私は初老男である。
驚いたのは・・・・。
三浦文彰の持っている「ストラディバリウス」の響きがあまりに素晴らしいこと!
ほとんどのバイオリン・ソリストは、ストラディバリウスを弾いているので私もそれなりに聴いてきたつもりだが。
これほど素晴らしい響きを聴いたことがなかった。
出だしで躓いた。
演奏のことではない。
6:30開場。
7:00開演の予定だったのだが・・・・。
リニューアルしたばかりの会場の「電気系トラブル」で、会場の照明が落ちてしまい入場できない。
結局30分近く開場。開演が遅れた。
微妙に演奏にも影響があったのではないかなぁ・・・。
タイトルに「リベンジ」と文字を入れたのには理由がある。
3年ほど前だろうか。。。。
辻井伸行のピアノリサイタルを、日付を間違えて見逃したのである。
安くはないチケット代がパーになった。
チケットを手配してもらった家人にも、白い目で見られるわ、馬鹿にされるわで散々であった。
チケット代も白い目も大したショックではないけれど「その時の辻井の演奏を聴けなかった」ショックは大きかった。
だから「リベンジ」と称したが、単純に今回聴けたから「復讐」できたわけではないのだ。
しかし、とにかく「辻井」を聴けた。
プログラムは「月光」ベートーベン。
彼はたしか20代後半。
順調に芸術家としての精進を重ねているのが見て取れる。
様々なエピソードで語られている彼だが、私が彼を評価するのは・・・。
彼の感性・演奏が私のイメージに「非常に近い」からだ。
彼の世に出たヴァン・クライバーンコンテストの時の「カンパネラ」の演奏が、今まで聴いた誰の演奏より私のイメージ通りだったのだ。
クラシック音楽の聴き方にも様々あるが、私の聴き方はこれである。
自分のイメージに一番近い演奏をするアーチストを探す。
ゆえに、演奏される曲目は最低何度か聴いて「基本」を作っておく。
それを基準として、当日の演奏者がどういう解釈をするかを聴き比べるのだ。
辻井は、これからまだまだ成熟し変わっていくだろう。
10年といわず20年経ったときの彼のベートーベンを聴きたいものだ。
対して三浦文彰。
まさに「若さ爆発」である。
「フレッシュさ」というモノも、当然その時にしか味わえないものである。
完全に今どきのイケメンアーティストである。
風貌といい、物腰・立ち振る舞いすべてに非の打ちどころがない。
ただ、それがこれからのアーティストとしての経歴を邪魔せねば良いが・・・。
初老男の余計なお世話、老婆心でなく老爺心である。
アンコールでの「愛のあいさつ」は、そのストラディバリウスの響きで恍惚となる。
2度目のアンコールは曲名は分からなかったが、いかにもといった感じのガーシュイン。ジャズっぽさが若い二人で息ピッタリ。
3度目のアンコールは・・・・。
やっぱり、出ました「真田丸のテーマ」やはり、オリジナルはいいですなぁ。
久しぶりに完全に満足したリサイタルだった。
今回も最後までお付き合いいただきありがとう。これを読んでいる皆さんもリベンジしますように。(って何に?)
May
ただ、残念だったのは・・・・。会場のキャパが大きすぎたなぁ。2000人近いキャパではバイオリンとピアノだけのリサイタルには大きすぎる。席が後すぎたから尚の事ちょっと響きが弱かった・・・・。
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