のただならぬ様子を察知してか、Nもサッと身構える。

「どこに行ってたのよっ」
「エ? ずっとココにいたで」
「ウソばっかり!! 何度も大声で呼んだけど居なかったよ」
「ハア?  こっちこそ何度も呼んで探したんやで」
「自分だけサッササッサ行くから、いつもこういう事になるんやん」
「どこまで行ってたん?」
「そばに団地の見えるお墓のところまでだよっ」
「なにそれ、全然知らんわ・・そんなお墓ばっかりのところへボクが行くはずないやろ?」
「だって降りてくる姿が無かったよ」
「それは自分が夢中でミモザなんか撮ってたからやろ」
「ミモザ撮ってて悪い??」
「人の声が聞こえないほど夢中になるからや」
「だって95さんに見せようと思って一生懸命撮ってたんだよ!!」
「・・・・でもとにかく、そんな上まで行くのがオカシイやろ。 ボク下でずっと待ってたんやでぇ」
「私なんて、きっとゼロ戦墓地のタタリなんじゃないかって、ものすごく心配で・・愛媛のお母さんに怒られることまで想像してたんだよ」
「ハア?  大体こういう事になったそもそもの原因は自分が楽器店に忘れ物をした事やろ」
「え? そんな卑怯な理屈 (あきれて声が出ない) 」

疲れてきたのでケンカの話はこれまで。
その後ダイエーでスリッパと食料品を買って大人しく帰った。
少し疲れた1日だった。


おわり
コメント (8)
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