船は水に浮かぶ容器VESSELだから、水が漏れなければ目的を達することができる。また多少漏れたにしても役目をはたす。竹の筏等がそうである。しかし水に濡れる船では人や貨物の運搬には不都合が生じる、そこでドライな容器が求められ、現代の船舶が出来上がったのだろう。鋼鉄製の船であってもポンプを積み常に海水を汲み出している。船つくり・造船は自分の大好きな仕事で、見ているだけでも満足できる。
子供のころに川崎の造船所に父親に連れられて見に行った記憶がある。爆撃を受けたままの桟橋に穴が開いていたことも思いだす。長じて造船所に仕事で通うようになって、あの溶接の際の鉄のこげる匂いが好きになった。潮風と、ペンキと溶接の匂いが交じり合う、これが造船所の匂い。それにくらべFRPの造船所のあの独特の樹脂臭いはいつまでも好きになれない。加えてガラス繊維の粉末が肌に刺さり難儀する。
写真はかつてのベトナムの貨物船の建造状況。船を転倒して工事し、ある段階で正立状態に立て直す。資材を満足に調達できなかったこの国では出来合いの型鋼は使わず、板材から切り出してすべてをつくる。だから時間がかかるが、人手はたくさんある。又、あわてて作ることも無いという背景もあったであろう。ところがその国にも船舶建造需要の大波がやってきていまや万トン級大型船を建造するようになっている。まさに韓国や中国の後を追いかけ始めたのだ。勤勉で手先の器用なベトナム人のこと遠くない将来にアジアの造船国になることも不可能ではないだろう。
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