memories on the sea 海の記録

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東日本大震災:牡鹿半島で養殖「共同で再び」 宮城・石巻

2011-04-22 09:32:45 | 東北地震津浪災害 3.11
 東日本大震災で養殖施設や漁船が大きな被害を受けた宮城県石巻市の牡鹿半島で、従来の個人・家族経営をやめ、共同経営で養殖業の再開を模索する動きが始まっている。安定的な資金調達が目的で、県が発表した復興基本方針の素案とも同調する。ただ、海中のがれきで漁業再開のめどは立っておらず、共同経営が実現するかは不透明だ。(4月15日毎日新聞/Mainichi Daily News)

 牡鹿半島の小網倉浜地区は、津波で全60世帯のうち50世帯ほどの家屋が全壊。カキ養殖を営む24世帯で全壊を免れたのは3世帯。養殖いかだは240台が全滅した。作業に使う5トン級小型漁船も30隻のうち8割が失われた。
 「元の暮らしに戻るには一緒にやるしかねえ」。カキ養殖業を営む阿部習(みがく)さん(52)は、壊滅した漁場を見ながらつぶやいた。浜に残って避難生活を送る約50人の漁業関係者もほとんどは共同経営に賛同している。個人で高額な資材を買いそろえるのは厳しいからだ。
 小型漁船は3000万円。いかだを浮かべるたるは1個1万3000円で1台当たり50~100個必要だ。ロープやいかりなどの購入費も含めると、初期投資額は5000万円を超え、阿部さんは「今から多額の借金を背負うのはリスクが大きすぎる」と語る。カキの出来具合を競争してきたが、震災後は、浜辺に散乱した漁具を拾い集め共同利用を始めようとしている。
 
漁業再生について、宮城県の村井嘉浩知事は「零細な経営体の共同組織化や漁業会社など新しい経営方式の導入を進める」と提案。県漁業協同組合の融資担当者も「早い復興を目指し共同経営に取り組む地域は増えてくる」と見ており、国の財政支援を前提にしながら「資金面で生産者を支援していきたい」との姿勢を示す。
 ただ、小網倉浜で養殖業に取り組んできた阿部昭浩さん(47)は「海底のがれきを撤去しないうちには何も始められない」と指摘する。海底には民家や漁船が沈んでおり、養殖に必要な水深が得られないからだ。また、今夏にカキの種付け作業を始められたとしても収穫までに2、3年はかかり、それまで漁業関係者が生活資金をどう工面するかも課題だ。【比嘉洋】