私は中老男である。
正月2日である。
なのにまだ「2022年」の話。
申し訳ないがお付き合いいただきたい。
大河ドラマを全話見ることは実はあまり多くない。
だいたい最初で躓くか逆に5~10話くらいの中だるみで躓く。
「鎌倉殿の13人」の場合。
歴史好きの中老男であっても一番「苦手な時期」でありあまり興味がなかった。
そして、特に「三谷幸喜」という人は脚本の出来に「落差がある」と私は思っている。
外した時は「時間を返せ!」と言いたくなるのじゃ。
ゆえに今回は15話近くまで録画して4月頃に一気に観た。
悪くない。
というのが最初の感想。
彼のコメディ系の部分がうまく効いている。
キャストもいい。
この鎌倉幕府というものが「武家社会の礎」であったことも実は知らなかった。
どうしても「戦国時代の末期(天下統一)」の方が面白い。
だが、その「武家社会の元々の秩序」がいかに出来上がったかを知らなかった。
天皇と征夷大将軍・将軍と執権・公家と武家・将軍と御家人の関係性が出来上がった後に。
ようやく「戦国時代」がやってくる。
そのことを今回の大河ドラマでよく理解できた。
つまり「天皇の権威」・「将軍の権威」・「執権の権威」とはどこまであるか?
その関係性がどうなっていたのか?
それらは歴史の教科書を読んだだけではほとんどわからない。
なぜかといえば・・・。
その立場の各人の「人間関係とその野心」が深く関係しているからだ。
たとえフィクションであろうとも各人の感情的な部分を描いてこそリアリティーがあるのだ。
そうした意味で三谷幸喜の脚本は「非常に当たった」というべきだろう。
「悪役」が単なる悪役ではなく、その当人には当人なりの「正義や欲」があり、それが複雑に絡まり合い混沌としていく。
世界史において「宗教戦争」というものが「他宗教は皆殺し」という感覚がなくなることで「現代の国秩序」が出来上がっていった。
それと同じように北条「泰時」が「御成敗式目」を制定することで秩序が出来上がる。
「上皇」が流されることで「武家の社会」がやってくる。
「天皇」が政治に絡まなくなることで、ある意味「(権力のない)神的地位が確立」する。
人間関係が複雑で登場人物が多いこの時期を。
大河ドラマでこうした形で成功させたのにはやはり「三谷幸喜の脚本力」は賞賛に値するだろう。
今回も最後までお付き合いいただきありがとう。これを読んでいる皆さんも、大河ドラマと歴史をリンクさせて楽しみますように。
May
ちょっと知ったかぶりです。「上皇」って「天皇の父(先代天皇)」のことで、さらに現天皇が退位すると「上皇」は「法皇」になる。そうすると「頭を丸め」なければいけない決まり。
そのため、ドラマの最後で後白河は「坊主頭」になっているのです。
「天皇(家)」が「部下である将軍から命令された」のは、この時が初めてでありこれ以降天皇(家)が政治権力を取り戻すのは・・・・「明治」までないんですな。