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ニューヨークの繁栄と衰退

2020年06月03日 | NEW YORK

 嘗てワールドトレードセンターのツインビルが存在した敷地に立つ、フリーダムタワー(1WTC)は1776フィート(541m)を誇る、これはアメリカの独立宣言1776年に由来した高さである。アメリカ合衆国の資本主義経済圏の象徴的な近代建造物である。今日はまだコロナの影響でその周辺は静かではある。

 昨日はニューヨーク市内で仕事をしていた。午後の3時に携帯の緊急ブザーが鳴って、今夜8時から朝の5時までの夜間外出禁止令が発令された事を知らせてきた。ミネソタ、ミネアポリスでの事件を機に全米に抗議デモが拡散している。午後の4時半を過ぎた頃に仕事仲間から電話があった。デモンストレーターの集団の行進が20分位でオマエの今いる建物に差し掛かるので、可能ならばそこから離れた方がいい。という旨であった。デモ隊の暴動はニュースでも知らされており、市内に住む友人からその危険度を知らされていた。直ぐに仕事を打ち切り、急いで路上に駐車していた車に乗り込んだ。けたたましいパトカーのサイレンの音、路上に集まって携帯を構えている野次馬の群集、商店のウィンドウに板を張る人々、街は通常では無く、911が起こった日の朝の様な緊張感のある空気が沈滞していた。

 幸いにも昨日の抗議集会は平和的に行われた様子だ。ニューヨークではコロナによる2ヶ月以上に及ぶ外出規制による心理的不安や抑圧感、更に、経済的糧の手段の損失による不満やそれに対する捌け口が人種問題の争議や権力者への非難に容易に繋がる状況も否定出来ない。アメリカは今大きな試練に直面している。そして、その試練の根本的課題は経済的格差にあると感じている。

 

 フリーダムタワーも時間と角度によって違う姿を見せる。

 明朝中国、オスマン帝国、スペイン帝国、ローマ帝国、更に大英帝国。嘗ての世界の覇権的帝国はその時代の最強の経済力と軍事力、更に文化を誇った。しかし、最終的には消滅してしまった。それら全ては外敵によって滅びたのではない。それらの繁栄に水を掛けたのは経済の不均衡、即ち格差社会現象であり、それらを解消出来ない政治的な停滞によるものであった。そこに事実を置くと、抗議デモと重ねて、現在のアメリカの本質的課題が見えてくると感じている。

 


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