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『父と娘の法入門』

2018-08-09 00:01:10 | 読書。
読書。
『父と娘の法入門』 大村敦志
を読んだ。

ほんとうに入門書というか、
「法」というものに対しての導入部分での父娘の議論という感じで、
初心者の地固めにはいい感じ。
全編通して、犬などの動物を話題にあげながら考えていく形式です。

これまでモヤモヤしていたところをはっきりさせてくれたのが、
親が子どもに対して暴力をふるうことについてでした。
過度ならば虐待と言われるけれど、
そうでなければ懲戒権としての体罰はありなんだですねえ。
あくまで「親が」であって「先生が」でも「隣の家のおじさんが」でもない。
子どもを叩くのは嫌だけど、
そうでもしないと言うことをきかない場合がありますよね。
こそこそ隠れて陰湿に仕置きではなくていいのです(そっちこそ怖いですが)。

また、最後には、権利についての問いかけ、考察があります。
権利を増やしていくことがより自由を生んでいくという考え方があったりしますが、
本書ではそういうのではなく、
権利というものも言葉の上では「権利」で一緒ですが、
スケールが違う「権利」があることを明らかにしています。
上位概念の「権利」と下位概念の「権利」があり、
たとえば、上位概念は憲法とか大きくて深いところでのルールと関係する「権利」。
下位概念は、町内会の規則だとか、アパートの規則だとかと関係する「権利」。

この記事の前の記事で書いた、
欅坂46の『サイレントマジョリティー』で歌われている自由についてでも、
そういう権利はあるけれど、守らなきゃいけないルールがあるってこととリンクします。

僕は法律にうといというか、勉強したことが無いので、
バリアフリー法も障害者基本法もしらなかったし、
動物愛護法も名前だけしかしりませんでした。
この入門書を契機に、今後、すこし法関係の本にも手を出していこうと思っています。

500年くらい前のイギリス人・ホッブズは、
人間がほんとうに自由な状態でいれば、
それは闘争状態になるのだと言いました。
だからこそ、法律が必要になるってところに繋がります。

人間って、自分に対する善のために行動しますけれども、
それが他人にとっては悪でってことは頻繁にあって、
だからこそ性善説では割り切れないと常々思うところなんです。
そもそも、性善説は生まれたときには善だったという意味だろうし、
オトナになった人には適用できないものでもあるでしょうし、
オトナも善なんだって解釈にするのであれば、
法律なんてこの世には存在しなくてよくなります。

というように、法って大事だなあと。
若い頃はルールなんて無視だ!っていう姿勢に憧れもあったくらいで、
それはそれで、音楽を作ったりというクリエイティブな作業の位相では
意味のあることだったかもしれないですけれど、
他の位相でも混同してしまうとすごく厄介で、
そういうところはいい歳になったら分別をもっていたいところです。

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