MAICOの 「 あ ら か る と 」

写真と文で綴る森羅万象と「逍遥の記(只管不歩)」など。

似我蜂(ジガバチ)の産卵行動を追ってみた(その1)

2016年10月25日 | 写真


公園に行くときに通る坂道に面した傾斜のある畑地(巻頭の写真)で、
蜂のような昆虫が青虫を抱えて、
畑を登って居るのが見えた(下の写真中央)。


自然界ではよく目にする光景なので、そのまま立ち去ろうとしたが、
草の無い斜面の畑だったので、その様子が良く判り、
立ち止まって観察をしつつ、望遠レンズで覗くと昆虫は「ジガバチ」で、
青虫を牙のある口で咥え、更に前足二本で虫を抱えて歩いていた(下の写真)。


どうやら30m近くはあろうと思われる土の斜面を、
自分の体長よりも大きい虫を抱え登りきろうとして居るようである。
自転車を降り、ジガバチに近付き本格的に観察と撮影を開始した。

ジガバチは写真のような青虫を巣穴に持ち込み、
青虫に卵を産み付け、青虫は孵化した幼虫の餌となるのである。

巣穴が近いのだろうか、畑の途中で獲物を離し、
周辺を一回転した(下の写真)が・・・・


再び咥え、抱え歩き出した。


やがて畑1枚分を渡りきり、
畑の境界にある土砂の流れを止めるためのコンクリート製の、
20cm程の高さのある垂直の壁の前にたどり着いたかと思うと、
なんと、自分の体重の数倍はあると思われる青虫を抱えたまま、
その垂直の壁を登っていったのである。
その行動には吃驚したが、
子孫を残すためのDNAの凄さと言うものを垣間見たような気がした。


ついには壁を登りきり(下の写真)、


コンクリートと土の境界付近で青虫を離した。
穴も何も無いがこの辺に巣穴があるのだろうか?


が・・・直ぐに目の前の土を掘り起こすような仕草に入った。
どうやら穴は事前に掘ってあったようで、直ぐに穴が見えてきた。
これまた驚異である。
数十メートルも歩いてきたのに、穴の位置を間違えていないのである。


穴の深さが足りなかったのか、はたまた獲物の大きさが大きかったのか、
穴の中に消えて行っては何度か土の塊を前足で抱えて運び出していた。
その土の塊も球状に整形してあったのである。


普段は見ることの無い昆虫世界の行動は不思議なことばかりである。
子作りに懸命なジガバチは、
カメラのレンズを10cm近くまで寄せても作業をやめることが無く、
スズメバチのような攻撃性は無いようである。
以下、次号へ
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