最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

小倉記念病院のV字回復に学ぶ 最高収益を生み出す 病医院マーケティング

2023年12月02日 05時08分27秒 | 読書
福岡県北九州市にある小倉記念病院(ベッド数656床)は地域の中核病院として、循環器領域を中心に高度急性期医療を担ってきた。しかし2013年、同病院は「もう終わった」と言われる。日本の心臓カテーテル治療のパイオニアとして知られる延吉正清院長(現・名誉院長)の退任に伴う「お家騒動」で、大黒柱の循環器内科の医師が45人から28人まで激減。患者数も落ち込み、「心臓と言えば小倉記念病院」という評価は過去のものになりつつあった。
影響は循環器内科以外にも及ぶ。
循環器疾患を合併している他科の患者が他院に流出するなどして減少してしまったため。病院として右肩下がりの経営が続き、「小倉記念プライド」という、職員がそれまで心の中に持っていたものが崩れ去り、院内に暗い雰囲気が充満していた。この影響は地域にまで広がる。それまでは在籍する医師が多かったため、周辺医療機関の診療支援も行っていたが、院内の医療体制を維持するため、ほとんどの診療支援を中止せざるを得ない状況にまで追い込まれ、地域の医療機関にも多大な迷惑を掛けることになった。
こうした状況に光を照らしたのが新しい院長と事務長の就任だった。そこから小倉記念病院の復活が始まる。職員一丸となった広報・マーケティング活動で、業績悪化から脱却した小倉記念病院。その過程で実践したユニークな手法の数々を紹介しているのが「小倉記念病院のV字回復に学ぶ 最高収益を生み出す 病医院マーケティング」(日経メディカル)だ。
本書では、同病院スタッフとして広報・マーケティング活動を中心的に進めてきた松本卓氏(企画広報課・病院マーケティングサミットJAPAN理事) が、これまで実践してきた取り組みの数々を具体的に紹介。併せて、病院マーケティングサミットJAPAN代表理事で医師の竹田陽介氏が要所でポイントを解説するなど、病院だけでなく診療所や介護事業所などにも役立つノウハウが随所に盛り込まれている。
当時、新院長と新事務長が取り組んだのが「もう一度、小倉記念病院のブランドを築き上げる」こと。最初はホームページのリニューアルからスタートした。責任者となったのは企画広報課の松本卓氏だった。松本さんはホームページをリニューアルする際にまず大切なことはその役割を担うプロジェクトチームの組成であり、そして誰がディレクションを行い、どんなメンバーで検討するか、ここをしっかりと詰めておくことが成否を左右すると考えた。病院にはメンバーの選出は40歳以下の主任以下であることをルールとしてもらった。
ホームページをリニューアルする際、まずは全体的なデザインのテイストをどのようするかを決める必要がある、そこで参考にしたのが「雑誌」だった。「こんな感じにしたい」というのを口頭で伝えても、相手(デザイン会社)はイメージしにくいが、具体的な雑誌を用意して、「この雑誌のイメージでお願いしたい」と言えば、伝わりやすくなる。これはホームページに限らず、広報誌のデザインを考える場合なども同様だと松本さんは指摘する。プロジェクトチームと担当デザイナーでホームページをどういった雰囲気のデザインにするべきか検討した際、雑誌を最優先で利用した。




「小倉記念病院のV字回復に学ぶ 最高収益を生み出す 病医院マーケティング」(日経メディカル)
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