最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

町立松前病院立て直し急ぐ。常勤医再確保へ道などと協議

2017年03月02日 21時09分25秒 | 函館・道南情報
北海道新聞1月29日付の記事は下記の通り。



前院長ら常勤医の相次ぐ辞職で診療体制を縮小した町立松前病院と町が、昨年12月の八木田一雄副院長の院長就任を機に、運営体制立て直しを急いでいる。患者の利便性が低下し、病院職員の負担が増える中、中止していた応援医師の受け入れを今月から順次再開。町と病院は、常勤医を早期に再確保したい考えで、道や医療関係機関と協議を重ねている。
「院長の長期不在をようやく解消できる。医師確保を急ぎたい」。石山英雄町長は昨年12月6日に病院を訪問。診療に専念したいなどの理由で院長就任を固辞していた八木田氏が、一転し就任を了承する意向を伝えたことを受け、表情を引き締めた。
松前病院では、地方独立行政法人化(独法化)をめぐり町と意見対立した木村真司前院長が、昨年7月末で退職。別の常勤医1人も木村氏に呼応して辞職を決め、常勤医は4人になった。前院長の退職を受け、市立函館病院と函館協会病院も応援医師派遣を停止したため、松前病院は昨年10月から診療体制を縮小したが、常勤医の負担は増えている。
午前の診療を急患のみとしたものの、救急車の24時間受け入れは継続しているため、常勤医が夜勤に入る頻度は増加。小本清治事務局長は「常勤医4人の体制が続けば、現場が疲弊する」と懸念する。
同病院では診療時間の午前中に混雑する光景が日常的になった。町内の70代男性は「朝7時半ごろから並び始める人が多く、診療開始後の午前9時には待合室がいっぱい。以前の倍以上の3時間以上待つこともある」ともらす。待ち時間を嫌い、通院を控える町民もいるという。
事態を打開するため、町と病院は道や関係機関に常勤医確保に向けた要請を重ねていた。ただ、病院の特徴である全科診療を担える総合診療医が採用の条件となる上、「ただでさえ医師不足の現状で、院長不在の病院に常勤医に派遣を容認する医療機関を探すのは難しい」(医療関係者)という。こうした厳しい状況を踏まえ、八木田氏は院長就任の判断に傾いたとみられる。
八木田氏は院長就任を受け、市立函館病院は1月から、中止していた応援派遣を順次再開。循環器内科医1人が月1回、小児科医1人も2月から週1回診療する。乳腺外科医の派遣要請も検討している。国立病院機構函館病院も3月から消化器医の派遣を決めた。
課題は、診療体制縮小以前の常勤医6人体制の再構築だ。新院長人事発令直後の昨年12月16日、石山町長と小本事務局長は、道庁を訪れ山谷吉宏副知事や保健福祉部幹部などと面会。常勤医採用の協力を求めた。道内の各医療機関との協議も重ね、医師採用専用ウエブサイトを通じた総合診療医募集も続けている。石山町長は「早期に医師を確保し、地域医療を守りたい」と強調。小本事務局長は「診療体制を立て直せば、診療サービスの向上だけでなく、中断している研修生や研修医の受け入れにつながる」と話し、まず今春にも常勤医1人を雇用し、午前中の院内混雑解消を図りたい考えだ。
一方、前院長が早期導入を求めていた独法化は、運営見直しで関係機関との協議が続く現状では困難な情勢だ。石山町長は独法化の検討中断を表明しているが、昨年12月の定例町議会の一般質問では、議員から「独法化はご破算と受け止めている」との声も上がった。だが、石山町長は昨年の町長選で独法化検討を公約に掲げており、懸案の改築問題を含めた病院運営について、昨年2月以降開かれていない町議会の調査特別委が今後の焦点となりそうだ。
一方、一部町民は、独法化検討を遅らせたとして、病院人事をめぐり前院長が対立した2013年当時の町議会議長(現町議)の解職請求(リコール)を求める運動を昨年8月から始めたが、請求は先送りしている。運動を進める住民有志団体の川内谷直志代表は「医師の疲弊が進んでいる状況は変わらず、リコールに出る時期を考えている」としているが、請求時期は不透明だ。



この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 函館・恵山・南茅部 市立3... | トップ | 函館市立3病院、遠い再建。... »
最新の画像もっと見る

函館・道南情報」カテゴリの最新記事