MAICOの 「 あ ら か る と 」

写真と文で綴る森羅万象と「逍遥の記(只管不歩)」など。

小汐山ではなかった

2010年04月01日 | あらかると
上野公園桜マップに紹介されている「小汐山」と、新宿御苑の「小汐山」(御苑の桜は森林総合研究所多摩森林科学園の勝木俊雄氏が調査し「新宿御苑の桜」という小冊子を出している)との違いに気付いたのは昨年である。

下の写真が上野公園の「小汐山」。

下が新宿御苑の「小汐山」と小汐山の名札



写真だけの比較では判別しにくいので、国立遺伝研の資料から「小汐山」の特徴を抜粋してみた。
開花期:4月中旬   
花色:淡紅色 花弁(外側)に濃紅色が残る   
蕾の色:淡紅色 紅色   
花の咲き方:一重咲   
花弁の枚数:5枚   
花の大きさ:中輪(2.6-3.5cm)   
花弁の形:円形(丸形) 楕円形   
花序の形:散形状   
花柄の長さ:短い0.6-1.0cm 短い0.3-0.5cm   
小花柄の長さ:中位2.1-2.5cm 中位2.6-3.0cm   
小花柄の太さ:細い   
小花柄の毛:無し   

ということで、上記の特徴と相違するものは無いかと、30日の取材時に花をマクロで撮ったところ、下記の写真のように、小花柄に「毛」があることを発見した。また、小汐山は山桜系のため、花の咲く時期に茶色の新芽を出すが、上野のそれには見当たらなかった。

萼筒はむしろ「染井吉野」に近い特徴を示している。


「御所御車返」→「御車返」、「手弱女」→「苔清水」そして今回と、調べていく過程で真実に行き着くことが出来た。
桜では日本で1,2位を誇る程有名な「上野公園」、やはり専門家による調査が望まれます。

この記事を書きながら、御苑の小汐山の写真をじっくりと見ると、不忍池の陽光近くに似た様な「不明の桜」があり、もしかすると「小汐山」・・・・?、迷宮の桜の旅も面白いものです。
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