完全無欠な「もうすぐ前期高齢男」日記

「もうすぐ前期高齢男」に進級「老いの自覚」を中心にUpしていきます。

片岡義男著「缶ビールのロマンス」読み終わりました

2006年04月11日 | 
私は中年である。
最近、ブログのためか
毎日寝不足の中年である。

前のブログでUpしたように、
私にとって「本を読む」という行為は、
すでに「趣味」では無く、呼吸をするのに近い。
気が付くと本を広げている。

ゆえに、本のことをブログにUpすると
あまりに頻繁に本の話ばかりになって、
他の言いたいことがUp出来なくなってしまう。

そこで、「すべて」ではなく、選りすぐりの本を
Upしていこうと思う。

今回は片岡義男氏の「缶ビールのロマンス」

片岡義男という作家は、皆さんに記憶されていると
すれば「スローなブギにしてくれ」だろう。
(これとて20年以上も前の本だが)

角川映画が絶頂期を迎えている頃に、
いまは故人となってしまった古尾谷雅人主演
(競演は浅野温子、なんとデビュー作《違ったか?》)
の同名映画で一躍人気作家となった。南佳孝の
同名曲もヒットした。

この人のベスト本もやはり「スローなブギにしてくれ」
だろう。大体、片岡氏は長編を書かない。いずれも
4~5編の短編集になって文庫本化されている。

だから映画も短編をオムニバス式に作られている。
それが大失敗になっているのだ。

すべてにおいて全く内容につながりがない
ストーリーを映像にして見せられても、
結局何が言いたかったのか分らない映画になる。

しかし、これが小説の短編集となるとなんとなく
「つながり」が見えてくるから本というのは
不思議なのだ。

具体的な映像は、余程うまく作らないと心の動き等の
目に見えないものを伝え切れないから、目で見て衝撃を
与えるタイプの映画の方が作りやすく観衆にも受け易い。
(ハリウッド映画はほとんどこのタイプである)

この小説家の真骨頂は、実は「雰囲気」なのだ。
深読みすれば、こじつけてきな「意味」は見出せるかも
知れないがそうではなく、短編小説の中に漂う主人公の
意識を味わうのが正しい読み方だと思う。

前振りが長くなったが「缶ビールのロマンス」は
そうして意味で、大ヒットした「スローな~」から
すこしずつ方向が変わりだした本だ。

相変わらず内容らしき内容は無い。しかし、この本を
読んで、片岡氏もいよいよ路線を変える気だなと私は
思った。

「作家が路線を変える時」これは、かなり重大なことだ。
出来れば「スローなブギにしてくれ」と「缶ビールの
ロマンス」両方読んでみてほしい。

全体にある種の若者の空虚ながら、現実を生きる
不思議な生命力を感じさせる「スロー~」と
どこか、怠惰な意識の漂う「缶ビール~」
それが、ただ作家の「疲れ」であったとすると・・・

まことに残念だが・・・。

今回も最後までお付き合いいただきありがとう!
これを読んだみんなに幸福が訪れますように。  
        明日はしっかり寝るぞ!   may






コメント (2)
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