最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

中高年のおしっこの悩み 泌尿器科の専門医が解決します

2015年08月02日 10時27分08秒 | メディカルはこだて
第55号の特集は「中高年のおしっこの悩み 泌尿器科の専門医が解決します」。

50代や60代になると、健康診断で「おしっこに血が混じっている」と指摘されたり、「おしっこが近くなった」「夜中に何度もおしっこで起きる」「おしっこの出が悪くなった」「くしゃみをしたとき、尿もれがおこる」など、多くの人は尿トラブルに悩み始めるようになる。様々な「おしっこ」に関する悩みやトラブルについて、その原因や改善策、治療法など泌尿器科専門医の話を聞いた。


「健康診断で「おしっこに血が混じっている」と指摘されたら。血尿は重大な病気が潜んでいる可能性があることも」


◎山田裕一(やまだクリニック院長)

学校や職場の健康診断では尿検査が行われることが多い。尿検査は尿たんぱくや尿潜血などを調べるものだが、特に尿潜血で異常(陽性)を指摘されるケースは少なくない。「おしっこに血が混じっている」と指摘されると、「自分は病気になっているのではないか」と誰もが心配になるはずだ。
尿潜血検査は血尿であるかどうかを調べるものだが、やまだクリニック(函館市湯川町)の山田裕一院長は「尿潜血検査は厳密に言うと、血液に存在する赤血球中のヘモグロビンが尿中に存在しているかどうかを簡易的に試験紙で調べています。尿潜血陽性イコール血尿ではありません。血尿は尿に赤血球が混じる状態で、正確には尿沈査を顕微鏡で見て赤血球を確認して判断します。尿潜血が陽性でも尿沈査の赤血球が正常範囲で、血尿でないこともよくあります」と話す。「陽性の異常値は3段階ありますが、それも病気の悪化の程度を表しているものではありません」。
(以上、本文より一部を抜粋)


「おしっこが近くなった。頻尿は1日の排尿回数が8回以上。過活動膀胱は急に尿がしたくなり、我慢が難しくなる」


◎小村秀樹(平田泌尿器科理事長)

「おしっこが近くなった」「おしっこの回数が増えた」という症状が頻尿だ。通常は起床から就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿と呼んでいるが、1日の排尿回数は人によって様々である。 平田泌尿器科の小村秀樹理事長は「一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえるでしょう」と話す。 頻尿の原因は様々だが、過活動膀胱や動脈硬化による膀胱の血流不足、残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染・炎症、腫瘍、心因性などに分けることができる。
(以上、本文より一部を抜粋)


「夜中に何度もおしっこで起きるは、排尿に関わる症状で最も頻度が多い。夜間頻尿の原因は水分の過剰摂取や高血圧、足のむくみなど」


◎敦川浩之(函館泌尿器科院長)

「夜中に何度もおしっこで起きる」という人は非常に多い。このように夜間、排尿のために起きなければならない症状を夜間頻尿と呼んでいる。排尿に関わる症状のうち最も頻度の多いもので、 歳以上の男女で、約4500万人が夜間頻尿の症状を有し、加齢とともに頻度が高くなる。夜間頻尿は日常生活において支障度が高くて、非常に困った症状だ。
函館泌尿器科の敦川浩之院長は「夜間の排尿は1回以上が夜間頻尿とされていますが、実際の臨床では2回以上を夜間頻尿としています」と話す。健全な日常生活を営むためには十分な睡眠が必要だが、慢性的な睡眠不足を引き起こす夜間頻尿は、生活の質を大きく低下させることになる。
「当院を受診した患者さんの中には、夜中に5回以上起きるケースも少なくありません。睡眠は免疫力を高めてくれるので、十分な睡眠をとることはとても大事なことです。また、夜間頻尿は死亡率を上昇させることも知られています。夜間頻尿は単に夜に起きてしまうだけではなく、トイレに行く回数が増えることは、高齢者にとっては転倒による怪我や骨折の危険性が高くなり、寝たきりの原因になることもあります」。
(以上、本文より一部を抜粋)


「おしっこの出が悪くなったは、加齢で多くの人が悩む尿トラブル。通過障害で最も頻度の高いのは男性の前立腺肥大症」


◎田沼 康(函館協会病院泌尿器科医長)

「おしっこの出が悪くなった」「尿のキレが悪くなった」などの症状は、加齢に伴って多くの人が悩み始める尿トラブルだ。このような排尿困難は尿線狭小や尿線途絶によるものだが、症状に関しては、排尿症状、蓄尿症状、排尿後症状の3つに分けられる。
排尿症状は「尿が出にくい」「尿の勢いが弱い」など、尿を出すことに問題のある症状で、蓄尿症状は「尿が近い」「尿がもれる」など尿を溜めることに問題がある。また、排尿後症状は排尿後に「まだ膀胱に尿が残った感じがする」という残尿感や、「下着をつけてから尿が少しもれてくる」といった排尿後尿滴下などである。これらの3つの症状は複合している場合が多い。
(以上、本文より一部を抜粋)


「くしゃみをしたとき、尿もれがおこる」などの尿失禁は尿を貯める機能に異常。女性の多い「腹圧性尿失禁」と男女ともに多い「切迫性尿失禁」


◎武藤雅俊(むとう日吉が丘クリニック院長)

「くしゃみをしたときなど、尿もれがおこる」「トイレに向かう途中に我慢しきれずに尿がもれてしまった」など、自分の意志とは関係なく尿がもれてしまうことを尿失禁と呼んでいる。尿失禁で悩んでいる人は非常に多いが、恥ずかしさから我慢している人がほとんどだ。
むとう日吉が丘クリニックの武藤雅俊院長は「尿失禁の大部分は、尿を貯める機能に、何らかの異常が起こったときに起こります」と話す。「例えば、膀胱の膨らみが悪い場合は、尿が溜まってくると膀胱内圧が上昇して、低圧を維持することができません。そのため尿道の圧より高くなれば、当然失禁となります。低圧で維持していても、急に膀胱の筋肉が収縮し、尿道圧より高くなれば、突然の尿失禁となります。一方、膀胱の低圧維持は正常でも、尿道を締め付ける圧力が低下すれば、失禁が起きます」。このように尿失禁は様々な原因によって発症するが、さらに尿のたまりを感じる神経や尿意の異常が大きく影響することから、より複雑になると武藤院長は指摘する。
(以上、本文より一部を抜粋)

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