小笠原日記

夫婦で小笠原に移住予定です。どんな生活が待ち受けているか?とりあえず小笠原の生活を綴って見ようと思います。

915hPaの猛威

2006-09-23 15:52:00 | Weblog
やっと電気が通じた、昨夜10時ころから今日の2時過ぎまで16時間以上電気のない生活、なかなか経験できる物じゃない。

避難所に避難するかどうか迷ったが、想像する避難所生活は妻も僕もあまり得意とする所では無さそうだし、我が瀬掘アパートの1室で20数年ぶりと言う大型台風をじかに体験して見たいという無謀?な思いもあって避難はやめにした。

夕方風もかなり強くなってきた頃、様子を見に外へでて見ると向かいのアパートのレイモンドがニコニコしてやってきた、お互い片言の英語と日本語で何とか意思の疎通、彼は

「とてもエクサイティング、避難はしない、ポップコーンもあるし?港に係留しているヨットが心配」てな事を言っていた。

レイと別れ妻と海を見に行くと遥か彼方に見える外海は半端じゃないウネリ、まるで津波が押し寄せているようである。台風が最接近する未明は大潮の満潮、海からさほど離れていない我家は大丈夫かと少し不安がよぎった。

夕食を済ませたあたりから風雨が一段と強くなって来てはいたが突然10時頃我家の電気が消えた、いよいよである、停電だ。内地でキャンプに使っていたコールマンの電池式ランタンが役にたった。キャンプ道具はほとんど処分して来たのだが、停電があると聞いてこのランタンだけは持参していた、あまり嬉しい状況ではないが早速大いに活躍してくれた。

それからと言う物正直怖かった、唸りを上げる風と叩き付ける雨音は半端じゃない。雨戸が引っ張られて外に膨らんだかと思うと次の瞬間窓ガラスに吸い付いて吹っ飛ぶのではと思うほどのものすごい音を立てる。地鳴りのような轟音と共に建物が揺れるのがはっきり分かるし、壁に背中を着けていると、壁が内外に風に合わせて動いているのが背中越しに伝わってくる。

外では金属製の物が飛ばされ何かに叩き付けられているようなものすごい音、結局うとうとはしたがほとんど眠れぬまま朝を迎えることになったのだが、その時間の長い事。

そしてラジオの電波が届かないこの島では、停電でTV、電話、インターネットがダメとなると現在の状況を知る術がない。そんな状況下でランタンのわずかな光だけを頼りにじっとしていると本当に恐怖を感じた。

夜が明けて現在の台風状況は分からぬまま、風は夜中に比べれば落ちてはいるが相変わらずの強風、外を覗いて見ると我家から100㍍ほどの幹線道路がまるで川のようになっている、ちょうど満潮の時間で横を流れる川が溢れたようだ。我家まで届かないで本当に良かった、一歩間違えれば浸水である。

その後妻と港から町を散策して見たが、いたるところで木々が倒れており、島レモンやヤシの実が道路に散乱、メインストリートのあるお店は壁が剥がれ落ち中の鉄骨がむき出しになっていた。ただ一見した所船は大丈夫そうだったし、死傷者が出ているような大きな被害はなかったように思えた。島の人は慣れてるんだね!

我家はとにかく冷蔵庫の中が心配、特にオガマルが欠航し食材がそこをついて来ているのに加え冷凍庫の物がパーになったらどうしようもない。このまま停電が続いたらと気をもんでいたのだが、先ほどやっと電気が通じ一安心、冷凍庫の中も微妙だが何とかなりそうと言うか何とかせねば、これがこの島での生き方である。

それにしても915hPaの猛威は凄かったというのが実感、もうしばらくは遠慮したいネ!

写真は台風の影響で傾いてしまったプレハブ。